シュウカイドウ

昼夜

本編

《常澄家》


「おばさん、おはようございます」


「あら穂乃華ちゃんいらっしゃい。あの子はまだ寝てるから起こしてきてくれないかしら」


「やっぱりまだ寝てるんですね...」


「毎度のことながら悪いわね」




私は中井穂乃華なかいほのか今日から花の女子高生。私は絶賛片思い中である。相手は今起こそうとしている幼馴染の常澄彩乙葉つねずみあおばに...




「はぁ..よし!あおちゃん入るよ」


ガチャとドアを開けると布団にくるまる天使の姿が


「ほのか〜もうたべられないよ〜」スヤー(_ _).。o○


「かわっ!・・・じゃなくて朝だよ起きて!遅刻するよ」


「あと5ふん」


「後5分じゃないよ今日入学式なんだから早く起きて」








「穂乃華いつもありがとね」


「全然大丈夫だよ!おばさんの朝ごはん食べれるし、それに⎯⎯⎯寝顔見れるし」


「ごめん最後の方なんて言った?」


「なんでもない!」




あ、あぶなかった。聞こえてなくて良かった




「「ごちそうさまでした」」


「お粗末さまでした」




「「お母さん(おばさん)行ってきまーす」」


「行ってらっしゃい。遅刻するんじゃないよ」


「わかってる!」






《登校中》


「ねぇ穂乃華今日の放課後にさ昨日テレビでやってたクレープ屋行こ〜」


「いいよ!あおちゃんどこのクレープ食べに行くの?」


「駅前のショッピングモールの中にあるんだけどそこのチョコバナナが美味しいらしいよ」




甘いものの話をしてる時のあおちゃんはすごく楽しそうにしててかわいいなこの笑顔が見れるだけで心が浄化されていく...




「あっ穂乃華!ちゃんと前見てぶつかるよ」


手を引っ張られて彩乙葉に抱きつく形になってしまった


「大丈夫?」


「ひゃあ!だだ、大丈夫だよ」


「どうしたの?熱でもある?」


「本当に大丈夫だよちょっと考え事してただけだから」


「そう、なら良いんだけど」




そんなこんなで彩乙葉と話しながら歩いていたらいつの間にか学校に着いていた






《教室》


「穂乃華も彩乙葉もおはよう相変わらず仲が良いわね」


「凉ちゃんおはよう。家向かい側だしね」


「凉おはよう。穂乃華とは長い付き合いだしねそれを言ったら凉もだけど」




話しかけてきたのは早雲涼はやくもすず中学からの友達だ。私の片思いを知っている数少ない人でよく相談に乗ってもらっている




「そうだ涼もこの後クレープ食べにいく?」


「どこの?」


「駅前のショッピンg「行く!」・・・お、おう」


「あそこのクレープってものすごく美味しいのよね」


「それじゃ行くってことで穂乃華もそれで良いでしょ」


「うん、大丈夫だよ人数多い方が楽しいし!」




「よしお前ら席につけホームルーム始めるぞ。私の名前は西村莉奈にしむらりなと言う。この学校は3年間クラス替えが無いからなずっと担任だよろしく頼む。


早速だが、今日は初回なので格授業の説明と教科書の配布で下校になる。


何か質問あるやつはいるか?」


「はーい先生は彼氏いますか」


クラスのちょっとチャラめな男子がそんな質問をした


「はぁ...次からそういった質問は受け付けないぞ。質問の答えはNOだ」


「質問は・・・無いみたいだな。それでは教科書を配布していくぞ」







「・・・以上で今日の予定は終了だそれでは帰っていいぞ」




お昼くらいだと思ってたけど予定より早く終わったみたい


あおちゃんと遊べるなんて(楽しみだな〜!)


「何が楽しみなの穂乃華?」


「あっ...声に出てた?」


「思いっきり出てたわよそんなに楽しみなのね〜穂乃果は」


「うん、クレープ食べに行くのもそうだけど二人と遊べるから」


「ほんと!!楽しみにしてくれたなら誘ってよかったよ」


「二人ともいちゃついてないでさっさと行きましょ。昼食べてから買うのかそのまま買いに行くのかどちらにしても早い方がいいでしょう」


「「いちゃついてない!!」」


「ほら、いちゃついてるじゃない」


「わかったからとりあえず行こ話すのは歩きながらでも出来るし。ほら穂乃華行こ」


「あおちゃんがそう言うなら・・・わかった」




涼ちゃんめ私が好きなの知っててこういう冗談を言う...。私はこの気持ちをあおちゃんにバレたくない。今のこの幼馴染という関係性を壊すことが怖い、この気持ちを打ち明けてあおちゃんとの関わりが無くなることが怖い。


もちろん恋人になってデートしたりキスしたりしたいけど、今はこの関係ぐらいがちょうど良いかなって思ってる。




「それにしても涼が私たちの誘いに乗るの珍しいね」


「そうね。百日紅ヒャクジツコウのクレープなんて滅多に食べれないし、たまには友人の誘いにも乗ってあげないとね」


「前者の理由がほとんどのくせに。シフトまた沢山入れたでしょ。よく今日空いてたね」


「当たり前でしょう今日は入学式だから流石に入れなかったのよ」


「なになに?涼ちゃんのバイトの話?」


「あら?居たのね」


「酷いよ涼ちゃん。涼ちゃんのバイト先の店オシャレで可愛いよねまた買いに行こうかな」


「私も当たり強いの買おうかな。穂乃華一緒にいきましょ」


「えっ...いいの!行く!いつ行く?楽しみ!」


「楽しみなのはわかったから少し落ち着きなさい。」


「はーい!」









《クレープ屋百日紅》




「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりでしょうか?」


「どうしようかな?二人はどうする?」


「バナナもいいねでもイチゴも捨てがたいな〜どっちにしよう」


美味しそうなスイーツを前にして沢山食べたくなってるあおちゃんかわいっ!


「私、バナナにするからあおちゃんはイチゴにして分けっこしよ」


「ほんと!ありがと穂乃華大好き!」


「...っ!・・・全然大丈夫だよ。私もどっちも食べてみたかったし。涼ちゃんも決まった?」


「えぇ。決まったわよ」


し、しぬかと思った..不意打ちの大好き破壊力やばかった


「チョコバナナ生クリームとイチゴ生クリームで」


「私はシナモンシュガーバターで」


「かしこまりました。出来上がりまでこちらのカウンターでお持ちください。」




〜数分後〜




「お待たせしました。チョコバナナ生クリーム、イチゴ生クリーム、シナモンシュガーバターです。またお越しください」




「食欲そそられる良い匂いだね。そういえば涼ちゃんはあんまお腹空いてないの?」


涼ちゃんが頼んだクレープはあんまりボリュームがあるものではないからふと気になった


「いえ、空いてるわよ。ただちょっと「もぐもぐ・・おいしい〜!」ちょっと!話してるでしょうが!・・・シンプルなものが食べたかったのよ」


「もーあおちゃん!食べたかったのはわかるけど流石に空気読もうよ」


「仕方ないじゃん。食べたかったんだもん。涼の頼んだ動機なんて興味ないし」




涼ちゃんも食べ始めたし私も食べよ「いただきます」ん〜!美味しい!イチゴの酸っぱさに生クリームのほんのりとした甘味がマッチして丁度いい甘さになっている。




「穂乃華そっちも頂戴」


「うん。はいあ〜ん」


「それやんなきゃだめ?」


「うん」


食い気味にうんって言っちゃったからちょっと圧が出たかもしれないけど、あおちゃんのあ〜ん見たいししょうがないよね、ね!


「わ、わかった。あ、あ〜ん・・・まだ?」


「どうぞ!よくできました」


「モグモグ・・・イジワルしないでよ」


「ごめんってあおちゃんがあまりにも可愛かったから...」


ほんとに『まだ?』の上目遣いが嗜虐心くすぐられちゃってちょっとイジワルしちゃった...てへっ(≧∀≦)照♡


「まー可愛かったならイイケド」


「あのー...お二人さん?私もいるってこと忘れてないかしら?」


「・・・あー...うん、ごめん」


「涼ちゃんごめんなさい。でもあおちゃんが可愛すぎるのがいけないと思わない!?」


「それはいいのだけれど私だけじゃなくて周りに人いるんですからね」


Prrrrr...Prrrrr


「ごめんなさい私だわ」


涼ちゃんに電話がかかってきて離席してしまった


「何の電話だと思う?」


「どうせバイトでしょ。涼のことだし頼まれたら断れない性格だから」


「ごめんなさい...人手が足りないらしくて...」


「行ってきな。どうせもう引き受けたんでしょ。元々の予定だったクレープも食べたから解散するつもりだったし気にしなくていいよ」


「うん..ありがとう行ってくるね。二人ともまた明日」




涼ちゃんが見えなくなった頃




「それじゃ私たちも帰ろうか」


「うん。・・・にしても珍しいこともあるんだねあおちゃんが気を使うなんて」


「私が誘ったんだし、申し訳そうにしてたから流石にね」


「んーふふっ優しいね」


「そんなことないし」






「また明日。明日はちゃんと起きるんだよ」


「善処する。おやすみ」


「もー!それしないやつじゃん!早く寝るんだよ。おやすみ」






《学校》




「二人とも二日目から遅刻か?もう中学生じゃないんだから気を引き締めていけよ。」


「「すみません気をつけます」」




あおちゃんにあれだけ起きてと言ったのに私も起きれず揃いも揃って遅刻してしまった。なぜ寝坊したかというとお風呂で考え事をして気づいたら深夜になっちゃって...考え事はみんな分かってると思うけどもちろんあおちゃんのこと!寝坊した理由はこんなとこにして莉奈ちゃん先生の話を聞かないと




「・・・よし。今日の予定を言うぞ。実は5月の後半に開校祭がある珍しいとは思うが、是非この機会に親睦を深めてくれ。今日は開校祭でやる出し物を決める。案がある奴はどんどん言ってけよ」




「喫茶店」


「メイド喫茶!!」


「お化け屋敷」


「タピオカ屋」


「メイド喫茶」




メイド喫茶連呼してる人いるけど、どうなんだろう?女子に仕事集中しそうだし学校的にもメイド喫茶は大丈夫なのかな?ただあおちゃんのメイド服かわいいだろうな〜!メイド服着たあおちゃんに『ご主人様いかがなさいましたか?』って言われたい!『チッ!何の用ですか』って冷たい視線で見られるのもいいな...




「そうだな遅刻したし中井なんか案出してみろ」


「・・・えっ」


「なんだないのか?」


急に言われてもなんも思いつかないよ既存の案言うのもあれだし...そうだ!衣装逆転喫茶にすれば良いのかこれなら女子だけに仕事が集中しないし何より男装したあおちゃんが見たい。普段キレカジ系でボーイッシュ系着ないから


「えーと、衣装逆転喫茶なんかどうですか」


「良いじゃないか。他クラスとも被らなそうな案だ反対がなければこのまま決めるがあるやついるか」


「反対じゃないですけど食べ物はともかく衣装とかはどうするんですか?」


「衣装は手芸部と連携して作ってもいいし、予算内であれば既製品を買うこともできるな」


テキトーに言ったのに割と通りそうでびっくりなんだけど。楽しそうだしあおちゃんの男装見れると思うと今から楽しみすぎる...!


「今日決めるのはここまでだ。教員会議で問題がなければこのまま進めていくことになる。ただ、通常授業もしっかりあるから気抜くなよ」




《昼休み》




「開校祭楽しみだね〜、ね〜あおちゃん」


「そうね誰かさんが異性装喫茶なんか言わなければね」


「えーどうして?喫茶店楽しそうだし、メイド喫茶になるよりマシじゃん!」


「それはそうだけどなんかの展覧会にしてみんなで出し物まわりたいじゃない...」


「あおちゃんかわいい〜!!一緒にまわろうね!」




え、あおちゃん可愛すぎない!?一緒にまわりたいなんて突然のデレ・・・天使じゃん!いやもはや天使通り越して女神様じゃん。それに、あおちゃんの男装の姿も見れるとか開校祭って...もしかしなくても神イベすぎない!?入学早々こんなイベントあるなんてこの学校に入ってよかった!!




「時間に限りあるんだし早く食べよ」


「わぁーあおちゃんの弁当豪華だね」




おばさん...あっ、あおちゃんのお母さんの事ね。おばさんの料理がすごく美味しくてたまにご馳走してもらったりしてるんだ!もうプロかってレベルなのただの主婦なんだけどね..




「穂乃果のは少ないわねどうしたの?」


「今日寝坊しちゃって作れなかったからご飯だけ詰めたの」


「そうなんだ。可哀想だしちょっとおかずあげるお母さんいつも多めに詰めるし・・・太るから控えめにして欲しいんだけど...」




あおちゃんはこんなこと言ってるけど全然太ってないからね!モデルみたいにお腹引き締まってるし...羨ましい




「全然太ってないし。・・・そのたわわなお胸に全部吸われてるんじゃない?またデカくなってるでしょ」


「そうかなぁちょっとブラキツくなってきた気がするけど」


「持ってる人は皆そんなことを言うんです〜。私なんかブラなんて最初から一ミリも変わってないですよ!...はぁ」


「わ、私は穂乃果の慎ましやかな胸も好きよ」


「...ほんとぉ?」


「もちろんよ」




...ヨシ!計画通り。私のライフを犠牲にしてあおちゃんに好きって言って貰っちゃった!胸小さいのちょっと気にしてるけど好きって言って貰ったから実質プラス!








◆◆◆


《開校祭準備》






遂に開校祭がスタートした。・・・って言ってもまだ準備期間なんだけどね。でも通常授業も少なくなってクラスのみんなも浮き足立ってる気がする。そういう私も超ウキウキしてるけどね!そんな私は今買い出し担当であおちゃんと一緒に百均に来ている。




「みんなに頼まれたのってマーカーとセロハンテープだっけ?」


「えーとメモ書きに書いてあるのはあとガムテープとベニヤ板だね」


「じゃあ買ってくるからちょっと待っててね」




えーとこれとこれを買えばOKでついでにこれも買っちゃお関係ないものだから自腹だけど頑張ったご褒美ってことで




「・・・熱っつい!なに?...なんだ穂乃果か。これココア?どうしたの?」


「頑張ったご褒美ってことで好きでしょココア」


「...好き。ありがと」




実はあおちゃんブラック飲めなくて似てる甘いココアを小さい頃飲んでそれ以来ずっとココア飲んでるの可愛いでしょ




「買うものも買ったし学校に戻ろう!」


「うん」






「「ただいま〜」」


『おかえり!』


「マーカーとベニヤ板はこっちの看板のとこに置いといて」


「ここ置いとくね。じゃ私は料理組だからあとでね」




私はいつも弁当作って来てるからってことで料理組になった。料理、装飾、衣装があって他に当日はホール、厨房と受付であおちゃんは装飾で当日はホールをやるみたい。




「当日出す料理って何がいいかな?」


「定番だとサンドイッチじゃない」


「あとホットケーキいいと思う。2.3日は持つし作るのも簡単だから」


「じゃあクレープもいいんじゃないこの前お店で食べた時美味しかったし」


「メインはその3つにするとしてドリンクはどうする?」


「コーヒー、紅茶と子供用にソフトドリンクがいいんじゃない」


「リンゴジュースとオレンジジュースでいいでしょ好き嫌い少ない飲み物で」


「今日はもういい時間だし次からは今日決まった食べ物のレパートリー考えるってことで以上解散!」




他のみんなは先に終わってもう帰った子が多い。今学校に残ってるのは部活とか委員会、私たちみたいに文化祭関係で残った人だけ。あおちゃんは先に終わったけど図書室で待ってるってメッセージが来てた。




「あおちゃん、お待たせ!」


「長かったね。そんな白熱したの?」


「他の子がカフェでバイトしてたりで頑張ってたから抜けるに抜けられなくて...ごめんね?」


「いいよ。どうせ図書室で勉強するつもりだったし。・・・帰ろっか」


「そうだね」




今日は帰ると疲れて早くに眠ってしまった。






◆◆◆


《開校祭前日》




「・・・これそっちの方がいいんじゃない?」「そうだな。おーい!ちょっと動かすの手伝ってくれ!」「「行くぞせ〜の!」」




開校祭前日のクラスはすごくわちゃわちゃしていた。それは私たち料理組も当然そうで・・・




「これもう焼けてる?」


「それはあと少し!」


「そっちの机の上のやつはもうできてるから運んでいいよ」


「オッケー!運んでくる」




サンドイッチとクレープは当日に作ることになって、ホットケーキ?パンケーキ?どっちだっけ?まあどっちでもいいや。それでホットケーキを朝から何十枚も焼いたから食べてないのに匂いで胸焼けしそう。メニューはこんな感じになった。


ーーーーーーー


    サンドイッチ


・ツナのサンドイッチ


・卵のサンドイッチ


・ハムとレタスのサンドイッチ


    クレープ


・チョコバナナ


・苺カスタード


・苺あんこ


    ホットケーキ


・ハチミツ


・バター


・クリーム


    ドリンク


・コーヒー


・紅茶


・リンゴジュース


・オレンジジュース


ーーーーーーー




まあ、いろんな人来るしシンプルなメニューになったよね。こんな感じで料理組はもうすぐ終わるから客側として接客の練習させてくれってホールやる人たちが言ってた。実は衣装に関して何も知らないからあおちゃんの衣装姿も見てないんだよね。楽しみ!!




『いらっしゃいませ!』


「お客様こちらへどうぞ」


「ありがとう」


「ご注文お決まりになりましたらお呼びください」


「はーい・・・ここまででいいかな?」


「うん。ありがとね...どう?」


「どうって?」


「衣装似合ってる?」


下からの上目遣いは反則級に可愛すぎっ!!あおちゃんは女子の中では身長がでかいほうなんだけど、私の方が大きいんだよね。あおちゃんが165cmくらいで私が170cmあるから胸が無いのも相俟って私のが男っぽいんだよね...


「あおちゃんのクールな感じがより引き立ってかっこいいよ!でもそのかっこよさのの中にある可愛さがあって最高だよ!」


「あ、ありがとうね...」


周りの人がちょっと引いてる感じするけど気のせいだよね。うん、気のせい気のせい。あおちゃんへの愛を語っただけだし。




「穂乃華、そういうの言うときはせめて二人きりのときに言って。・・・恥ずかしいから」


「えぇ〜!あおちゃんの可愛さをみんなに知ってもらいたいのに!」


「穂乃華?その可愛い私がやめてって言ってるの。やめてくれる?」


「は、はい!」




かわっ!...もう最初は似合ってる?とか聞いてきて可愛かったのにSっ気が女王様みたいで可愛かったな〜。もう一回くらい言ってくれないかな〜!ちょっとゾクゾクしちゃったよ。これ以上は流石に全年齢対象外になりそうなので控えまーす。




「はいはい!みんな手が止まってるから。もう前日だよラストスパート頑張っていこう」


『おー!』


「料理組は帰ってもいいし、残って他のとこを手伝ってくれても大丈夫です。むしろ手伝ってください」




「あおちゃーん手伝おうか?」


「んー、大丈夫もうすぐ終わるからもう少し待ってて」


「わかったー。図書室で待ってるね」




本を読んで時間を潰していたら終わったらしいあおちゃんが図書室に入ってきた。




「穂乃華、お待たせ」


「あ、あおちゃんお疲れ様」




下駄箱で靴を履き替えあおちゃんと帰ろうとしていると...後ろから声がかけられた




「常澄さん!少し時間もらっても良いですか?」


「今帰ろうとしt「本当にすぐ終わるので!」・・・はぁ、わかりました。穂乃華少し待ってて」


「うん行ってらっしゃい...」




あおちゃんが声掛けられるなんて十中八九告白だろう。あおちゃんがあの人と付き合うと思うと胸がチクっとする。付き合いたいと今まで何回も思ってきたけど私も女だというのが胸をよぎる。告白をして断られたとき今までの関係が壊れてしまうと思うと手が止まる。だけど他の人に取られるくらいなら告白してしまえとも思う・・・私はどうしたら良いんだろう...






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【常澄彩乙葉視点】






「・・・用があるなら率直にお願いして良いですか?これ以上待たされると困るのですが」


「入学式で見た時からずっと好きでした!ぼ、僕と付き合ってください!」


「ごめんなさい...気持ちは嬉しいんですけど他に好きな人がいるので付き合えません」


「そうですか...時間とってくれてありがとうございました。・・・最後に常澄さんの好きな人教えてくれませんか?」




好きな人、断る理由で咄嗟についてしまった嘘。今まで恋愛なんてどうでもよかった。隣に穂乃果が居ればそれでいい。毎日がとても楽しかったし、充実してた。穂乃果と遊ぶ毎日、穂乃果と食べるご飯、穂乃果との帰り道、穂乃果と過ごした毎日がとても楽しい...もちろん穂乃果のことは好きだ。でも、それが恋愛的な意味で好きなのかわからない。


恋愛的に好きってどういうことなんだろう?




「・・・今は言いづらいので、すみません」


「いえ残念です。時間とってくれてありがとうございました」








「穂乃華、お待たせ帰ろ」


「・・・・・・うん」




帰ってる最中穂乃果の様子がおかしいことに気づいた




「どうしたの?体調悪い?」


「ううん、悪くない」


「じゃあどうしたの?」


「・・・あおちゃんと過ごす時間が少なくなると思って...」




どうしてそういう考えになったんだろう?もしかして穂乃果は私が彼と付き合うと思ってるのかも。




「穂乃華、私は彼と付き合ってないよ。だから過ごす時間も今までと変わらないよ」


「ほんと?」


「本当!私が今まで嘘ついたことある?」




まあ、実際には起きるって言っておきなかったり、沢山嘘ついてるケドネ




「ふふっ、沢山あるよ!でも、ありがとね。おかげで元気出たよ」


「よかったよ。明日開校祭一緒に回ろうね!」


「もちろん!あおちゃんこそ明日寝坊しないでね。また明日」




何はともあれ穂乃果が元に戻ってよかった。開校祭一緒に回ることも約束できたし明日が楽しみだな。




「そうだ、涼に電話しようと思ってたんだ」




思い立ったが吉日さっそく涼に電話をかけることにする




『もしもし彩乙葉?どうしたの?』


「ちょっと聞きたいことがあって...時間ある?」


『全然大丈夫よ。何が聞きたいの?』




いくら付き合い長い涼でもコレを聞くのは恥ずかしいけど躊躇ってる場合じゃない




「好きってどういうこと?」


『えっ?聞こえなかったもう一回言って』


「だから好きってどういうこと?あんまり何度も言わせないで・・・恥ずかしいから」


『聞きたいのは親愛か恋愛かどっちなのよ』


「恋愛のほう」


『またどうしてそんなこと聞く気になったのよ』


「今日告白されて断る理由で好きな人いるって言ったら誰か聞かれてちょっと考えようって思ったの」


『そう、今まで気にしてこなかった分良い機会かもね。


恋愛はそうねぇ例えば「その人に会いたい、一緒にいたい」とか「その人のことをずっと考えてしまう」「相手が他の人と話しているとモヤモヤする」とかかな?』




穂乃華とは一緒にいたいな。穂乃果が男と話してたらちょっとイヤかも




『今、穂乃果のこと思い浮かべたでしょ』


「な、なんでわかったの?!」




マジでなんでわかったの?カメラついてる訳じゃないしもしかして声に出てた?




『声になら出てなかったよ。彩乙葉は穂乃果もだけどずっとお互いのこと考えてるでしょ「この服穂乃果に似合いそう」とか考えてるでしょ』


「それは友達なら普通じゃない?」


『私のことを考えたりはしないでしょ?彩乙葉にとって穂乃華は特別なのよ』




穂乃果が特別・・・私は穂乃果のことが好きなの?でも女同士だし...




「私が仮に穂乃果が好きだとして、性別はどうするの?私も穂乃果も女なんだよ?」


『今時は女の子同士も一般化してきてるし、そんな事考えて取られてもいいの?彩乙葉は知らないかもだけど穂乃華結構モテてるわよ』


「それはイヤッ!・・・あ」




自分の気持ちを自覚した途端に顔が熱くなった




『へぇ〜何が嫌なのかな〜?』


「揶揄わないでよ・・・そうよ穂乃果のことが好きなの!悪い?」


『いや、やっと自覚したのかって思ってね。せっかくの開校祭だし頑張ってね。おやすみなさい』


「・・・おやすみ」








ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【中井穂乃果視点】






「ふふっ」




部屋で独りでに笑って笑ってヤバイやつみたいになってるけどしょうがないよね!あおちゃんに開校祭誘われちゃった!これはもうお祭りデートと言っても過言ではない!


私、開校祭終わったら告白するんだ...!こんなこと言うと死亡フラグにしか聞こえないけど・・・頑張るから応援しててね!私は誰に言ってるんだろうね?明日は本番だし早めに寝よ〜おやすみなさい






《開校祭当日》




今日は待ちに待った開校祭当日!あおちゃんとお祭りデートできる日!あおちゃんの仕事ぶりも見たいけど仕事の時間を合わせてるからあおちゃんの姿を見ることができない。モチベ下がるけどその後のデートのために頑張る!




「あーおちゃん学校行こー!」


「穂乃華朝からうるさい」




あおちゃんの目の下に隈があって寝不足みたいどうしたんだろう?




「寝不足?」


「そう。昨日の夜、涼と通話しててそれが終わった後も考え事してたら全然寝れなかったの」


「涼となに話してたの?」


「んー...まだ内緒。今度話すよ」




そんな感じで会話しながら歩いていると開校祭ということで装飾されたでかい校門が見えてきた




「こう見ると始まるって感じがするよね!」


「そうね。私たちは午前だから先に頑張って仕舞えばあとは楽しむだけね。」


「うん!」




教室に入れば最後の仕上げということもあってみんな気合が入っていた




『料理組は温めたり準備初めて、ホールの人で着替えてない人は着替えてきちゃってー』




「じゃ、着替えてくるからまた午後でね穂乃華」


「うん、頑張ろうね!」






『只今より開校祭を開催いたします。生徒の皆さんは楽しんでいきましょう!また、外部の方も参加されるので当校の生徒という自覚を持って行動していきましょう』




『売上No.1目指してがんばろー!』


「「おー!」」




最初はあまり人が来ないと思ってたけど大盛況みたいでみんなバタバタしてる




「4番テーブルは”ツナのサンドイッチとコーヒー1つずつ”2番テーブルは”チョコバナナとはちみつ1つずつとオレンジジュースに紅茶一杯ずつ・・・」


「穂乃華、これ3番に持っててくれる!ホールの人手が足りなくて姿はそのままでいいからよろしく!」


「ちょ、ちょっと待って...えぇ?」




人手足りなくなることなんてある!?まあ、あおちゃんのお姿を拝見できるならいいか...がんばろう!




「お待たししました。こちら苺カスタードと卵のサンドイッチになります。」




一組接客するだけで結構疲れるな。何組も対応してるホールの人達すごいなぁ...この調子でお昼まで頑張るぞ


「おかえりなさいませご主人様。ご注文お決まりになりましたらお声掛けください」


あおちゃんの声が聞こえた。そう聞いての通り執事での接客なのだ!私も言われたいなぁ。カッコカワイイ姿でご主人様とかめっっっちゃ唆る!




「穂乃華!次こっちお願い」


「りょ〜かい!」






そんな感じでお昼になり交代の子がやってきた


「午後の子来たから午前の子達は上がっていいよー!」






「ねーどこから回る?」


「お腹すいたし外にある屋台系の店行こ」




確か、外にあった食べ物系は焼きそば、たこ焼き、ホットドック、唐揚げ、わたあめ、チョコバナナとかあった気がする。




「まずは焼きそばでしょそれからたこ焼きにわたあめ!」


「あおちゃん!そんな一気に買ったら持てないでしょ!片方持つからあっちのベンチに行くよ?」


「ふぁかった」


「誰も取る人いないからゆっくり食べよう?」




ハムスターみたいに両頬にたくさん頬張ってる姿はとても可愛かった。可愛すぎてカメラを連写するくらいには。




「何撮ってるの?」


「もちろんあおちゃんだよ!」


「スマホ貸して?」


「・・?いいけど」




スマホを受け取ったあおちゃんが何か操作し始めた。・・・ちょっと待って!何したか気付いちゃった




「ちょっと!写真消したでしょ。可愛いあおちゃんが一人消えたー!」


「写真一枚くらいなんてことないでしょ。写真じゃなくて私を見ていればいいじゃない」




カワっ!私だけを見ててとか可愛すぎ。でもスマホの写真はフェイク、ドライブには第2第3のあお「ちなみにドライブのも消したからね」ちゃ..ん....の...




「なんでバレたの!?」


「穂乃果の考えそうな事くらい手に取るようにわかるよ」




私のことが手に取るように分かるなんて。そんな恥ずかしいよ...




「穂乃華。はい、あーん」


「あーん!美味しい!」




あおちゃんがあーんしてくれたから美味しさ3倍でさらに美味しい!




「それ最後だから別の出し物でも見に行こ?」


「行く行くー!3年生のお化け屋敷行こうよ。なんでも一度入ると泣いても出られないらしくてすごく怖いみたい!」


「わ、わ...わかったわ。行こう」


「大丈夫?怖いの苦手だったよね。無理せずに待っててもいいんだよ?」


「だ、大丈夫!怖くなんてないから!」


「そう?ならレッツゴー!」




大丈夫なんて言ってはいるけど、声も体もちょっと震えてるし怖いんだろうな〜。怯えてるあおちゃんは可愛いだろーなー!間近で見れるの役得だね!






「いらっしゃいませー!2名様ですね中の人が出るまで少々お待ちくださーい!」


『ギャーーー!』      『キャーー!』


待ってる段階からものすごい数の悲鳴が聞こえた。これ大丈夫なやつなのかな?あおちゃんも震えてるし...




「お待たせしました。お化け屋敷楽しんでいってください」




「穂乃華ぁ今からでも引き返せない?」


「無理って言われてたでしょ・・・手、握ってていいから進むよ」


「・・・うん」




左手にほんのり温もりを感じつつ、進んでいくと...


『バンッ、バンッ』


障子から手が生えてきた


「ヒッ」


そして障子の横を通り過ぎようとした時、突然腕を握られた


「キャーーッ」


「あおちゃん、ちょ、ちょっと待って!」




あおちゃんが手を握ったまま走り出しちゃったからその後のお化け屋敷はあまり楽しめなかった。突然皿が割れる音がしたり、ぬるっとした物が顔に当たったりと怪談で、出てくるようなのが多いお化け屋敷だった。あんまり怖がった風を出してなかったけど、強がりたかったけど正直内心バクバクでかなり怖かった...






「ご、ごめんね。突然走り出しちゃって・・・あんま楽しめなかったよね?」


「そんなことないよ。あおちゃんと一緒にいるだけで楽しいから」




『4時になりました。これにて開校祭を終了します。生徒の皆さんはそのまま残っていてください』




終了のアナウンスが鳴り、待っていると花火が上がり始めた




「綺麗だね」


「・・・うん」




「「穂乃華彩乙葉ちゃん」」


「「ふふっ」」


「彩乙葉ちゃん、先にいいよ」


「ありがとう。・・・穂乃華、好きです。この気持ちに気づいたのは最近だけど、私を彼女にしてくれませんか?」


「・・はい。こちらこそお願いします。私も小学校の頃から好きでした。付き合ってください」




「もちろんです!」














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