物理系魔法少女、ステータスがバグった
時は流れて俺は今、所属しているギルドの支部長室に来ている。秘書さんの転移でだ。
彼女は自分の仕事場に再び転移した。
ここの支部長とは初めてあったのだが、大人の女性だった。どことなくユリアさんに似ている。
もしかして姉妹⋯⋯いやいや、それは無いか。
紗奈ちゃんの方をチラリと見ると、目を点にして支部長を見ている。
顔が上手く分からない本部長もきちんと居た。それと端っこにはどことなく会った事のある雰囲気を持った女の子が掃除をしていた。
高校生くらいかな?
その人は一旦追い出されて、魔法かなんかでドアが塞がれた。
「お久しぶりだね、神宮寺くん」
「そうですね本部長」
俺と紗奈ちゃんが隣り合わせで座り、対面には支部長と本部長だ。
あの翼を持った女性が俺が朦朧としながら運んで居たドロップアイテムを机に広げる。
「がしゃどくろの討伐おめでとう。まさか殴るとかそこら辺しかできない状態でこれを成すとは、いやはや大したモノだ」
「それは本気で思ってます?」
「本気だが?」
「そうですか」
なんか嘘っぽい本部長の返事。
「それより、これらはどうするの? 全部換金する? それとも一部を換金して一部は引き取って、オーダーメイドの武器とか頼む? せっかくの骨だしね」
支部長が見た目の大人な女性からは考えられないくらいの高音ボイス、小学生くらいの声を出してびっくりした。
「そうですね。せっかくなのでこのオーガが持ってた酒を貰いますかね? 他は売りで」
「そっか〜。じゃあ査定して行こっか。紗奈っち頼める?」
「え、私ですか?」
紗奈ちゃんが嫌そうな顔をするが、支部長曰くこの中で査定できるのは紗奈ちゃんだけらしい。
鑑定スキルは持ってないが資格は持っているらしく、しっかりと査定はできる。
「紗奈っち、本来の値段よりも吊り上げて請求するならこっちにしてね」
「おいおい、神宮寺くんはここの探索者だろ? 報酬は当然、ここのギルドから出すべきだとは思わないか?」
「レイド型の素材だよ? 貴重じゃん? だからお懐の厚い本部が買い取るべきだと、思うな〜」
なんか無駄な争いの火種がここでできた気がする。
話を進めたいな。
「あの、貰うとは言ったんですけど、飲めるんですか?」
「オーガの酒は飲めるよ。レアドロでね、高級酒並の価値はある」
「⋯⋯こんな事聞くのもなんですが、これ一個だとどれくらいの価値が?」
本部長に聞くと、五本の指を立てた。
「五万ッ!」
確かにそれは高級酒だ。
これは飲むのが楽しみだな。多分ユリアさんも喜んでくれるだろう。
だけど本部長は顔を横に振るった。
「⋯⋯まさか五十万!」
「残念150万だ」
「1はどこから!」
そもそも残念どころか、さらなる期待が膨らんだだけじゃないか。
そしてアカツキの話に移る。酒は紗奈ちゃんに預かってもらう。
「正直、紗奈っちはこのギルドから手放せない。そしたら君もここに所属したまま、だから世間にはアカツキはウチのギルド所属で発表しようと思うんだけど⋯⋯」
支部長が本部長を見る。
「まぁ確かに、本部の方が守りが堅いのは認めよう。だが専属にできるような受付人がね。自分の秘書しか居ないんだよね」
「絶対に嫌です」
バイ俺。
「絶対にヤです」
バイ紗奈ちゃん。
「優秀なんだけどなぁ。何してんだよ」
主に飲んだくれの影響で俺の中の秘書さんで優秀のイメージができない。
でもちょっとした疑問があるので質問をする。
「本部にアカツキが所属していると言う名義だけはダメなんですか?」
「ん〜ギルドも一枚岩って訳にはいかないんだよココと違ってさ。アカツキが持って来た物を調べられると、ね?」
確かに。
ネクロマンサーのアイテムとかその辺は既にこのギルドで換金している。
その辺の矛盾点を解消するためか。
「⋯⋯改ざんしたら良いのでは?」
「別に不都合とかは無いよね? 面倒だからこのままが良い」
本音か?
まぁ構わないか。アカツキと言う人は実際にはいないんだから。
世界的な注目を集めてしまって、ギルドに人が来るから、アカツキと言う人物を作り出してギルド所属をアピールする。
「まぁ構いませんね」
「マスコミ、クランのスカウトマンは神宮寺くんとアカツキを結びつけないだろうから、そこは大丈夫だね」
それは確かに。見た目年齢がだいぶかけ離れているし、何より性別が違う。
その人を出せと言われても、ギルドが守ってくれると信じている。
「査定終わりました」
「ほう。それで紗奈っち、結果は」
「細々としたのは後で資料として提出するとして、ざっくり一千万です」
「OK本部よろしく」
い、一千万。
本当にそのくらい行くのかと疑問に思っていると、紗奈ちゃんは笑顔で「行くよ」と答えた。
多少盛ってそうだけど、ありがたい話なので静観しておくか。
どっちのギルドが支払いをするかの結果を。
「ちなみにこれはがしゃどくろのドロップアイテムだけの計算で、他のオーガの魔石やクエスト報酬は別途ですからね」
「だってさ本部長」
「こう言う時だけ敬うな。クエスト報酬はここで出せ」
結局本部長が折れた。
「でも、レイド型にしては報酬の数が少ないよね〜」
「それはそうだな。神宮寺くん、他に落ちてなかったか? その後の調査では何も見つかってはないが」
本部長の言葉でガントレットを思い浮かべたが、あれは消えたので無い。
良く分からないし、無いって事にした。
「じゃあ最後にコレ」
ステータスカードを支部長が取り出した。
「君の。確認して」
俺は自分のステータスカードを確認する。
ネーム:神宮寺星夜 レベル:4
体力:S 筋力:SS(エラー)
防御:A 敏捷:S
器用:E 技能:C
知力:A 魔力:FFFF×(エラー)
スキル:【魔法少女】《神の加護:ロキ》《幻夢精霊契約者》『自己再生.6』『脚力強化.4』『敏捷強化.4』『筋力強化.4』『打撃攻撃強化.3』『衝撃耐性.5』『火系耐性.2』『打撃耐性.6』『魔法攻撃耐性.2』『死霊攻撃耐性.3』『
「お、レベルアップして⋯⋯なんだこの文字化け」
てか評価の横の(エラー)ってなんだよ。魔力の評価おかしいやろ!
着々と脳筋ルートを突き進んでいる気がする。
「どう?」
紗奈ちゃんに聞かれる。
「どうと言われても⋯⋯なんか魔法を使いたい気分になったね」
「筋力と魔力の評価は?」
「あー筋力はSSで魔力FFFF×だね」
ん? なんか場が凍った気がするけど。
とりあえず今日はこれで終わり、本部長の転移魔法で良い感じに濁して、今日は普通にダンジョンに行く許可が降りた。
アカツキとして活動しずらい事だけは言われた。ドローンカメラも壊れちゃったし、買わないとな。
「星夜さん星夜さん」
「ん?」
テンションの高い紗奈ちゃん。
「レベル4にまとまったお金、今後の収益も安定しそうだし、条件達成でしょ?」
「⋯⋯確かにねぇ」
正直、深い理由とかは分からなかったが結論だけをまとめよう。
世界にはこのギルドにアカツキが所属している事にする。以上だ。
これで世界の『アカツキどこのギルド』問題が解決するだろう⋯⋯その代わり当分このギルドには迷惑をかける。
ネーム:神宮寺星夜 レベル4
体力:D 筋力:D
防御:D 敏捷:FF
器用:A 技能:A
知力:A 魔力:SSS
スキル:【幻夢の魔法少女】《神の加護:オネイロス》《幻夢精霊契約者》『創作幻術』『幻夢創造』『幻覚領域』『虚実反転』『想像力強化.3』『自然治癒効率強化.2』『氷系耐性.7』『殺気察知.7』『危機察知.7』『順応.5』
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