3 出立と告白2
「だから、今回は『世界の敵』じゃない。だけど――もっと危険な存在かもしれない」
『天の遺産』の所持者たち――。
俺がチート級の付与魔術を扱えるように、奴らもそれぞれチート級の力を持っている。
その力の一端は光竜王との戦いで見せつけられた。
もちろん、光竜王自身も強敵だったんだけど、あの二人の力にも苦しめられた――。
「まずは会ってみたいんだ」
「……その人たちがいるのは、ずっと遠い場所なんですよね?」
ニーナがぽつりとつぶやいた。
「寂しいです……せっかく帰ってきたのに、またお別れ……そうやってレインさんはだんだんこの場所から離れていくんじゃないですか?」
「えっ」
「ここは――『青の水晶』はレインさんの居場所になっていますか?」
ニーナが俺を見つめる。
しばらくの沈黙が流れた。
俺はとっさに言葉を返せない。
「……ごめんなさい。変なことを言って」
頭を下げると、ニーナはいきなり席を立って飛び出していった。
「ニーナ!?」
「もう、追いかけた方がいいですよ」
隣の席の受付嬢――メアリが言った。
「放っておいちゃダメです」
「そ、そうだよな……よし!」
俺は彼女に半ば後押しされるようにして走り出した。
ギルドの建物を出て、中庭のところで追いつく。
「ニーナ!」
彼女はうなだれ、ベンチに座っていた。
「あ、すみません……ちょっとショックだったので、外の風に当たろうと……レインさんがまたいなくなるかと思うと」
顔を上げたニーナは暗い表情だ。
俺は彼女の隣に座った。
「もっと一緒にいたいのに……もっと会いたい……ずっと一緒に……なのに、また離れるのが……つらいです」
「ニーナ……?」
「私……レインさんのことが……」
ニーナがうつむく。
「その、たぶんずっと前から意識していたんだと思います。それで――この間、しばらく離れ離れになって、自分の気持ちにはっきり気づきました」
「ニーナ……?」
「私、レインさんが好きです」
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