嫌な涙

@AI_isekai

涙「愚痴」

 涙とはつまりは泣く事


 思いやり、悲しみ、悔しさ、感動、人間にある優れた感情表現の一つであり自らが制御することは非常に難しい。

 

 僕は、よく泣き虫だと言われてきた。

 幼稚園のときは、おもちゃを取られて泣き出したとも聞いた。

 小学校のときは、先生に宿題を提出しなかったことを叱られ泣き出したとも。

 

 当たり前の話だとは思うが、人は誰しもが弱点を見せるような涙をそう簡単には見せないし、見せたくないだろう。

 

 僕もそうだったし、今もそれに変わりはない。

 中学二年の夏、僕はとても仲が良かった友達と大喧嘩をした。僕たちは、家も近くで親同士も非常に仲が良かった。

 

 でも、僕が原因で友達とは長い間話すことはなくなった。夏休みに入っても一度も喋らず、学校でも彼と僕は別々のグループで過ごすようになっていった。

 

 その間、僕はいつもこう思っていた。

 「謝りに来たら、許してあげるのに」

 今思えば、漫画だとかによくある友達同士の失敗例だったのかと思う。僕から行けばよかったと何度も思う。


 寝床へと行き、暗い天井を見てふと思ってしまう。なんで、こうなったんだ。と

 いわば、ぶつける先の無い愚痴だ。

 長い間、それは続いた。彼を責める気にはなれないけど、僕の気持ちを抑え込める気もしない。

 

 暗闇の天井そらに、僕の愚痴をぶつけ続けた。


 「なんでだよ...」「悪いのは....僕じゃ」「クソ...」


 そして、愚痴を吐くたびに胸は締め付けられ顔は熱くなっていった。

 目元も大きく膨らみ、赤くなったのを感じた。熱でもあるのかと、疑うほどだ。

 

 そして、僕の視界は歪み静かに目が潤うの感じた。袋から溢れ出した水のように、それは頬を垂れて濡らした。

 

 中学に入って初めての涙は、なんの感情かも分からない愚痴による涙だった。

 

 

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