物理系魔法少女、リアル魔法少女になれた

 まさかの展開が現実で起きていた。


 「それにしても、数年会ってないだけで人ってあんなに変わるんだなぁ。オムライス、美味かった」


 そういや、身体に似合わない力を使っていたけど、あれはなんなのかな?


 ネットで調べたら何か出てくるかも。


 「あ、これか」


 外でもスキルなどは使えるけど、魔法系などは使えない⋯⋯か。


 限定的なんだね。


 「⋯⋯え、待って? それって俺のスキルにある魔法少女、ここでなれるの?」


 でもなぁ、ダンジョンの中に入ったら急に変身して外に出たら解除された。


 つまり、強制変身な訳だ。


 そんな自由自在に変身できたりしない!


 「ま、そう思ったら出てくるよなステッキちゃん」


 俺が最初に持っていたステッキが右手に出現した。


 だけど、俺はまだ男のままだ。


 「へ、変身」


 俺の身体が光に包まれ⋯⋯る事はなく骨格や皮膚が変わり、俺の服が徐々に魔法少女風の格好になる。


 なんって言うか、目線が少しばかり下がるのも体験できる。


 ぶっちゃけ気持ち悪いね。


 俺は鏡に向かう。


 「面の良い女になりました⋯⋯待てよ?」


 これってさ、合法的に女風呂に行けるんじゃないか?


 だって見た目は女なんだしさ。


 「まずは服を脱がないとな」


 でもこれどうやって脱ぐんだ?


 ⋯⋯あ、そうだ。


 俺の天才的な頭脳が見事に閃いた。


 まずは服をバスタオル一枚にする。


 テレビであるだろ、バスタオルを身体に巻くの。


 あれをイメージすると、見事にバスタオル一枚の状態になった。


 「あとはこれを外せ⋯⋯外せば⋯⋯くっそ!」


 と、取れねぇ。


 仕方ない。


 ならば水着でどうだ!


 うーんなれたけどなんか羞恥心がある。


 だけどそんな心はぶち殺して俺は脱ぐね!


 「くっそ脱げねぇな!」


 まさかこの魔法少女の服は脱げない仕様だと言うのか?


 ふざけるな!


 裸をイメージすれば⋯⋯ちくしょう変わらねぇ。


 「うんだよクソがっ! サービスは紐水着かよ!」


 俺が叫んでいると、隣からドンっと殴られる音がする。


 「るっせぇぞ!」


 「すみません!」


 ん〜私生活でこの姿を使う事はないかな?


 俺は元に戻り、消えろと心の中で思えばステッキは消えた。


 「今日は寝るか。明日もギルドに行かないとな。でも、今のペースだと金を稼ぐのに時間が掛かる」


 そこで調べてみると、『サポーター』と言う人を雇えば沢山のアイテムを持ち帰れて、報酬が増えるらしい。


 あとはチームメンバーと協力して⋯⋯そんな相手は居ないので無視だ無視。


 それと、ステータスは評価であり、大まかに分けられているので、同じランクのステータスでもその間には差が存在する。


 レベルはゲームみたいにポンポン上がる仕様ではなく、強敵を倒したり経験を積んだりしてようやく上がる。


 レベルが上がると壁を越えた事と同義で、一気にパワーアップするらしい。


 故に、レベル1と2ではかなりの差が生まれるとの事。


 スキルやその人の才能しだいで全てが変わるらしい。


 「さて、結局どうやって金を稼いだモノかね」


 脳筋戦法でとにかく金になる相手を倒しまくるのも良いかもだが、それだと効率が悪い気がする。


 何か良い案はないのか?


 「クラン⋯⋯も無理かな。他には⋯⋯」


 そこで俺はとある動画を発見した。


 それはダンジョンの攻略風景を撮影して、実況しながら魔物と戦ったりダンジョンを探索するモノだった。


 かなり再生されている。


 「きちんと広告収入が入るのか⋯⋯」


 ダンジョンの動画で求められるのは色々とあるらしいが、それは普通の動画でもあまり変わらない。


 見る人の欲求を満たせる動画を撮れる、作れる人が沢山稼げるのだ。


 「魔法少女って動画映えするかな?」


 つーか、あんなとこでどうやって撮影とかやってるんだ?


 そこも調べてみよう。


 「へ〜そんな感じなんだ」


 このダンジョン配信者にも事務所的なモノが存在して、色々なサポートを受けられるらしい。


 クランとはまた別。


 カメラマンを用意したりなどなど。


 個人でやる時にカメラマンを雇えない時は、追尾型ドローンを使用して、撮影するのが主流らしい。


 だが、どちらも俺が手を出せるレベルではない。


 やるとなるとかなりの金がかかるので、片手のスマホ撮影になるだろう。


 しかし、一人でスマホ撮影はかなり過酷であり、そのような動画はあまり伸びている印象が見受けられない。


 「やると決まった訳じゃないけど、ダンジョンで手に入る金の他に広告収入があれば、より安定しやすい⋯⋯いや、俺にそんな力」


 それもまた違うか。


 「既に地に足着いた安定した職は俺には無い。後が無いって事は失敗しても問題ない。今の俺は無敵! 当たって砕けろ! やれる事はとことんやったりましょうか!」


 その為にも今日は明日への英気を養う為に寝る事にしよう。


 布団を広げて横になる。


 あ、スマホの充電も忘れないでね。


 「そういや。ステッキで布団とかやったらどうなるんだろ?」


 結果として、布団に変更できる事はなかったぜ。


 ちくしょう。


 ふわっふわの布団を一瞬でも期待した俺の気持ちを返してくれ。


 おやすみなさい!


 メッセージで紗奈ちゃんからも『おやすみメッセージ』が来たので、返しておいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る