人気受付嬢、親友の手伝いと出張を確信した
はぁ、私がどうしてわざわざ彼女の手伝いをしないといけないのだろうか?
確かに、星夜さんが関係しているから私が自ら手を貸したいとは言ったさ。
だけどさぁ、アメリカのエージェントを相手にしないといけないとは聞いてない。
捕らえるのに私の魔法は便利だけどさ。
「それで、どうしてエレキトルコアを狙っているのか、教えて貰えるかな?」
「⋯⋯言うと思うか?」
レベル8なので、私達には手も足も出ない強さだ。なのに口を割らないのか。
めんどくさいなぁ。帰りたい。
⋯⋯でもこの人は許さない。
星夜さんのところに行っていた可能性が高い。それが許せない。何をしたかは関係ない。
星夜さんと密室の空間に二人きりで居た、その事実だけで許せない。
「口を割らないなら、色々と凍らせて喋らせるよ? 責任感か、正義感か、そこら辺を凍らせれば喋るんじゃない?」
「紗奈ちょっと怖いよ? ん〜使用目的が分かれば、エレキトルコアを渡しても構わないんだよ?」
「それを信じろと言うのか?」
帰って来たら仲間が全員氷の石像になってました、その犯人の言葉を信じれますか? 答えは「いいえ」だろう。
やっぱり説得ってのは面倒だ。コイツは星夜さんに何かをした可能性があるんだ。
だから説得する必要は無い。
感情とか記憶とか、色々と凍らせて洗脳させちゃえば完了だ。
合理的ではなく平和的に行こうとする意味が分からない。アメリカと敵対したくないんだろうか?
日本ギルド総戦力ならどんな国にも負けないだろ。その時は世界が危険かな?
天使が出て来そう。
「これが証拠になるかな?」
そう言って彼女が見せたのは、自分とエレキトルコアのツーショットだ。
加工とかはしている⋯⋯主に自分の顔に。
今見せているのに加工する必要はあるのだろうか? 分からんな。
「エレキテルコアはグレイプニルを動かす為に必要なエネルギー源なんだ」
「知ってるぅ」
「なにっ!」
え、私知らない。
あ、なんかメッセージで詳細が送られて来た。
ふむふむ、グレイプニルの使い道が知りたいのか。
まぁ私は氷を維持していれば良いかな? 殺すって言う怖い事はできないので問題ないと思うけど。
酸素を氷の中にしっかりと送らないとね。間接的なら行けるから。
「今、アメリカには新たに発見されたダンジョンがある」
そんなのあるんだ?
私、何も知らないんだけど? 支部長に聞いてみようかな。
「そのダンジョンにはとても強い魔物が一体存在しているんだ。それが徐々に出口に向かって来ている」
ダンジョンは一定数の数の魔物が現れると外に溢れる。
そんな一体が出口まで向かって、外に出る事があるのか?
私には分からない事か。
「その魔物を倒す為に必要なんだ!」
「よく分からないな。魔物を倒すのにどうして捕縛装置が必要なんだ?」
「そいつが強すぎるんだ! 捕縛して動きを鈍らせないと、倒せない!」
そんなに強いの?
え、そんなのが日本に来て欲しくないんだけど。
頑張れアメリカ!!
それが難しいから、日本のダンジョンにあるエレキトルコアが必要なんだろうけどさ。
日本のダンジョンで得られた物は日本の資源だ。
それを密かに奪おうとするのは、条約違反となる。
「ふーん。どのくらい強いの?」
「政府直属のレベル9が三人も居た部隊が⋯⋯かすり傷も与える事ができなかった」
「「ッ!」」
レベル9の強さは自分達が良く知っている。
だからそれがどれだけ異常事態なのかは、はっきり分かる。
レベル9が三人も居て、かすり傷も与えられなかった魔物がアメリカに居る。
しかも出口に向かって進行している⋯⋯それだけで異常性の高さが伺える。
「紗奈、どうする?」
「私はアメリカに行きたくないよ。これ以上星夜さんと離れたくない! 離れちゃうとストレスが溜まって爆発しそう!」
「お、それは良いね。その魔物にぶっぱなせ!」
「お前にぶっぱなそうか?」
彼女の顔が真剣になる。
なので私も真顔になって、考えているアピールをしておく。
明日の晩御飯はどうしようかな? とか考えながら。
「私と紗奈が行ってどれくらいダメージを与えられるかな?」
「おい待て。なんで私が戦力に入る」
「だって、日本ではトップスリーに入る実力だし、世界的にも強いじゃん?」
「だからってなんで他国の為に動かないといけないのよ。だいたい、私は国に興味ありません!」
「知ってる。⋯⋯この案件は多分、本部長も動くよ。だから報酬も期待できる」
私にはお金もあるし、報酬なんて正直どうでも良いんだよなぁ。
星夜さんとは離れたくないので、断ろう。
頑張れ、遠征しに行く人達。
「セキュリティの高くて二人で暮らせて安いマンション、それに将来の戸建て⋯⋯」
「⋯⋯ッ!」
「それを優遇して貰えるかもしれないよ?」
確かに、今日の事がまた起こるかもしれないし、星夜さんの収入も考えればそろそろ引っ越して良い時期だ。
本部長の紹介があれば、良さげな場所が比較的容易に手に入るだろう。
こ、コイツ。
さすがは私の親友と豪語するだけはある⋯⋯性格を理解している。
「支部長にも声をかけておくよ」
「うん。そうこなくっちゃ。私は本部長、それと他のレベル9かな?」
「な、何を言っている?」
おっと、置いてけぼりだった。
「お前らが数人来たところで何かが変わると思うか?」
「大丈夫だよ。私達、普通とは違う化け物だから。特に紗奈は」
「私を化け物にするな」
むしろ化け物はそっちだろう。加護を持って使徒であるこの私と同等に戦えるのだから。
未だに現状把握ができてない様子のエージェントさんを放置して、私はギルドに向かった。
支部長は必ずあそこに居て、何かしらの仕事を二十四時間継続して行っているから、会える。
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