9 ローザの探索魔法
「できるのか?」
「私、攻撃魔法は自信がないけど、探索魔法だけは得意」
「おお、頼もしい」
「ローザ偉い」
ミラベルが彼女をナデナデしようとする。
「……手が届かない」
「あはは、ミラベル、ちっちゃいもんね」
「ローザが高すぎ」
そう、彼女は170センチ後半くらいの身長だ。
俺よりも高い。
小柄なミラベルだと彼女の頭に手が届かないのも納得だった。
「ローザかがんで」
「はいはい」
「なでなで」
「ありがと、ミラベル」
「えへん」
礼を言うローザに、なぜか胸を張るミラベル。
「じゃあ、さっそく探索魔法を始めるわね。集中するから、みんな静かにしてね~」
言われて、俺たちは黙った。
「わくわく」
「はい、ミラベルもしばらくお口チャック」
「りょーかい」
……なんてやり取りを経て、ローザの探索魔法が発動する。
「【サーチⅢ】!」
ちなみに呪文名のあとについている『Ⅲ』って数字は、その呪文のランクを表している。
サーチⅠよりもⅡが、ⅡよりもⅢのほうがランクが高く、効果もそれに比して大きい。
ヴ……ンッ!
ローザの周囲に緑色の輝きがあふれ、波紋状に広がっていく。
やがてその輝きが薄れ、
「――見つけた。こっちの方角よ」
ローザが言った。
「具体的な場所は?」
「さあ?」
俺の問いに肩をすくめるローザ。
「……見つけたんじゃなかったのか」
「方角だけはね。後は対象に近づけば、もう一度【サーチⅥ】の効果が発動するはずよ」
「けっこうアバウトだな」
「【サーチ】系も効果はピンキリだからね。ランクがⅥかⅦくらいになれば、かなりの高精度で探し当てられるんだけど、私にはとても無理。ごめんね」
「いや、方角を定めてくれただけでも貴重な情報だ。ありがとう、ローザ」
「にゃはは」
というわけで――俺たちは出発した。
まずはヴィクターさんを探し出す。
それから、今後の方針を定めるんだ。
――やはり、君も目指すのか。『星の心臓』を――
ふいに、脳裏に声が響いた。
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