6 幹部たちの衝突《追放者SIDE》


「くそっ、俺たちを『ビッグ5』から除外するだと!?」


 バリオスは怒声を上げた。


 まだ怒りが収まらない。

 新興とはいえ、『王獣の牙』は大陸最強の一角と認められた冒険者ギルドだ。


 それを、ちょっと調子を崩したくらいで、その座を取り上げようとするとは――。


「見る目のない無能どもが……っ!」


 腹立たしい。

 まったくもって腹立たしい。


 その元凶となった男――レインの顔が脳裏に浮かんだ。


「全部あいつのせいだ……」


 胸の奥からドス黒い衝動が沸き上がる。


「あいつを――レインを殺す」

「ち、ちょっと待って。さすがに暗殺はまずいんじゃない?」


 と、グレンダ。


「うるさい! あいつが武器や防具の強化を解除したせいで、俺たちはとんでもない目にあっているんだ。報いを受けるのは当然だろう」


 そうだ、殺してやる。

 一度口から言葉にしたことで、バリオスの衝動はより明確になった。


「すべてあいつが悪いんだから……!」

「落ち着け、バリオス。明らかに冷静さをなくしているぞ」


「うるさい!」


 たしなめるゲイルの言葉も聞く耳を持たなかった。


 バリオスは幹部たちとの会議を終えると、さっそく刺客を手配すべく準備に入った。

 このギルドは暗殺者ギルドとのつながりもある。


 そこに連絡をつなぐ。


「腕利きの奴を頼む。報酬は言い値で払う」

「分かった。だが、そいつの報酬は相当高いぞ」

「俺を誰だと思っている。天下の『ビッグ5』のギルドマスターだぞ。金の心配はせずに最高級の暗殺者を手配しろ」




「ねえ、これからどうする?」

「バリオスの奴、最近は明らかに様子がおかしいからなぁ」

「まさか、レインを殺すなどと言い出すとは……」


 三人の副ギルドマスターはバリオスと別れた後、ひそかに話していた。


「もうバリオスはダメだと思うのよね」

「ああ、俺も切り捨てるべきだと思う」

「いっそ儂らもここから離脱するか」

「もっと条件のいいギルドを探すのもいいかもね」

「ああ、そうだ」

「いずれにせよ、ここからは離れることになりそうだ……」

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