短編小説集

黒淵とうや

パラサイト

春風真、17歳。高校二年生、クラブ無所属、友達0。

先生からは相手にもされていない。それが俺。

別に俺は普段の素行が悪いわけではない。遅刻したことは一度もないし、授業を休んだりしたこともない。校則だって全て守っている。

勉強が特に出来ないこともなく、

大体テストは校内で中間位の点数。体育だってどの競技もそこそこできる。

コミュニケーション能力だって低いことはない。

・・・いや、友達0の今の状況しか知らない人は「何言ってるんだこいつ」と思うだろう。しかし俺は、一年前までは確かに友達がいたのだ。先生からも信頼されていた。少なくとも今の状況とは真逆の生活を送っていた。

俺の学校の生活はまず、靴探しから始まる。

学校の何処かに捨てられた俺の上履きを学校のチャイムごなる前に見つけなければならない。今日はゴミ箱の底に捨てられていた。

教室に入ってからは机に置かれている花瓶と油性マジックで書かれた悪口を片付ける。もちろん片付けている間にもクラスメートは毎度のごとく嘲笑や暴力で俺を妨害する。俺が苦しそうにすると彼らは喜び、平然とすれば怒りに変わる。

授業が始まればクラスメートに石を投げられる。邪魔をされる。先生は当然これらのことを無視して進める。俺の顔が悲痛に歪むほど彼らの顔は笑顔になる。

休み時間になれば俺の周りはいなくなる。俺の半径五メートルの範囲は汚染されてるとかなんとか。彼らはあることないこと適当な刃を周りに放出するのだ。俺はそれに対し、顔を下に向けることしか出来ない。

例えば、今俺に対して汚染菌と言ったクラス一のギャルを見たとする。すると彼女は

「うわ、こっち見たんですけど。キモ」

と、こう大声で言う。するとギャルの友達が続けてこう言う。

「早く消えればいいのに」

「なんで一緒の空気吸ってるんだろう」

そこからは罵倒のオンパレード。クラスメートも乗っかってくる。底に平和なんてどこにもない。

だから上げないんじゃない。上げられないんだ。

と、こんな風に俺はどう見たってクラスから嫌われている。

正直学校を転校した方がいいのではないか?と思う人も多いだろう。だけど俺は親にこのことを言ったこともないし転校したいとも思わない。

それは俺の考え方にある。

今眼の前にいるギャルもその取巻きクラスメート達も先生もただ寄生虫に寄生されただけだからだ。というのも、俺は人間全員寄生虫に感染する。あるいは人間自身が寄生虫と考えている。みんなはただ悪い寄生虫に寄生されているだけ、そう考えれば楽になる。

誰もかれもパラサイト。僕も君もパラサイト。

だって地球はパラサイトに埋め尽くされた、寄生された星なのだから。

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