夏の不安と記憶について

@Kaeriten

夏の不安と記憶について

秘密基地も履歴と思う夏近し

スイミングクラブ母は氷菓呉る


蠅除の目立たなかった肉捨てる

立つ度に奪ひ合ひたり寝茣蓙の座


扇風機ウチュウジンにはなり損ね

花氷地球ほしの最期も眠りたり


蔓の日除ひよけたしか母校の近くにも

傘の少女をとめ四葩の背まで屈みけり


文豪の永久とわの悩みも紙魚が食う

訊ねられノートに生ふる「かきつばた」


インターン夏日なつび往路に余り白飛び

暗闇のみぎは白シャツ仄かかな


坂炎ゆる定年の父やや遅れ

父泳ぐすいと涼しく肩こは


河童忌に対象のない卑語が出た

夏季講座 共謀 ソーダ・ファウンテン


無機の街に数寄者の仕事つくり滝

夏陰やみんなボールを追つてゐる


「特別」を強いる世に居て夏木立

は沈む季節は端居から終はる

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