第11話
一行はひとまずホテルを探し、そこで一泊するのであった。
「あ~、久々のシャワー気持ちよかった!」と詩音
「ちょっと薄着すぎじゃない?」
と顔を赤らめながら亜斗が言った。
「あ~、ビールうま!しかしホテルのビールって高いよな。」と宇都宮。
「お前はくつろぎすぎだ!」と亜斗
「で、亜斗は何がしたいの?」と詩音
「取り合えず、風呂入って飯食って早く寝る。」と亜斗
「つまんねーガキだな。酒でも飲め!」と宇都宮
「飲まねーよ!誰がガキだ!」と亜斗
「ところでさ、話は変わるけど、音針盤見ると東の方角になってるけど明日立つ?」と詩音
「そうだな。夢堂は手下をよこして闇に落ちるのを避けてはいるが、一番厄介なのが完全に闇落ちしたときだ。そうなったらどうなるのか見当もつかん。それまでに夢堂の所までたどり着けるといいんだがな。」と宇都宮
「じゃあ、飯食って寝ようぜ。」と亜斗
翌日
「疲れもスッキリ取れたね!」と詩音
「それじゃあ行こう!」と亜斗
「行きますかね。」と宇都宮
こうして3人は東へと向かった。
かなりしばらく移動が続いた。
「しっかし、こうも移動時間が長いと少し嫌になるね。」と亜斗
「まあ、亜斗は運転担当だもんね。私は適当にしてるからいいけど。」と詩音
「運転担当って言ってもオートドライブだけどね。」
「宇都宮さんついてきてる?」
「ついてきてる。あれ?前に来た。何かサイン出してる。ここに止まれってことか。」
詩音たちのバンと宇都宮のバイクが止まった。どうやらここは鳥取県のようだ。
「どうしたの、宇都宮さん?」と詩音
「どうやら砂丘辺りにサウンドハンターが来ているらしい。少し行ってみよう。」
「鳥取砂丘か。またベタな所に...。」と亜斗
「人が集まる場所の良質な音を集めるのが目的だからな。」と宇都宮
3人は鳥取砂丘へと向かった。砂丘に入ると6人が大きな砂ネズミと対峙して
「滅音六芒星!」
と言って6ヶ所に並び砂ネズミを六芒星の中に沈めていっていた。
「墨田さん!お疲れ様です!」と宇都宮
「おお!宇都宮じゃないか!元気にしてたか?」
と墨田という男が言った。付け加えて
「そちらのお嬢さんはもしかして観音堂の詩音様じゃないのか?」と墨田
「そうなんです。私も縁があってご一緒にさせていただいてるんですよ。」と宇都宮
「宇都宮さん、この人は?」と詩音
「この人はサウンドハンターの墨田礼司さんだ。各地を回って音の獣を狩っている。」
「はじめまして。私は神月詩音です。」
「俺は嶋津亜斗です。」
「え?お前らそんな苗字だったの?」と宇都宮
「そうだよ?聞かれなかったから言わなかったけど。ね?」と詩音と亜斗
「はははは!お前ら面白いパーティーだな!」と墨田
「ところでさっきの技?みたいなやつは何なのですか?」と詩音
「あぁ、あれは結界をはって異空間の中に閉じ込めてしまう技ですよ。弱い敵だとあれが効くんです。」と墨田
「強い敵と当たったらどうすんの?」と亜斗
「ハーモニクスエスケープという技を使って音が逃げれる範囲まで逃げますよ。」と墨田
「それって便利ですね!」と亜斗
「宇都宮、そんなことも教えてなかったのか?」と墨田
「いやぁ、面目ない。予想以上に詩音ちゃんたちが強くてですね。」と宇都宮
「この砂丘じゃ逃げ場がどこにでもあるからいいけど、そこのお土産屋に行ってみてやってみようか。おーい、お前らは適当に街で待機しとけ!」
と墨田が仲間に言ってきた。そしてお土産屋が並ぶ所までやってきた。
「いいかい?こういう風に魔音鈴を鳴らすんだ。そしてその倍音振動で一番遠くから聞こえる場所を耳で判断する。そしてその音に身を任せてスッと飛ぶんだ。それがハーモニクスエスケープだ。」と墨田
「わかった。やってみる。」
詩音と亜斗が挑戦してみた。
「一番遠くの倍音振動を捉えて...。」
スッと詩音は土産小屋から隣の土産小屋の裏側に移動した。
「え~と、倍音振動?どうやって聞き分けるの?」と亜斗
「音が重なった!って思った時にスッと乗るんだ!」と墨田
「わかった。...。せい!」
亜斗は土産小屋の屋根に移った。
「これって成功?」と亜斗
「まぁ、逃げたって意味では成功だな。しかしより狭い中で正確に飛ぶにはもっと音を正確に捉える必要がある。」と墨田
「練習しときます...。」と亜斗
「所で宇都宮、魔音鈴は持ってないのか?」と墨田
「それが以前、狩をしている時に壊してしまって。」と宇都宮
「じゃあ、魔音鈴3つ渡すからこれを大事に持っていきな!」と墨田
「墨田さん、ありがとうございます!」
と3人が喜んだ。
「お前らにはお前らの用事があるんだろ?俺はほかの音の獣の所に行く。それじゃあもう行くよ。くれぐれも死ぬんじゃねーぞ?」と墨田
「ありがとうございました!墨田さん!」と3人
しかし詩音の内心思ったことは「私たちは明日にも死んでしまうことをしているんだ。」という思いがこみ上げてきてうすら寒くなった。
そしてまた一行は東へと進むのであった。
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