7 『天の遺産』を持つ者たち1
オーロラによって虹色に照らされた空――。
その下に数人の男女が集まっていた。
「レイン・ガーランドが動くようだな」
白髪の青年……ゴルドレッドがつぶやいた。
「『付与』の『天の遺産』を持つ者かい?」
隣にいる女がたずねる。
『探査』の力を持つ女――メリーアンだ。
「ああ。もう一人……ヴィクターとやらは、どこにいるかは不明だ」
「ものすごい方向音痴らしいですからね」
「お前なら探せるだろう。『探査』の力で」
「えー。あれやるの疲れるんだよ」
メリーアンが肩をすくめた。
「レインはどうするつもりなんだろうねぇ? あたしたちを殺しにくる? 仲間になる? それとも――」
「『星の心臓』を目指す可能性がある」
「『星の心臓』……」
「俺たちにも未だたどり着けない、世界の中心にして最果て――」
ゴルドレッドが空を見上げた。
「気に入らないね」
「ジグ」
「僕らを出し抜いて『星の心臓』に一番乗り――なんてことになったら目も当てられないじゃないか」
美貌の少年が口の端を歪めて笑う。
邪悪な印象を与える笑みだった。
「同感だぞ」
うなずいたのは十代前半の小柄な少女だ。
「リサ」
『停止』のジグと『魔弾』のリサ。
二人もまた『天の遺産』の力を持つ能力者だった。
そもそも、ここにいるのは全員がその力を持つ者たちだ。
『星の心臓』にたどり着くため、共闘をしている超常の力を持つ者たち――。
「何をする気だ、お前たち」
「僕らが何をしようと、あんたに関係ないだろ」
「あたしたちはお前の部下じゃないぞ」
ジグとリサがにらんできた。
「別に命令する気などない。ただお前たちの考えを聞きたかっただけだ」
「リーダー面するな、って言ってるのさ、ゴルドレッド」
ジグの表情が険しくなる。
「『止め』ちゃおうかな?」
「争う気はない」
ゴルドレッドは苦い思いを噛み締めた。
「だが、どうしてもと言うなら――」
その眼光が鋭くなる。
「『変え』ざるを得ないな」
「っ……!」
今度はジグの表情が変わった。
「別に、今すぐあんたとやり合うつもりはないよ」
「いずれは……決着をつけるけどね」
と、横からリサが言った。
「あたしたちは一時的に手を組んでるだけ。それくらいは全員分かってるぞ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます