第10話

 俺はそれを見てお腹いっぱいになってきたので、木製のコップに注がれた水と木の実とフルーツだけをつまんだ。男たちはまだいそいそとマルガリータのために奥の木や枝でできた部屋から食材をテーブルに運んでいた。

 

「簡単にいうと、橋を守る王女直属の騎士たちのことを言うの。元々、私は更に魔法の力が欲しくて橋をしばらく空けていたの。この草原から更に西のヒッツガルお師匠さまの屋敷で修行していたのだけど、そこからラピス城へ戻る際にあなたが海にたまたま落ちてきたの」

「ラピス城??」

「君がライラックに、追いかけ回されていた橋を所有している城の名よ。ラピスって、石の意味で、そのままの意味で頑丈な最後の砦なのよ」

「お……お頭……あの……」 


 どうやら、俺たちは仄暗い洞窟の中にいるようだった。


「じゃあ、俺はその橋を守ればいいんだな。それと、海に落ちてからマルガリータが俺を助けてくれたのか? そして、この草原まで?」 「後、マルガリータは怖くないのか? 俺は橋を守らんきゃいけないんだよな。盗賊はもう怖くないが、そっちの方が怖い(小声)」

「ええ、海の中からあなたを拾ったの。千騎士のライラックは強力無比の剣と鋼のような執念深さがあるわ。今頃、ラピス城攻略よりあなたを追っていると思うの」「私は怖くなんてないわよ(小声)」


「お頭?」

「え……。あ、今思ったんだがラピス城は何でライラックに攻められているんだ?」


 俺はそれを聞いて震えだしたが、レモンをナイフで三等分してから、口の上で果汁を絞った。口いっぱいにレモンの酸っぱさが広がる。


 なんでこんなことに……。

 今は確実に戦争に巻き込まれているんだ。


「ラピス城にいる王女様の治めるグレード・シャインライン国は緑豊かな国。その想像を絶する資源を狙っている周辺の国は荒れ果てた大地を持つ西方のガルナルナ国だけではないのよ。突然、何かの原因で資源がなくなってしまったの東方のクシナ要塞、数十年もの深刻な食糧難を抱える北方のライラックのいるトルメル城と白の騎士の国、干ばつ被害で雨の降らなくなった南方のサンポアスティ国とも戦争しているの」

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