また逢えるその日まで

東雲さき

第1話

遠い東の国の物語。

そこには古来より人ならざる者が棲んでいる。


ある時珍しい双子の龍が誕生した。

皆、とても喜び我が子のように可愛がった。


成長した双子が人の姿をとれるようになると、人里に降りて人々の暮らしを見るようになった。


そこで双子の片割れの少女が番を見つける。


番は龍の棲む湖を守ることを代々生業としている人間の一族の跡取りの少年だった。


ふたりは互いに惹かれ合い思い合うようになる。



一方双子の片割れの少年はそんなふたりを見ているうちに番に憧れを持つようになった。


自分の番は何処にいるのか。


まだ見ぬ番に思いを馳せた。



龍の双子の白蘭びゃくらん水蓮すいれん、水蓮の番のたつみは共に成長し、共に過ごした。



数年後、美しく成長した水蓮と凛々しく精悍な青年となった巽は婚姻し共に生きることを選んだ。


ふたりの婚姻を見届けた白蘭は番を探すため、棲家としている湖を離れた。


行く先は決まっていない。


何処にいるのかも分からない番を探す途方もない旅路となることだろう。


しかし、長く続くと思われた旅路は思いの外早く終わりを迎えた。


同じ国だが故郷よりもずっと栄えている都に白蘭の番はいた。

龍の姿ならば飛べば一刻もしないだろう距離だった。


知らせを受け取った水蓮と巽、それから湖に棲んでいる他の龍たちもとても喜び、白蘭が番と出逢えたことを祝う宴が開かれた。


あとは白蘭が番を連れて戻ってくるのを待つだけだ、と…



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