吐露、吐という言葉が入ってます。
なんだい当たり前じゃないかと言われるかもしれません。

理不尽や静寂の怖さを吐けずに吐露したいけど、そんな場所も関係も持てなかった。

見た目はいい透子と関係は持ったけど、この主人公の怖さは透子に吐けなかったんだろうなと思います。

吐いても理解してくれるだろうか。
ストレスで自傷的に吐く自分を受け止めてくれるだろうか、どう説明するのかどうなるのか、そもそもみんな『こう』なのか、よくあるのか。

そんな感情が混ざった主人公の弱ささえも刺さるお話でした。
特にラストの透子との未来を思っているだけと主人公が思っている文章が胸に鋭利に刺さりました。

なんでおれはこうなんだろうな。

悔しさとか、やり場のない怒りとか、そういうどうしようもない感情ってどうしたらいいのでしょうね。吐くにしろ泣くにしろ、少しでも救われるのであればそれでいいのかもしれません。寄り添える相手がいてくれることが生きている実感や幸せに繋がるのはわかっているのに、見栄があったり、自分を責めてまた落ち込んだり。ありのままの自分って、自分が一番受け入れられないものなのかな、など考えたりもしました。

吐くってめちゃくちゃ気持ち悪いですししんどいですが、だからこそそこに依存してしまう気持ちが分からなくもなくて引き込まれました。すごく好きです。

透子さんはやさしい人ですね。
それに、多分種類は違うけれど、心に傷を持った人でしょうね。
ピアスって自傷と変わらないって言いますし。
壊れそうな人のことをわかる人って、壊れそうな人なんでしょうから。

この世に生きる「生きれてねえやつら」が、全員共感するような内容なんじゃないかなって思いました。
そりゃ吐くほど追い詰められていない人がほとんどでしょうけど。
死にたいと言う気持ちについての言及の仕方もうまくて、すごく理解できるし共感できるんですよね。すごい。とても重い言葉なのに、短い言葉で納得できました。

めっちゃ後味悪いんですけど、こう言う『苦さ』で救われるパターンもあるのかって思いました。