第22話 捕らわれたエリサ
エリサは、騎士団が珍しくて、近寄ってみた。
<あんまり、近寄るなよ……>
「だって…… 騎士団なんて見るのは初めてですもの」
エリサは、ゆっくり降下して後方支援している騎士の上の方に行ってみた。
<やばい!!>
「どうしたの?リカルド」
<風を操る、はぐれ魔法使いがいる!!離れるぞ>
風の騎士が上空に戻ろうとした。
だが、それよりも早く捕縛用の銀色の縄が、エリサを目掛けて飛んできた。
<上級の術者だ!逃げるぞ!!>
エリサは、まさか自分が捕縛の対象者だとは思わずに、
「リカルド、思い過ごしよ~~でも、大きな街よね~ディナーレって」
<王宮をぶっ壊した奴がゆーな!!>
吞気なエリサを煽って、上空に逃げようとしたが、縄の術者の方が手慣れていた。エリサの左足に触れたのをきっかけにグルグルにされて、地上に落とされたのだった。
地上には、騎士の服を着た父のレフと金髪の奇麗なおじさん騎士がいた。
父のレフには、魔法は使えない。
……となると…… 金髪のおじさん騎士がエリサをこんな目に合わせたことになる。まるでミノムシだった。
「女の子をこんな目に合わせなくても良いでしょう!!」
肩の下から、足首まで銀色の縄でグルグルにまかれたエリサは、喚くことしか出来ない。
しかも父がゲンコツで頭を殴って来た。
「「「いた~い!!」」」
「もう二、三発お仕置きしておこうか?」
レフは、手を振って言っている。
「何で、お仕置きされなきゃいけないの?変な魔法使いと変態王子から逃げてきただけなのに!!」
「城を壊してか……?」
「だって……」
レフの冷たい口調に、エリサはしどろもどろになる。
「今回は、ヴィスティンの王族に魔王信仰者がいることが分かって張り込みをしていたんだ。それをお前が城が崩れたせいで証拠が隠滅されたらどうするつもりだ!!」
レフは、今までにない口調でエリサを叱責した。
多分これが、騎士団の団長としてのレフの顔なのだ。
「ストップ、ストップ。レフ、今飛空偵察から報告があったよ。地震で崩れた場所から地下に向かう階段が見つかったそうだ」
「そうか、では、俺が行く。クライヴ、こいつの事は頼んだぞ。縄は銀の森に着くまで解かないでくれ。逃げたらお前の新技を使っても良いからな」
そう言い残すと、レフは一個中隊を連れて、王宮の中へ入って行った。
「おじさんの新技ってなあに?」
ミノムシみたいに横たわっていた、エリサを樹にもたれ掛からせて、クライヴは笑いながら言った。
「ん?捕縛の技の連投だよ、僕は君みたいに精霊ときちんと契約してる訳ではないから、周りの適当な精霊を動かしてるんだ。根性悪な精霊に当たってしまうと、ちょっと難儀だね」
「おじさん、母様たちみたいに学び舎に行ってないのね?」
「そう、はぐれ魔法使いだよ」
クライヴは片目を瞑るとそう言った。
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