第55話 女神!!?
「なんなの~~良い気分でひるねをしてたでしゅよ~~」
エリサとティランは、また目が点になってしまった。
「ねぇ、今度は間違えてないわよね?」
「……はずです。しっかりした召喚の言葉でした」
ティランとエリサは、現れた金髪碧眼の美しい幼女に、身分と何処から来たのか聞いてみた。
身なりは、旅の途中のようだし。この年で冒険者はさすがにあり得ないであろう。
「え~~? じゅうおうぞく?」
幼女は驚いている。ラルキアクトは「シャーッ!!」と幼女を威嚇していた。
「あなたは誰で、何処から来たの?」
エリサが聞いた。
幼女は、フッと笑って言った。
「アルデバランの大地震から、なんねんたってましゅ?」
「四百年近くは経っていますよ」
ティランが答えた。
「そう……このせかいが平和そうで、あんしんしたでしゅ。わたちはイグニス・リリベットでしゅ」
「えっと、私が喚んだのは、この黒猫をどうかしてくれる人なのよ?あなたに出来るの?」
イグニス・リリベットと名乗った幼女は、怒ってエリサに身分を打ち明けた。
「わたちは、ひかりの神のぶんしんでしゅよ!!」
またまた目が点になる、ティランとエリサ。
「待ってください……確かにイグニスは、イリアスの力が
「訳があるのでしゅ。それにしょうらいのことは知らないでしゅ」
またまた顔を見合わせる、ティランとエリサ。
「この獣王族を子供を、どうにかして欲しいです」
「この魔族、わたちのじだいにもいないでしゅ」
《僕はどうなるんだよ~~》
「とりあえず、その黒い毛色がわたちきらいでしゅ」
イグニスは、ラルクアクトの側に行って、自分の血強引に舐めさせた。
ラルキアクトは、本能で舐めてしまった。
「むさぼりくうなでしゅ。えっと、ぎんいろの髪のひと?ひかりのいちぞくの人でしゅね?この魔族からは、その匂いもしましゅ」
「ラルキアクトの食事は、僕が初めてで今回を入れても三度目ですよ」
「ラルキアクト……まおうのいちぞくでしゅね……でもまだ子供なので神格化してしまいましょう」
「どういうことなの?」
「……闇堕ちが出来るなら、神の一族にもなれるってことでしょうねぇ」
ティランは、何気に言ったが、二年前にイリアスに一緒に天界に来いと誘われたエリサはさっと顔色を変えた。
(あれは、こういう意味……?)
かくて、獣王族の魔王の一族であるラルキアクトは、銀色の光に包まれ、黒い毛並みがだんだんと色が落ちてゆき、ついには真っ白になった。
「ついでに、二足歩行も生意気でしゅ」
《ぶぎゃ~~ニャ~~》
ラルキアクトは、バランスを崩し二本足で立っていられなくて、手を地面につけてしか立てなくなった。
呆然とする、ラルキアクト。
「なまえも魔王のいちぞくのものだから変えたほうが良いでしゅ」
「名前はね、ラルカで呼んでるわ。可愛いでしょ?」
エリサが小さなイグニス女神に言った。
「ラルカ……良いでしゅよ。じゃあ、これから、天界の神に預けてきましゅ。おい、ラルカ。お前は、もう神獣よ。神のけんぞくでしゅ。てんかいできょういくされなしゃい」
《やだ~~僕は魔王のラルキアクトだぞ~~お前なんか一撃でやっつけてたるんだ~~》
ラルキアクトは、真っ白な長毛を浮かび上がらせて、イグニス女神に飛び掛かっていった。
ヒョイと浮かび上がってかわす幼い女神。
金色の髪が風で揺れた。
女神はそのまま、ラルキアクトをも浮かせて言った。
「このまま、天界に連れていきましゅ。こいつの事は、しんぱいいらないでしゅよ」
「えっと!! 女神様!! あなたは元の時代に帰れるの?」
心配になったエリサが、幼女の女神に問いかけた。
「創世神のいる天界はあらゆる時代につながってるでしゅ。まだたびのとちゅうであいぼうをまたせてるでしゅ。もどりましゅよ」
浮かび上がった女神は、エリサの問いかけに答えると、上空に上がって見えなくなった。
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