第1幕 衝撃の展開
第1話 スマホはどこ
「あっ……たま痛い」
二日酔いで気分は最悪。
「水飲も」
ヨタヨタと歩きながらキッチンへ。
「はぁ」
水を飲んでスッキリ……はしない。
「流石に調子に乗りすぎたな」
過去からなにも学ばない私。
でも、久しぶりの大きなネタを掴んで世に出せたのだから許してもらいたい。
どうせ今日の夜からはまた高田を追うことになるのだから。
フリーで活動するようになってから、どれぐらい経っただろう。
考えたくもない。
クビになったが故にフリーになった。
元々は政治に関する記事を書いていた。
そんな私が、
「まさか芸能人のゴシップネタを書くようになるなんてなあ……」
ため息をつくしかない。
「政界の闇を暴くんだ!」
なんて野望を抱いて関西から上京してきたというのに。
落ちぶれたもんだ。
ピロンピロン。
「ん?」
着信音が聞こえる。
が、スマホが見当たらない。
「昨日の私よ、どこへやったんだ」
ソファの下。
「ない」
ソファの隙間。
「ないっ」
探している間もずっと鳴り続けている電話。
おかげで捜しやすいんだけど焦る。
「マジでどこだよ」
ピロンピロン。
「音は近くで聞こえるのになあ」
痛む頭を押さえながらカバンをひっくり返す。
「ないじゃん!」
散らばったペンや財布を放置し床を這いずり回る。
リビングから音がしているのだから、確実にこの部屋にあるはず。
ピロンピロン。
「あん?」
こっちじゃないな。
キッチンの方から聞こえる。
床に落としているんじゃないかと、這ったままキッチンへ。
「音が近くなった!」
見渡してみても床にはない。
ピロンピロン。
「だったら」
キッチンのシンクのふちに手をかけて立ち上がると、
「あっ」
まさかまさか。
シンクの中に発見。
「なんでこんなとこに置いてんだよ」
さっき水を飲んだのに何故気づかなかった。
「私のバカ」
洗わずに放置していた先ほどのコップの横にあったスマホを手に取る。
奇跡的に少し濡れている程度だった。
「酔っ払いすぎだろ、昨日の私」
ピロンピロン。
ってそれはまた後で反省しよう。
数分間鳴り続けているスマホ。
相当大事な用事らしい。
画面に表示されている名前を確認せず、慌てて画面をタップすれば、
「もしも――」
「やっと出たなコノヤロー! てめぇ、なにしてくれてんねん!」
鼓膜が破れそうなぐらい大きな声で
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