物理系魔法少女、相手の魔法が俺の魔法
回避の仕方やするタイミングを把握されているせいで、回避してもその先には既に攻撃が来ている。
破壊されると分かっているからか、一つ一つの質量もそこまで多くない。
だから一つの破壊でそこまで被害を与えられない。
無限にも思える闇の海、そしてドラゴンの魔石を使って作られた闇のドラゴン。
「クソッタレが」
「あらあら。お口が悪いですわよ」
ドラゴンがその口を開けて俺に迫って来る。
それだけじゃない。
全力の攻撃をさせない為、下からも闇の刃が伸びて来るのだ。
ドラゴン一体だけでここまで攻撃的ならどれだけ楽な事か。
⋯⋯攻撃的か。
もしかしたら闇のドラゴンは物理攻撃しかできないのかもしれない。
それが分かったところで、俺に何かしらの変化がある訳では無いのだが。
「オラッ!」
ドラゴンに素早く接近してバットで殴り、刃を避ける。
避けた先に来ていた闇を腕を盾にして防ぐ。
「うぐっ」
「だいぶダメージを蓄積されたのではありませんの? それでは、次なる段階へと進みましょうか」
シロエさんの背中から六本の腕が伸びる。
「
その六本の手には剣が握られている。
闇の鞭のような刃に、爪と牙の攻撃をして来るドラゴン、本体さえも攻撃して来るのか。
「ちぃ」
俺は地面に向かってバットを叩き落として、衝撃波を生み出す。
闇の海の膨大な質量によって衝撃波はかき消され、四肢を切断するシロエさんの斬撃を紙一重で躱す。
すると全方位から刃が迫って来て、上からはドラゴンも迫って来る。
「まだまだあああ!」
俺はステッキの見た目を対物ライフルに見た目を変える。
何故かって? バットよりもでかいからだ。
「吹き飛べや!」
グルンと回転して刃を破壊し、ドラゴンにも一撃お見舞した。
逃げ出そうとしたドラゴンの尻尾をすかさず捕まえて、腕に力を入れて地面に押し倒す。
「まずはお前からだ」
「させると思いますの?」
シロエさんの背中から生えている手が伸びて掴んで来ようとする。
ライフルをスイングして払い除け、着地と同時にバックステップを踏む。
「闇が⋯⋯」
どんどんと周囲に広がる闇によって逃げ場を失いそうだ。
一旦逃げる選択肢も過ぎったが、嫌な予感がしたのでやめておく。
だいたい、闇の中を移動できる彼女に俺が勝るとは思えない。
「ま、闇の外では俺の方が速いけどな」
俺にあるのはパワーと力と筋力だ。
それを忘れちゃならねぇ。
「だから、突っ込む!」
「あらあら。自ら死地に飛び込むんですの!」
腕を前に組んで防御体勢を取りながら、まっすぐと突っ込む。
すると、正面から大量の刃が伸びてくる。
当然それだけでは終わらず、囲むように全方位からも刃が伸びるのだ。
質量で考えたら正面の方が多いか。
「俺の魔法少女衣装は特別性だ!」
ぶかぶかのパーカーに切り替える。
魔法少女の衣装だと腕は露出してしまっているので、長袖の服にする。
あとは衣装を信じて、スピードを落とさずに突っ込む。
刃の先端と腕が衝突し、刃がへし折れる。
「そんな!」
「どうやら、俺の方が強いらしいな!」
「そう考えるのは早くてよ。やりなさい!」
ドラゴンが口を開けて迫って来る。
もう見飽きたぜお前はさ。
また同時に刃も迫って来るか。良いぜ相手してやるよ。
「だけどな。対策はしてんだよ!」
「なんですって!」
ドラゴンが来るタイミングと刃が来るタイミングはほぼ一緒だ。
もう一度言おう、『ほぼ一緒』だ。
その『ほぼ』の部分、タイムラグを利用するのだ。
「俺にとっては、相手の魔法が俺の魔法なんだよ!」
ドラゴンの頭を無理やり抑えて、もう片手で顎を上に押す。
両手で口を挟み、力を込めて逃げないようにする。
そして、グルンと振り回す。
「ホワイトダークドラゴン、ナックルだあああ!」
「シンプルネーミングですわね!」
「シロエさんに言われたくないですぅ!」
相手のドラゴンを使って刃を破壊し、さらに振り回して海も破壊していく。
「一旦解除すれば良いだけの話ですの。⋯⋯なんで解除できませんの!」
「俺が握ってんのに、解除なんてできる訳ねぇだろ!」
「どう言う論理ですの!」
知らん!
俺が相手の魔法に干渉しているとか、そんな話をどっかのネクロマンサーが言っていたのを聞いていた気がする。
魔法陣とかも掴むとそのまま使えるし、消える事は基本ない。
だから、俺が触っている間は主導権が一部俺に移るんだと思う。
実際のところ知らんけどね。
今もドラゴンは逃げ出そうとバタバタ暴れているし。
「だけど逃がさねぇぜ。魔法の使えないドラゴンは、ただのドラゴン鈍器だ!」
シロエさんに向かってドラゴンを叩き落とす。
瞬時にステップで回避を試みたシロエさんだが、ドラゴンの範囲が広かったせいもあり、バランスを崩した。
その一瞬の隙を逃さない。
「ドラゴンの背負い投げ!」
ぶっ飛びやがれ!
バランスを崩したシロエさんに向かってドラゴンをぶん投げる。
「離しましたね!」
闇のドラゴンの闇が魔石を捕まえながら離れていく。
「ッ!」
「さっき自分で言った事をそのままやるとわな。さすがのアカツキさんを舐め過ぎだ」
投げたと同時にステッキのバットを持って俺は接近していた。
当初はドラゴンごとやるつもりだったが、いなくなったので見やすくて良いね。
「オラッ!」
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