第15話

「しかし改めて見るとすごいなぁ、合掌造り。さっき中に入ったけどやっぱり戦いの中では感じられないもん。」と詩音


「そりゃそうだよ。戦いに集中してるんだからそんなのわかんないよ。」と亜斗


「なんだか養蚕っていうのをしてたらしいね。だからあんな糸を吐く幼虫がいたんだね。」と宇都宮


「モスラ?」と亜斗


「絹だよ。シルク。」と宇都宮


「さてと。これからどうする?一通り観光は終わったけど?」と詩音


「どうしようかな?音針盤に反応がなくなったよ。」と亜斗


「こういう時が一番怖いんだよな。間違いなく。」と宇都宮


そうしていると東の空から濃い群青の光がキラキラとさしてきた。


「あ、見て!そらが群青の結晶が!綺麗!」と詩音


「俺も見える!」と亜斗


「やっぱりな。あれは夢堂が闇落ち寸前の合図だ。」と宇都宮


『ブー!ブー!』と宇都宮の携帯が鳴った。


「はい。もしもし。あ、墨田さん。軽井沢?わかりました。すぐ向かいます。」


と宇都宮が電話でやり取りをした。


「どうやら夢堂の居場所が分かった。軽井沢のようだ。すぐに向かってくれとのことだ。」と宇都宮


「え?軽井沢って言ったら長野県か。俺はてっきり東京の永田町にでもいるとばかり思ってたよ。」と亜斗


「まぁ、そこは神の気まぐれよ。早く行こう!」と詩音


そして一行は軽井沢に向けて旅立った。


しばらくして


「もうすぐ長野県に入るね。しかしあの空の色の件依頼、何にもないね。」と詩音


「確かに。これからラスボスでしょ?それにしては上手く行き過ぎだ。」と亜斗


「ちょっとまて、お前ら。少しは緊張しろ。」と宇都宮


「あ、なんだかお巡りさんが検問張ってるね。」と亜斗


「まって、亜斗!あの人達、赤黒い!」と詩音


「そいつらに構わず突っ込め!」と宇都宮


「分かった!」と亜斗


そういって詩音たちは検問を強引に突破した。すると後ろから白バイ隊がついてきた。


「詩音!取り合えず俺がハーモニクスエスケープでお前らの車に乗る!それから3人でハーモニクスエスケープで外に脱出するぞ!」と宇都宮


「分かった!」と詩音と亜斗


そういって宇都宮がハーモニクスエスケープでバイクからスッと消えた。バイクは横転して一つの白バイを巻き込んだ。


「よし。それじゃあ3人で外へ逃げるぞ。手を繋げ。行くぞ!」


と宇都宮が言い、ハーモニクスエスケープで外へと脱出した。車は縁石沿いの木にぶつかり止まった。そして警官たちが中を調べ、


「おい、お前ら! !? 誰もいない!どこにいった!?」


と警官たちが慌てふためいた。


「ふぅ。どうやら捲いたようだな。さてと。ここから軽井沢までどうするかだ。とにかく時間がない。周りは夢堂の手下だらけ。八方塞がりだな。」と宇都宮


「全部ハーモニクスエスケープで行けばいいんじゃないの?」と亜斗


「それができたら苦労しないんだが、おそらく途中で精神がおかしくなる。それだけは避けたい。取り合えず墨田さんと連絡を取ってみる。」と宇都宮


宇都宮が墨田に電話をかけた


「お疲れ様です。宇都宮です。.........という理由で困ってまして。はい。はい。はい。神社?分かりました。では。」


と宇都宮が電話を終え、


「どうやら神社の鐘をこっちと向こうで同時に鳴らし、その共鳴を拾ってデカいハーモニクスエスケープをするそうだ。向こうの位置を特定できなければ大怪我をする恐れがある。それでもいいか?」と宇都宮


「やるしかないでしょ?」と詩音


「どのみち方法がないからね。」と亜斗


「よし。今から神社を探すぞ。」と宇都宮


そう言って三人は神社を探した。


しばらくさがして近くに古びた神社があった。鐘も辛うじてあった。そして宇都宮が墨田に電話をして


「今から鐘をつきます。そちらの合図を待ちます。はい。 亜斗、準備をして! はい。分かりました。 亜斗 3,2,1,」


『ゴー――――――ン!』


と鐘は鳴り響いた。そして詩音が


「掴んだ!」


と言い、そして3人は瞬時にそこから姿を消した。


一度飛んだと思ったら空高くに現れ、


「まだ遠くだ!もう一回やるぞ!詩音、音を観ろ!」と宇都宮


「ラジャー!行くよ!」と詩音


そして3人は神社の境内上空1.5mのところに現れ、下に落ちた。


「いててて。ここどこ?」と詩音


「熊野皇大神社だ。」


とそこに現れたのは墨田だった。


「墨田さん、どうもありがとうございました。」と宇都宮


「墨田さん、ここの鐘ってなんか無理やりにつるしてません?」と亜斗


「まぁ、諸事情があってだな...。そんなことよりよくここまで来れたな。さすが光の音の者。」と墨田


さらに墨田が付け加えて


「この先10kmほど先に無道の屋敷がある。しかしこの軽井沢の人間は観光客もまとめて無道に操られている。これをどうにかしないといけないのだが、宇都宮、青の魔弾は作れるか?」


「青の魔弾?作ったことないですね。」と宇都宮


「詩音様なら作れるだろ?共鳴銃で作ってみてください。」と墨田


「はい。どうぞ。」と詩音


「はや!」と亜斗


「これと共鳴させるように魔弾を作れ。やってみろ、宇都宮。」と墨田


「はい。分かりました。」と宇都宮


宇都宮の散弾銃に『ガシーン!ガシーン!』と青の魔弾が詰め込まれた。


「それでそこの木を打ってみろ」と墨田


「はい。それでは。」


「ダーン!」


と響いて木に当たった。ほんのりと木が青くなってはいるが傷ついてはいない。


「よし。成功だ。それで自分を打ってみろ。」と墨田


「え?マジっすか?」と宇都宮


「マジだ。」と墨田


「わ、分かりましたよ。では。」


そう言って宇都宮は自分に向けて、足の親指で引き金を引き、自分に打った。『ダーン!』と音がなり、宇都宮はというと、


「すっげー!これやる気がみなぎる。勇気が出る!」と宇都宮


「通常の人ならポジティブなものに変化するんだ。そこで夢堂に支配されている者を打つと正気に戻るというわけさ。」と墨田


「詩音様と宇都宮には問題はないが、亜斗がどうなるかだ。詩音様にリロードさせてもらって共鳴銃を打っていたら時間がかかりすぎる。かと言って魔弾を作るにはまだ早い。ちょっと共鳴銃をいじらせてもらおうか。」


そう言って墨田はごそごそと共鳴銃を改造し始めた。


「街中どうなってるんだろうね?」と詩音


「よくある映画のゾンビのような感じかな?」と亜斗


「確かにそれは否めないな。なんにせよ気を引き締めて行かないとな。」と宇都宮


そうこう言っているうちに墨田が


「できた!共鳴銃魔改造オメガ!」


となんだか弾薬がじゃらじゃらしたものを持ってきた。そしてそれを亜斗に装着させた。


「これって...。ランボーじゃん!怒りのアフガンじゃん!」と亜斗


「お前にはこれくらい弾薬がないと足りない。そしてこれぐらいの弾薬は詩音様なら数秒で作成できるはず。だからこの共鳴銃魔改造オメガで敵を打ちまくれ!」と墨田


「なんだか緊張感がなくなったよ。」


と亜斗が拍子抜けした。

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