三 愛しい人
私は小児性愛者である。
エドアルド殿下にあった時、運命を感じたほどに。
絹のように滑らかな黒髪を背に垂らし、少女性すら感じてしまう愛らしい顔。相反して知性的な目と抜きん出た武術の才。
恥ずかしながら私はエドアルド殿下にしか魅力を感じたことがない。
私は変に理想が高かったらしい。他の少年たちにも惹かれたことはなかった。
エドアルド殿下の可愛らしい小さな体とその体に秘める頼り甲斐の格差に打ち抜かれてしまった。
そんな旨を本人に懺悔する機会があった。
「俺しか惹かれない?」
「ええ。理想が高いらしくて他の少年にはちっとも」
「・・・へえ。俺のどんなところに惹かれるんですか?」
「それは、その強気な男性みと愛らしい容姿の格差とかドキドキするし、年齢にそぐわない知性的な目も賢さも素敵だなと思う。可愛らしい大きさの体と頼り甲斐のある背中も好きよ。絹のような純黒の髪は美しいし、切長の目はかっこいい。武術の才も弛まぬ努力を重ねるところも。それから———」
一度語り出すと止まらなかった。それだけ魅力溢れる殿下が悪い。
エドアルド殿下はにっこり笑っって最後まで聞いていてくれた。こんな気持ち悪い告白を、最後まで。そんなところがずるいと思う。
「では、俺が成長したら残念ですか?」
最後まで聞いた殿下はそう聞いてきた。あれはどういう意味だったんだろう?
エドアルド殿下のことを考えていた時、当の本人から連絡が飛んできて、クリスチナは思わず肩を震わせた。
クリスチナは一度深呼吸を大きくしてから、エドアルド殿下との個人チャットを開いた。
エディ:今いいですか?
クリス:構いません。殿下からならいつでも。
エディ:では遠慮なく。兄上の臣籍降下が今決まったそうです。
クリス:・・・やはりそうですか
エディ:できれば王は兄上にやってもらいたかったですが、公であれだけやらかせば庇えません。裏からではなく表から堂々と国を支えることにしますよ。
クリス:私も両殿下のお力になりたかったですが・・・申し訳ありません
エディ:クリスチナ嬢のせいではありませんよ。貴女は十分力になってくれました
エディ:正式に発表があるのは後日ですが、その前に話があるので王宮に来てもらえませんか?
クリスチナは了承の返事をして、予定を詰めるべく手帳を開いた。
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