第34話 来たのは
あれから二日……
誰も来る気配がない。
すぐには来れないのか、いつまで待てばいいのかまったく分からない。
だが俺がここから離れた瞬間、管理者は現れるかもしれない。
非情に動きづらい状況だ……。
すると、誰かが来る気配がした。
俺は息をひそめ扉の横で構えていると、
「ロフル? どこにいるんですか?」
とフーチェの声が聞こえてきた。
俺はそれを聞いて扉を開けた。
すると、フーチェとリリアナが目の前にいた。
「フーチェ、リリアナ! どうしてここに……てかどうやって?」
俺がそう質問すると
「二日も帰ってこないから心配で来ちゃいました」
フーチェはそう言い、
入口まで来たら見えない壁が消えていて、中に侵入しても魔力が吸われなくなっていた事を説明してくれた。
「ちなみに大きなフロアにも何もいなかったわ」
リリアナは最後にそう付け加えた。
「ここで何をしてたんですか?」
フーチェが俺にそう質問してきたので、
管理者が来るかもしれない旨を簡潔に伝えた。
「なら、私がここで待ち伏せするわ。二人は調査してきて」
とリリアナが名乗り出た。
俺は一人では危険だと言ったが、
再起動しない限り動かないから大丈夫でしょ。と言うので
その提案を承諾。
一人の場合ここから動けなかったが3人になれば話は別だ。
停止したことによりどこかに変化が表れているかもしれない。
調査はするべきだ。
「まぁ何か危険がせまったらすぐにサーチで呼ぶわ。範囲内に入っているでしょうし」
リリアナにそう言われ、俺とフーチェはサーチ?
と疑問を持った。
そんな俺たちを見て、リリアナはすぐに説明してくれた。
三輪でサーチが強化された時、地域情報が出るようになるだけでなく三輪以上同士なら連絡を取り合えるというのだ。
やり方は簡単で、サーチで表示された人の名前をタップすると、名前が拡大表示され再度タップするとタップされた側のサーチがうっすらと光始めるそうだ。
その状態でサーチを行うとタップした人物の名前が表示され、通話が開始できる。
「全然知りませんでした……」
フーチェがそう言うと、
「これはA以上神徒じゃないと習わないから仕方ないわ」
とリリアナが言うと、フーチェは暗い顔でAですか……と呟いた。
それをみて、
「フーチェ、ここではAもBも無いわ! 私達は名を捨てた。同等の立場よ」
と元気づけた。
AとかBとかすごく気になるけど……フーチェの暗い表情を見て深く聞くのは辞めた。
タイミングみてリリアナにでも聞いてみよう。
「フーチェ、一緒に調査を頼む!」
そういってフーチェに声を掛け二人で蜘蛛型兵器のフロアまで戻った。
俺が指で突き刺した部分をフーチェにも辿ってもらいながら上に向かい、
施設の様子を共有しつつ、最初に最奥の魔法陣のフロアまでやって来た。
「この魔法陣……試練の時に魔物が出現した奴に似てますね」
フーチェにそう言われ、俺もそれに気が付くことが出来た。
「ここから管理者が転送されてくるのかな……」
そんな事を話しつつ一旦昇降機まで戻って来た。
「あと気になるのはこれだ」
そういって俺が見せたのは昇降機の一番上のボタンだ。
最初乗ったときは操作パネルは光っていなかった。
ただ、モニタールームで管理者を呼べとなった後にはこのボタンが光り始めていた。
ボタンは上、中、下とあり、今は下が光った状態。
中は最初にいた所だろうから、押すならこの上のボタンだ。
そう思い、さっそく押してみた。
そしてまた長い時間、昇降機は上り始めた。
ついた場所には真っすぐの通路が伸びており、そのまま進むと丸いフロアへと出てきた。
またもやテニスコート二面分ほどの広さで、通路は来たところを合わせて4つあった。
そのフロアの上を見上げると円柱状の柱が果てしなく上へと伸びているのが分かる。
まるで超巨大な煙突を中から上に向かって見上げているような気分だ。
「この円柱が下層まで続いているのだろうか……」
そう呟きながらしばらく上を向いていると……
「な、何か落ちてくるぞ!!」
――ドンッ!!
大きな音を立てて落ちてきたのは……
「え……? ハナ!?」
なんと妹のハナだった。
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