第13話

「皆さん、お風呂が終わったら夕食にしましょう。浴衣は用意してあるので。」と九条


「わかりました。お言葉に甘えます。」


と詩音が言うと他二人もうなずく。


「じゃあ、私が先に入るから。覗かないでよね!」と詩音


「覗かねーよ!」と亜斗


「でも本当は見てみたいだろ、亜斗?あの詩音ちゃんの美貌だぜ?」と宇都宮


「な、何言ってんだ!バカヤロー!そんなことあるか!」と亜斗


「ふふふ。どうだかね。」と宇都宮


「しかしさ、宇都宮さん、サウンドハンターのみんなは俺らが生まれる前から音の獣を狩ってるんですよね?なんでそんなことをずっとしなくちゃなんないの?夢堂を倒した方が早いんじゃないの?」と亜斗


「それはバランスの問題なんだ。夢堂が完全な悪とは言い難いんだ。確かにこの国の政治などを掌握してるのは夢堂だ。だからといってむちゃぶりをしているわけではない。無茶をするとこの国家が滅ぶからな。だから俺たちは夢堂が放つ闇だけを狩ることにしてたんだ。無論、夢堂は甘い汁を吸っているけどな。それに以前の夢堂はかなり強かった。だから倒す力は我々にはなかった。そして今、詩音という光の音の人間が現れた。闇にとらわれることのない人間だ。詩音が闇の支配から解き放つ。今が夢堂が闇に飲まれる時。それを防いで光と闇を入れかえる時期なんだ。」と宇都宮


「なるほどね。宇都宮さんはだてに長生きしてないね。」と亜斗


「言っておくが俺はまだ24だよ?」と宇都宮


「へ?まじで?30過ぎたおっさんかと思ってた!」と亜斗


「てめぇ、ぶん殴るぞ!」と宇都宮


「ふ~。さっぱりした。おっきい檜風呂だったよ!てか二人何してんの?」


と風呂上がりの詩音が言ってきた。


「詩音、宇都宮さん、何歳に見える?」と亜斗


「う~ん、30過ぎ。」と詩音


「ったく...。てめーらは...。」と宇都宮


「じゃあ、俺が風呂入ってくる!」と亜斗


「お三方、じき夕食もできるので、早めにお風呂を済ませてください。」と九条


「あ、すみません!亜斗、早くしろよ!」と宇都宮


「お風呂大きいから二人で入ってきたら?」と詩音


「え~、宇都宮さんと?」と亜斗


「俺はゲイじゃないから安心しろ!」と宇都宮


「そういう問題じゃない!」と亜斗


「まぁまぁ、二人でいいじゃない。行っといで!」と詩音


「はーい。」と亜斗と宇都宮


そして夕飯にて


「それで魔音の者よ。夢堂とのバランスは取れているのかね?」と九条


「はい。その辺は抜かりなく。」と宇都宮


「詩音様はお体に異常はありませんか?どこかしら違和感だなどと。」と九条


「いいえ、全くありません。」と九条


「亜斗はどうですか?」と九条


「う~ん。俺にもわかりませんね。」と亜斗


「今のところ詩音様の影響で闇に汚れる心配はないということですね。」と九条


「九条さん、次の行き場所はわかりますか?」と詩音


「おそらく私の勘ですが、岐阜でしょうね。」と九条


「このパターンからすると岐阜と言えば...。」と宇都宮


「岐阜と言えば?」と亜斗


「白川郷だよ!」と宇都宮


「あそこなら良質な音が手に入るはずです。夢堂も狙うでしょう。」と九条


「名所めぐりだね!」と亜斗


「遊びじゃありませんよ?メメントモリですよ?」と九条


「メメントモリ?」と亜斗


「人間はいつか死ぬということです。明日死ぬかもしれないということです。それを自覚してください。」と九条


「う~ん。今までなんとなくで敵が弱かったからいいんだけど、今度はどうなんだろ?」と詩音


「敵が強いというよりも、以前言ったように共鳴刀には学習能力がありますからね。以前から引き継がれた強さが。」と九条


「じゃあやっぱり共鳴刀のほうがいいのか...。」と亜斗


「そうでもないぞ?魔音刀は作れば作るほど強くなるぞ。魔弾も。だから共鳴刀と魔音刀を使う亜斗はおいしい立場にいるな。」と宇都宮


「よっしゃ!」と亜斗


「喜ぶのは早いぞ、亜斗。お前が戦いの場で一番危なっかしいんだから。」と宇都宮


「すいません...。」と亜斗


「さぁさぁ、みなさん、お食事がすんだらお休みください。それぞれの部屋に布団を敷いていますので。」と九条


「それも全部つくも神がしてるんですか?」と詩音


「そうですよ。」と九条


「もうお嫁さんいらないですね。」と詩音


「はははは。そうですね。」と九条


翌朝


「ふぁ~。よく寝た。」


と詩音が起きた。


「あれ?みんなは?」と詩音


「おーい!詩音!みんな朝ごはん待ってるぞ!」と亜斗


「ああ、ごめんなさい!」と詩音


「しかし、詩音ちゃんが寝坊するのは珍しいね。力の使い過ぎなのかもね。」と宇都宮


「一番負担がかかるのが詩音様ですからね。これぐらいは許しましょうよ。」と九条


「遅れてすみません。朝食いただきます!」と詩音


「それじゃあ食べよう!いっただっきまーす!」と亜斗


「若い子はいいね。」と宇都宮


「そうですね。あなたも若いですけどね。」と九条


「ありがとう!九条さん!」と宇都宮


「???」と九条


「みんな旅の準備はできた?」と詩音


「大丈夫!」と亜斗


「お嬢、いつでもいけるぜ!」と宇都宮


「じゃあ、岐阜に向かってレッツゴー!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る