第2話

 轟々と音のする水の流れの中に俺は居た。息継ぎもできずにもがくだけだった。水の流れは激しく。目を開けた俺は元居たところから、数メートルは流されていることがわかった。


 その時、背中に鈍い音と共に痛みが走った。

 何か固いものに背中があたったようだ。俺は必死にその固いものを両手で掴んだ。どうやら、触ってみて見た感じは、それがボートのようだということだった。


 必死にボートのようなものにしがみつく。

 ボートはゆっくりとだが前進していた。


 肩にオールがぶち当たりそうだった。

 息が苦しかった。必死にボートから身体を少し離して、上へと泳いだ。


 どうしても息継ぎがしたかった。

 いや、生きたかった。

   

「ぷはっ!!」


 俺はどうやら、海面に顔を出せたようだ。辺りは海に囲まれ、遥か上空には一本の橋が掛けられていた。


 かなり長い橋だった。


 その橋の向こうに綺麗なお城があった。

 それを見た俺は、ガキの頃にドイツへ旅行に行った時を思い出した。その城は、ドイツの美しいノイシュバンシュタイン城を思い起こさせるからだ。


 あれ?

 そういや、俺はいじめのリーダーに向かって、確かなんか叫んだんだよな??

   

 ???


 なんで、こんな海の中に?? 

 独りだけで??


 一体! 俺が何したっていうんだよーーー!!

 

 さ、寒いし!

 心細いし!


 しばらくボートにしがみついていると、前方に海中に沈む石の城壁が見えてきた。そこまで泳いで、息継ぎのため城壁を伝って海面まで泳いだ。


「ぷはっ!」


 ようやく水の中から顔を出すと、目の前の城壁に上の橋へと繋がる大きな梯子が付いていた。 


 うわーー!

 長いなあ……。

 でも、ラッキー!


 よし!

 俺は学校では陸上競技会にでたほどの実力者だ。

 体力には自信がある!

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