第33話 シンシアとの夜

 原作キャラたちの魔改造は順調だった。

 特にオウカに関しては本来の原作よりも圧倒的に早く鬼神を御することが出来ているので、強力な戦力となるだろう。


 セリカとロイド先輩にしても、俺が直々に魔力の扱いについて教えているので成長が早い。

 別に俺が優秀なコーチだから、というよりは圧倒的格上と戦い続けるのが良かったのだろう。


 なにせ元はゲームの世界だ。

 理屈なども大事だが、元々彼らは地元ではトップレベルの家柄で基礎は出来ている。


 あと必要なのは強者との戦闘と、これまで経験してこなかった魔力の使い方の二つ。

 これさえあれば、才能はピカ一の彼らが成長しないわけがない。


「イラ先輩は忙しいから訓練する暇はないけど、装備でなんとかするか」


 俺が昔使っていた魔導書。

 今はもう必要ないが、魔力運用を圧倒的に効率化してくれる代物だ。


 これがあるだけで今よりも数段上の実力を発揮できるはず。


「みんな凄いね。もう私よりも強いかも……」

「ご主人様の手にかかればすぐに最強の騎士団が生まれそうですね」

「セリカたちの才能あってだよ」


 訓練を見に来ていたシンシアが驚くが、ミリーの言葉は言いすぎだ。


「いいなぁ」

「シンシアもやってみる?」

「でも私は参加しないよ?」

「どうせ卒業したら騎士団に入るんだから、強くなっとくに超したことはないしね」


 それに最近はこっちが忙しくてシンシアとイチャイチャする機会も


 と、言っても以前セリカにしたみたいな魔力の運用法はここでは教えられない。

 なぜならここにはロイド先輩がいる。


 俺のシンシアのあられもない姿は、誰にも見せたくなかった。


「それじゃあ今日はここまで。あとは自習よろしく」

「わ、ちょっとクロード君⁉」


 小さな手を引きながら訓練場をあとにして、俺は自室へ招く。


「急にビックリした」

「ごめんごめん。それじゃあ、さっそく始めるよ」

「ん……」


 セリカにしたことはちゃんと伝えているので、手を伸ばしてくれる。


 そんな彼女を抱きしめる。

 折れてしまいそうなほど細い身体。

 

 長い銀髪が一瞬顔にかかりくすぐったく、とても良い匂いがする。


 あ、ヤバいこれ。多分歯止め効かないやつだ。


「あの、さ」

「なに?」


 まだ魔力を通していないはずなのに、トロンとした瞳。

 これ、もしかして……。


「最初から期待してた?」

「……だって、最近クロード君忙しそうで会えなかったし。なのに恋人じゃないセリカちゃんとはエッチなことしたって言うし……」


 少し拗ねたような顔。

 それが妙に愛らしくて、そのままベッドに押し倒してしまった。


「わっ」

「あ、ごめん」

「ううん、大丈夫。クロード君が色んな女の子を恋人にしたいのは理解してるけど、私だってもっと触れたいんだよ」


 そういうと手を伸ばしてきて、俺の頬に触れる。

 しなやかな指がそのまま口元を撫で、そっと自分の唇に当てた。


「っ――⁉」


 思わず顔を上げる。

 ベッドに横たわるシンシアは服が乱れ、スカートもめくれて下着が見えたままの無防備な姿をさらしていた。


 恥ずかしさからか呼吸は荒く、その豊満な胸が上下して俺を誘ってくる。


 彼女はすべてを受け入れるように両手を上げたまま、色気のある瞳で見上げていて――。


「あー、もう無理。ずっと我慢してたけど……」

「うん」

「これは訓練とか関係ないから。シンシアが魅力的すぎるからだから」

「ん……」


 言い訳をしながら、顔を落とす。


 キスをしながら、手を彼女の髪へ。

 体重をかけないように肘で自分の身体を支えながら、彼女を堪能する。


 離れたくない気持ちが強いが、一瞬だけ呼吸をするために顔を上げると、二人の間に糸が引かれた。

 そう思った瞬間、シンシアが俺の後頭部を押すように再びキスを求める。


 太陽も明るい時間、水音が二人の間で鳴り響き、俺は貪るように彼女を……。




 行為が終わったあと、俺たちはお互い身一つで布団の中を並んで寝ていた。


「可愛いなぁ」


 疲れてしまったからか寝入っているシンシアを見て、軽くキス。

 起きないように優しく髪の毛を梳いたり、身体に触れたりする。


 思えば、この学園に来て始めて彼女を見てから、ずっとこうしたいと思ってたっけ。

 まだ入学してから数ヶ月しか経ってないのに、ずいぶんと長く感じた。


「これからどうするかだが……」


 オウカも俺の恋人になったし、今度の戦いが終わればセリカももう恋人だ。


 それにレオナ王女。

 ソルト王から貰った情報、そしてやってしまえという指示が出たので、遠慮なくやらせてもらおう。


「カルラ姉さんだけは結構ガチでヤバいけど……負けられないな」


 ここで勝てば俺の目指していた学園生活は盤石になる。

 終わったあとはアリスとも交流を深めて、そしたら夏休みにみんなで旅行とかもいいかもしれない。


「まあそれもまだ先の話か」

「……くろーど、くん?」

「あ、起こしちゃったか」

「きす……」


 寝ぼけたまま手を伸ばしてきて、布団の奧から見えちゃいけない部分まで全部見える。

 そんな彼女が可愛く、俺はまた抱きしめながらキスをして、行為を再開し、丸一日が潰れてしまったが後悔はなかった。




 そして時は流れ、ついにレオナ王女との戦いの日が訪れた。

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