第25話

「こうなりゃ! 水のハンマーの俺も!」


 俺もこの盗賊団の服装のまま海に飛び込んだ。


 ザブンッ!


 と、俺はあっという間に轟々と音のする激しい水の流れの海の中の奥深くへ沈んだ。そういえば、この橋の下の海は俺がこの世界に来た時に最初にいたところだ。


 一体。

 なんでこんなところに来たんだろう??


 ソーニャは水の神殿の場所を知っているようで、真っ直ぐに海の底へと泳いでいる。海の中の水はやや透明だった。


(うん?!)


 何故か俺は海中を泳げた。そして、海中でソーニャは平泳ぎをして下方へと向かっていのだが、プレートメイルの白い鎧と白いマントによって、普段は見えにくい白のミニスカートの隙間から……。


(おや?! なんか真っ白な……??)

 

 俺は顔を真っ赤にして頭を強く振ると、


(今はラピス城の最大の危機なんだ! 貴重な王族のパンツを見てる場合じゃないんだ!!)


 そろそろ息継ぎが必要になるころには、海の底に朽ち果てた古い神殿が見えてきた。恐らくあれが水の神殿だ。


 先頭のソーニャは水の神殿の居所をしっていたようだったが、さすがに入り口までは知らない様子で、しきりに水の神殿を中心にぐるぐると泳いでいた。


 俺は苦しくなって口を抑えながら水の神殿を遠目で凝視すると、神殿の中央に小さな光を見つけた。そして、そこへ通じる崩れかけた正門があった。


 闇雲に泳いでいたソーニャの手を取り、神殿の入り口を目指す。


(この神殿には……強力なドラゴンが今も封印されているんだ。ひょっとしたら、かなりヤバい戦闘になるかもな)


 俺は内心自信があった。

 また、勝てるんだって……。

 ハイルンゲルトにお礼を言わないとな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る