第43話 ご褒美が欲しい

 俺とミリーは二人で徹底的にアリスを虐めた。

 ダメダメ言いながら感じる姿は可愛く、しかも身体は正直で喜んでいたから俺たちも止められなかった。


「楽しかった」

「そうですね」


 元々そういう素質があったのだろう。最後の方はもう大変なことになっていたが……。

 裸で半分気絶しているような状態のアリスを眺めながら、俺たちはとても満足である。

 

 ミリーも最初はおどおどしていた性格だったはずだが、ずいぶんと乗り気でガンガン攻めてたな。

 どうやら主人である俺に似てきたらしい。

 

 まあ実際、彼女は有能だったから、必要なのは自信だけだったのだろう。


「それで、ジパングまで何日くらいかかる?」

「一週間ほどですね。その間はまた空の旅になります」

「そうか……一週間か」


 飛竜は広いし、設備も充実しているので退屈はしないが、その間ずっとエロばっかりというのもな……。

 いくら俺の理想の生活とはいえ、みんなにも負担をかけてしまうしなにか考えないと。


 とりあえず、アリスの身体に触れる。

 ビクッと反応して、少し触ったらだけで感じてしまっているらしい。


「……やっぱりそれでもいいか」


 この温もりだけで三日くらい余裕だし。


 などと考えていたから悪かったのだろうか。


「どうしてこうなった⁉」

「たるみすぎだこの馬鹿! あれだけ! 羽目を外しすぎるなと! 言っただろうが!」


 飛竜には鍛錬場もある。

 というわけでセリカやシンシアとお昼の運動を兼ねて特訓を付けていたのだが、正直ここ最近は俺も鍛錬をサボっていた自覚がある。

 彼女たち程度であれば余裕だが、逆を言えば俺の鍛錬にはならず……。


 そして鈍った俺の身体を見かねたカルラ姉さんが木刀を持ち、鍛錬を申し出てきた。

 そこまでは良かったんだけどなぁ……。


「その根性、たたき直してやる!」

「と、ととと! カルラ姉さん早い強いヤバい!」


 魔法なし。つまり素の身体能力だけでの戦いとなる。

 俺は接近戦も出来るが、どちらかといえば魔法で攻撃する方が得意だ。


 対してカルラ姉さんは生粋の武人。

 魔力で身体強化アリなら俺も対抗出来るが、なしの純粋な技量のぶつかり合いでは歯が立たない。


「アタシからしたらどっちも化物だなぁ」

「クロード君、頑張れー」


 可愛い恋人の声援は力になるなぁ。


「顔がまた緩んでるぞ!」

「うぉぉぉぉ⁉」


 ガチで頭割られそうな勢いの剣を必死に受け止める。


「ちっ」


 姉さん、ちょっと舌打ちが怖いんですけど。


 いやわかる。正直カルラ姉さんがここまで荒ぶってる理由ももちろん分かる。

 彼女はかつて婚約者を戦争で無くしてから剣一本で生きてきた。


 剣さえあれば男女のあれこれなど、正直必要とすら思っていないのだろう。


 そんな彼女が護衛という名目で俺たちについてきて、見せられる日々のイチャイチャ。 

 しかも手塩をかけて育ててきた弟子ともなれば、苛立ちも増すというものだ。


 レオニダス領で結構ストレス解消出来たと思ったけど、そんなことはなかったらしい……。

 

「お前、昔はもっと真面目で可愛かっただろ! なにがあってこうなった!」

「こうなりたくて頑張ってたんだよ俺!」

「だとしても、限度というものがあるだろう!」

「おっしゃるとおりです!」


 俺の毎日の生活。

 朝、婚約者の誰かの寝顔を見てるとムラムラし、そのままやる。

 昼、イチャイチャしながら、ムラムラしたらやる。

 夜、基本ローテーションにしながら、でも二人以上とやる。多い日は全員とやる。


 ミリーとレオナが俺の女性か関係のスケジュールを作ってくれているので、基本的にちゃんと平等に愛せているが……。

 まあ本能だから止まれないときはあるよな。


 ああ、それにしてもこうして怒ったカルラ姉さんも美人だよなぁ……。

 長い黒髪が剣と映えるし、鋭い瞳も子どもの頃に憧れてたそのままだ。


 それに肌も綺麗だし――。


「また余計なことを考えているな?」

「あ……やば」

「婚約者を作るなとは言わん! 貴族は世継ぎも大切な仕事の一つだからな! だがそれで剣が鈍るほど怠けるのは許さんぞ!」


 俺の剣が弾かれ、そのまま尻餅をついてしまう。

 さすが王国最強の剣……技量は今の俺より遙かに上だ。

 

 あと俺に雑念がありすぎた。そりゃ負けるわ。


「立て……今日からしばらく、女遊びが出来ないくらい徹底的にしごいてやる」

「げ……」

「覚悟しろよクロード。昔を思い出させてやる」


 それはつまり、とんでもないくらいしごかれるのでは?


 今はもうしごいて欲しいのは股間だけでいいんだけど……


 それから三日。

 本当に俺は婚約者たちとイチャイチャする体力すら残されないほどしごかれていった。


 しかしそうなると、こちらもストレスが溜まるというもので……。


「もう限界だぁぁぁ! ご褒美がないと耐えられん! カルラ姉さん! 俺が勝ったら昔みたいに一緒に風呂入れ!」

「いいだろう! 今のたるんだ貴様には負けることはないと思うがな! あ……」


 売り言葉に買い言葉、というものだろう。

 カルラ姉さんは明らかに動揺した顔をする。


「待て、今のは……」

「言った! 絶対良いって言った! もう取り消しなしだから! それとも王国最強のブルーローズは自分の言葉にも責任持てないのかよ!」

「む、そんなことはない!」

「じゃあ勝ったら風呂一緒に入って貰ってイチャイチャするからな!」

「い、イチャイチャするからな? いや、昔もそんなことしてないだろ……」


 本人自覚無しかよ。

 精神は大人だったとはいえ、あのときの俺の性癖をグチャグチャにしたのに!

 

 大きくなったら絶対抱くって決めたくらいだぞ! さすがに成長して姉代わりの人を抱くより幸せになって貰いたいって気持ちの方が強かったけど……。


「待ってても全然他の婚約しないし! ソルト王から色々と推薦貰っても全部蹴るし! こうなったら俺が抱く! そんで俺の女にしてやる!」

「ちょ⁉ だから待て! さっきと話が変わってきて――」

「絶対かぁぁぁぁつ!」


 動揺するカルラ姉さん。 

 そしてエロというご褒美が待っていて本気なる俺。


 どちらの方がメンタル的に強いか、分かるな?


 この日、三日目にしてようやく俺はカルラ姉さんから一本取ることに成功した。


 そして――ご褒美を手に入れたのである。

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