第4話
白い鎧の少女の首元に白い鎧の男の一閃が繰りだされた。
だが、近くにいた俺は、なんとなくほっとけなかった。
両目を瞑って、とっさにずっしりとした白い鎧の男の身体に、本気で体当たりをしていた。 あれれ?? 体が自然と動いたんだよな?
白い鎧の華奢な少女は態勢を整えて、俺の脇まで来ると。
「助かったよ! 君! 君は、なんて名前? どこから来たの?」
白い鎧の大男の方が脇腹を抑えながら剣を構え直すと、俺を恐ろしい顔で睨んできた。
その顔に、俺はさすがに震えだしてしまった。
もう、体が動かないなと思った。
それにしても、誰なんだ??
こいつ??
俺はさすがに、ほんとに怖くて手足が動かないんだ。
「……お、鬼窪……功一……」
「……変わった名前ねえ。鬼窪?! え? !確か聞いたことあるわ!! その名前!! あ、私はソーニャよ」
「へ??」
俺たちの話を聞いていたのか、白い鎧の男は急に血の気が引いた真っ青な顔になった。
「ま、まさか! その名前!! お前! 黒の骸盗賊団の頭領の息子か!!」
「はあっ??」
「そういえば数年前に行方不明になったと聞いたぞ! よりにもよってラピス城にいたのか?! 成敗して名を上げてやるぞー!」
「わっ!! ひっ!!」
な、何! なんだ?!
俺の名前に何が?!
白い鎧の男が俺に突進してきた。
俺は恐怖した!
声も上がらない!
「我が名はライラック! 最強と謡われる誇り高き四大千騎士の一人だ!!」
「ひええええーーーーーー!! ちがーーーーう!!」
あれれれ?? 声が出た?
俺はその場で蹲ろうとしたら、急に金縛りから解き放たれる。
そして、必死に逃げ回りだした!
でも、恐怖と混乱はさすがに続いている!
足に力が入らない!
なんでこうなるんだーーー!!
て、いうか! ここどこーーーー!!
「どこから来て、どこへ行くのかもわからないオニクボの息子よ! ここに王女の名の元に命じます! この国のため。民のため。この橋を守りなさい!」
ソーニャはライラックから命懸けで逃げ回る俺に急に大声を発した。
一瞬、辺りの喧騒が聞こえなくなった。
無数に飛んでくる大砲の弾や矢の音も空気の振動や爆発音。
全て、無音だ。
何もかもこの時に、失ったかのようだ。
俺はハアー……っと、深い溜息をついていた。
それでも、何故か大きな声で「わかった!!」と答えてしまったていた。きっと、なんとなくほっとけなかったんだと思う。普通の鎧の人たちの奮闘ぶりを見ているから、全滅寸前なのに必死だったから、もう後がないっていうのに、命を惜しまなかったから……。
こんな俺でも、まだ意地があったから……。
「ぬおおおおお!! 取ったぞーーーー!!」
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