ナイツ・オブ・ラストブリッジ

主道 学

第1章 物語の始まりは……海の中

第1話 

 キーンコーン

 カーンコーン


 キーンコーン……。

 カーンコーン……。

 


 バキッ! ドン! ゴン!


 大した理由がないのに、どつかれたりしているのも、見ているこっちもほんとに辛いんだよなあ。


 昼休みの教室の端っこで、ずっといじめをするやつらを見ていた。


「ほら、お前はトイレん中で勉強してろよ」

「やーだー、秋野くん。今日掃除当番なんだってね。即行で帰るわー」

「いいねー、一人でいつまでも掃除してろって」


 なんで……。

 俺の教室は今まで静かだったのに。

 けれど、それもイライラするほどの酷いいじめだった。


 まるで、俺も含めたクラス全員でいじめているような気持ちだった。

 だが、実際はごく一部なのだけど。

 いじめをするやつらのリーダーが、これまた金持ちで派手な学ランを着ているんだけど、そいつがたまたま喧嘩が強くて、前にそいつの学ランをダサいと言ってしまった秋野にひどいいじめをするようになった。


 特にいじめのリーダーは秋野に対する嫌がらせが度を越していた。

 

 正直、俺はいじめのリーダーが怖かったんだ。そして、秋野は友達でもない。ただのクラスメイトだった。


「また、いじめられてるの?」


 生徒会長の猪野間が教室に入って来た。

 

 俺は自分のことじゃないのに、何もかもいやになって、どうしても、リーダーに一言いいたかったんだ。


 気づくと、キレて机から立ち上がり必死に拳を握って叫んでいた。


「もう秋野をいじめるのは止めろ――! って、あ、痛えっ!!」


――――


 かつて、海に囲まれた緑豊かなグレード・シャインライン国があった。その想像を絶する資源を狙っている周辺の国は、荒れ果てた大地を持つ西方のガルナルナ国。資源不足の東方のクシナ要塞、深刻な食糧難の北方のトルメル城と白の騎士の国、雨の降らなくなった南方のサンポアスティ国。周囲を数か国の敵に挟まれ滅亡する一歩手前。そこで王女さまは敵の襲撃を防ぐために海に浮かぶラピス城に逃げ込んだ。一本だけの橋を大陸へ掛けて周りは海だったので、その橋はもっとも重要なものとなった。その橋を守る騎士団は人々からナイツオブラストブリッジと呼ばれた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る