ブラドラのナムさんと。 ~なんか唐突に嫁が空から降ってきたんだが?~

くらげロック

第1話 やっぱりまずはそのままで (唐突)。

 

 

 それは唐突だった。


 ヤマーリ歴397年7月7日。朝の7時頃。


 東大陸西端の海岸沿いに位置するロダンテベラ海洋連合国。


 覇権を握ろうとする大国への対抗措置としていくつかの小国が集まり成立したこの地 (それでも微々たる規模だが) にある、地方都市モメント・ウフ。


 その郊外にぽつんと存在する我が城 ……というか、開拓しそこねて放棄された荒れ地の集落跡を勝手に改造して住んでいるだけの自称我が城な。


 いつものように朝日の差す頃に自然と起きて、適当なメシを適当に作って食い、適当に仕事をして日銭を稼ぎ、気が向いたら趣味に没頭して日が暮れる。


 そんな適当人生を送り続けて早何年だかも忘れたが、そろそろ年も30を過ぎて、嫁さんも居なけりゃガキのひとつも拵えた覚えはない。 ――そりゃ、昔のアイツとかあいつとかとした時に出来てりゃまた違ったんだろうが。


 でだ。ここいら周辺の世間様では7月7日の今日、星降ほしふりの日だかなんだかで自治会の連中が地域のガキ共を集めて夜にちょっとしたマツリをする。


 起源を辿ると、大昔に空からやって来た厄災に捧げる生贄の儀式だったらしいが、どこがどうネジ曲がったのか今じゃ息災を願って神聖なる存在である子供達 (市井のガキ共) が天の神サマに祈る日、という地域行事に。まるっきり逆でやんの。


 俺もあの街に居た頃は妹と強制参加させられたもんだ。ちなみに妹のマローナは近所の無口なマーボウ (加工屋の息子) とデキた挙げ句に、独立したマーボウの店を切り盛りする肝っ玉母ちゃんなんぞをやっている。


 よく喋るあいつのお陰で店が回って感謝しっぱなしだとは、いつだったかの酒の席でマーボウが零した言葉だ。


 ……人間ヒトってのは許容範囲を超えた事が起こると、話が脇道に逸れまくるもんなんだな。これが現実逃避ってヤツだ。



 7月7日の朝っぱら、そろそろメシでも食うかってな時分に響き渡る轟音と、窓の外を埋め尽くす強烈な閃光。明らかにここの近辺で何かが起こったらしい。


 ネグラから飛び出し、まばらに草木の生える荒野の先にもうもうと土煙が立ち昇るのを確認。相棒のオンボロトラックに飛び乗って、取り敢えず現場へと向かう。


 爆撃か? それにしちゃ一発落とすだけってのは中途半端だし、大した衝撃波も無かった。そもそも、あんな場所に攻撃するようなモンなんざ――


「まさか俺んか? ……んなわきゃ無ぇよな」

 

 

 

 

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