第23話

「あのソーニャさま。このオニクボが言うには、ここラピス城の海の底にある水の神殿に今も封印されている。あのブルードラゴンを目覚めさせ、今もなお進行中の三万のガルナルナ国の正規軍へ対抗するとのことです」


 不思議だ。俺の思いつきの案が通っている……。

 学校ではみんなによく一蹴されていたのに……。

 

「ブルードラゴン? 水の神殿? それは何なの?」


 ソーニャが首を傾げた。

 黒の骸団の男も当然知らないといった顔をする。

 銀のフォークや真っ白な食器の音がするここ大食堂が急に静かになった。


「王女。今から5年前のことなのです……。ブルードラゴンとは元千騎士のハイルンゲルトによって封印されたあのラピス城の最大の危機の一つで、その強力なドラゴンは、ハイルンゲルトによって、今もなお水の神殿に封印されているのです。お忘れでしょうか?」


 マルガリータの言葉にソーニャは少し首を捻ると、コクリと頷いた。 

 

「五年前というと、私が14歳の時か……確かお父様が生きていた頃だな。ここラピス城が危機に陥って、ハイルンゲルト率いるラストブリッジナイツが三日三晩も激しい戦闘をしたと聞いた。その後に無事、橋の下にある神殿へと封印したとお母様から聞いたことがあるな。私はその戦いは見ていなかった。すまない。では、みんな……。今夜は寝ずに水の神殿で水遊びといこう。あ、みんなじゃない。泳げないガーネットとマルガリータはこの城に残っていてくれ。ただし、万が一の時のために戦いの準備をしていてくれ……。もし、私とオニクボが戻らなかったら……」

「へ……え……??」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る