第47話 目的の物
「やっぱりこの神輪の祭壇か」
転送後、到着したのは俺が住んでいた神輪の祭壇だった。
石板前に新たな魔法陣が生成されており、そこから出てきたようだ。
「魔法陣、光を失ったぞ」
セレナスの言う通り、魔法陣は光を失い、中央部分に手のマークが現れた。
セレナスがまずそれに触れてみると、反応は無く、俺が触ると魔法陣が光始めた。
そしてそのまま転送が始まり、元の場所へと戻ってきた。
「ロフルしか起動できないのか……不便だな」
「まぁとにかく戻れることは分かったし、保管庫に行ってみようぜ」
俺がそう言うと、もちろんだ! とセレナスは言い、保管庫行きの魔法陣に乗った。
・・・
・・
・
「この部屋は……」
ここは、来る前の場所と同じような鉄板で出来た部屋だった。
真正面にはエレベーターの扉の様な形状の入り口、その左右に台座が8個ある。
台座の上には既に開封され、中身のない箱がそれぞれすべてにおかれていた。
「全部、空っぽじゃねーか!」
そう言いながら俺は空箱を調べていると、
他の箱を見ていたセレナスが、
「この箱に魔装具が保管されていたと言う事なのか……?!」
と声を上げた。
気になった俺はセレナスに近づき箱を見ると、
水蛇の槍と文字が刻印されていた。
「あれ、あっちの二つには名前とか書いてなかったけどな……」
「くそ……欠けていて見えないのもあるな」
セレナスは全ての箱の刻印を確認していた。
・・・
「判別できた文字は、水蛇の槍、墜光刃、風魔の斧、火鼠の短剣……」
「武器っぽい名前ばっかりだな!」
俺がそう言うと、セレナスは
「墜光刃、風魔の斧がS家の魔装具の可能性が高い」
と言った。
理由はまず箱の位置……
名前が無い箱が右端に二つあり、その左横に水蛇の槍と判別不能があり、
さらに左横に判別不能と火鼠の短剣と続き、墜光刃、風魔の斧と並んでいた。
神徒は全部で8つの一族でなっており、
S~Cそれぞれ二家づつ存在する。
偶然の数の一致とは思えないと続けた。
「火鼠の短剣はA・モーンブレイズ家の家宝だ」
セレナスは興奮気味に説明をしてくれた。
「だれがいつここに保管したんだろうな?」
「ふふ、そんな事はどうでもいい! 効果がどこかに書いていないか探すぞロフル!」
そういって二人でこの場所を入念に調査した。
が……どれだけ調べても効果などを知る事は出来なかった。
「くそ! 名前だけ分かっても仕方ないじゃないか……!」
そういうセレナスをなだめる様に
「まぁでも剣と斧の形状だと言う事は予想できる。それだけでもかなり違うだろう」
と言った。
「それよりも、目的の物がまだ見つかっていないだろ? この扉の先にそろそろ言ってみようぜ!」
俺はそう言ってまだ開けていなかった扉に近づいた。
すると、扉は自動ドアの様に勝手に開いたので、そのまま中へと進んだ。
そのフロアは先ほどより少し狭くなっており、同じような形状の台座が二つ、そしてその箱は未開封で置かれていた。
「おお! セレナス、箱が未開封だぞ!」
そう言うとセレナスはすぐにこちらへと走ってきた。
「早速開けて……もう開けたのか!?」
俺はセレナスが来る前に二つとも箱を開け、中身を拝借していた。
一つは幅5mm厚さ2mm程の板状の腕輪で、
びっしりと魔法陣の模様が描かれている。
そしてもう一つは巻かれた紙……というか薄いディスプレイの様な物が入っていた。
「これだ! これがワイドリターンの腕輪で間違いないぞ!」
セレナスは横で興奮しているが、俺はとりあえずそのディスプレイを開いてみてみた。
すると、文字が表示されそこには、
十の扉の先には最後の魔装具である、天装剣・打毀(てんそうけん・うちこわし)が保管されている。
あまりに強力で危険な魔装具の為、種族問わず十輪に開眼した者に譲渡するように。
扉は十輪の者にしか開ける事が出来ない。
と書かれていた。
「なんか、この先に凄い魔装具があるみたいだぞ。くそ、開かないか……経験値的には10なのに!」
俺は十の扉に触れながら言った。
「魔装具の武器なら間違いなく強力だが……手に入らない物を惜しんでも仕方がない」
とセレナスは言い、続けて目標の物は手に入ったし戻るぞ! と俺を引っ張っていった。
・・・
・・
・
――道場 茶室
帰りは転送魔法陣が起動していた為、楽に戻る事が出来た。
「お目当ての物は見つかった?」
リリアナがそう聞くと、セレナスはこれだと腕輪を見せていた。
「セレナス、早速つけてみろよ」
俺がそう言うと、セレナスは頷き、リターンの魔法輪の上に重ねる様に腕輪を装着した。
腕輪は少し大きかったが、セレナスの腕に合わせる様に自動でサイズが調整された。
「これで上に行く準備は整ったぞ!」
セレナスは少し興奮気味にそう言った。
「セレナス、まだ焦っていく必要はないだろ? ここで少し鍛えてから行こうぜ。対人戦に俺も慣れておきたい」
俺がそう言うと、セレナスは頷き、
「そうだね。とは言えあまりのんびりは出来ないぞ。精々二ヶ月が限度だ」
と言った。
その言葉に俺は出来る限りのことをやろうと返事をした。
その日からセレナスと俺の対人戦練習が始まった。
・・・
・・
・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます