第七異能学院の序列0
眠兎くん。
独白
20xx年、人類はいつも通り平和に過ごしていた。…その日常の中少しずつ起きていた、けれど確かな異変に気付かずに。
最初はただの違和感だった。梅雨がいつもの期間より長く続いたり、星がいつもより遥かに眩しかったり。
だが時がたつにつれて、日常を脅かす異常は存在感を増していった。動物園の動物も怯えだしたり、朝のはずなのに太陽が夕方の位置にいたり、しまいには日本の晴天の空にオーロラが見え始めた。
人類がさすがに何かおかしいと原因を探り始めたその時、突如として世界各地に謎の大爆発が起こった。
爆心地の建物はあらかた吹き飛んだが死傷者0名という原因不明の自体が起こり、世界各国の政府が事態の収束に向け慎重に行動をしていると、世界各地の爆心地にいた者たちの中で自然現象や超常的な力を個人の意思で操るものが出てきた。
目の前に暴風を起こす者。指先に火を灯す者。傷の治りを促進する者。物理法則を無視した動きを可能にする者。
人によって超常的な力の種類は微妙に違い、効力や威力も個人差があった。
その超常的な力を目の当たりにした政府は、すぐにその超常的な能力を操るものを政治的目的で取り込もうとした。
しかし取り込む前にその力をもった悪人がその力を使用した犯罪を行い始め、それを見た政府はすぐに完全武装した兵士を10名送り込んだが為すすべなく全滅。
だが、そこからの市民の安全を優先的にした政府の対応は迅速だった。
その超常的な力を異能と呼称し、政府は他の異能を操る者…(異能力者)に接触した。さらに、異能犯罪対策部隊を作り上げ同じ異能力者による犯罪を抑圧、そして防止した。
そして異能力者に協力を要請し、異能のことを徹底的に調べつくした。そうして、謎の爆発事故が怪しいとみて現場を捜索。そこでは、明らかに現代の物質ではない貴金属らしき物質が2種類ほど発見された。
異能力者に協力もあり、その物質について分かったのはその2種類の物質は片方が異能を吸収・放出する物質であり、もう片方は異能を遮断する物質ということだった。
それらの鉱石の名称を、吸収・放出するほうを〈
その黒遮石を使い、政府は異能者の異能を遮断する手錠を作り異能犯罪者を収監した。
その後、政府は異能者のための様々な法律を立ち上げ、異能が発現した未成年や未就学児のために異能者を教師とした学園を7校立ち上げた。
…そして7つの学園を立ち上げてから50年たった今、現在。
その7校のうちの1校である日本国立第七異能学院では、新入生序列入りのための毎年恒例である新春序列決定祭の開会式が行われていた。
新春序列決定祭とは、新入生の序列決定のための祭りである。
そもそも序列が決まる基準とはなにか?
第七異能学院に入る際、入学初日に生徒には必ず腕輪の形状をしている電子機器『カイン』が配られる。その腕輪には個人情報や、相手との決闘の勝利時&月に学園側から振り込まれる学園共通硬貨『アベル』が入っている。そしてカインのデータ内には、第七学院在校生15000人の序列,過去の戦闘データ,学部などの一般公開情報が載っており、在校生であればそのデータを閲覧できる。ただし、閲覧するのは自分よりタラスクが下の生徒という条件がつくが。
そして序列を決める際に重要なのが、序列基準得点『タラスク』である。 タラスクは入学時点では0ポイントだが学園の生徒に決闘に挑み挑まれ、そして勝利した場合ポイントを獲得することができる。
ただし、タラスクを得る際にはルールがある。
壱.決闘に挑み勝利した場合、敗者のポイントの2分の1のポイントを獲得できる。(【奪う】ではない。) 挑んで負けた場合、自身のポイントの2分の1を失う。
弐.決闘に挑まれて勝利した場合、相手のポイントの3分の1のポイントを獲得できる。挑まれて負けた場合、自身のポイントの3分の1を失う。
参.自身より、ポイントが低い者に決闘を挑めない。
肆.基本的に、挑まれたものが決闘の内容の決定権を持つ。
伍.決闘は断ることもできるが、どの生徒も初決闘の相手は断れない。
陸.上記の伍のルールの後文は序列上位の1500名の生徒には適用されないが、序列上位の生徒は必ず3ヶ月に一度ある第七学院公式戦に出なくてはならない。
漆.決闘前に他生徒に暴行・妨害行為をした場合、第七異能学院管轄組織『ベルキリアス』が対象生徒を処罰する。
捌.3ヶ月、タラスクが0ポイントだった場合、該当生徒を第七異能学院から除籍する。
このようなタラスクの原則などを守りながら各生徒は時に競い時に支えあい、各々の願い・夢・信念のために行動する。
…今後、新入生はこの第七異能学院で序列を通して高みを目指していくだろう。
そして、その高みである序列の最高位の『
壁を壊そうとする者。壊さず乗り越えようとする者。逃げ出す者。あきらめる者。傍観する者。
そのあとの生徒の行動は多種多様だが、それでも自らの成長にどう生かすのか、どうやって自身よりも上位の存在を打ち倒すのか。それを在校生は楽しみにしていた。
まあ、在校生も新入生に先を越されないようにと自分のことで精一杯かもしれないが…。
─少なくとも、とある生徒
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