第28話 第一王子殿下

先日の婚約式の件で王家からはお詫びの品が届いた。


ただすでに噂となったものは回収できずにいるようで王太子殿下の評判は落ちているらしい。


そんな噂の的な私、本日はお城に来ています。


もちろんニニナとミリアがついてきている。


「来てくださってありがとう、マーガレット夫人」


側妃殿下が迎え入れてくれる。


心なしか肌艶が良い?


「色々お話ししたいことは山ほどあるんですけども、まずは前回いただいたローズウォーター、とっても良かったわ!」


「まぁ、使っていただけたんですね、ありがとう存じます」


王宮の侍女の方の案内でソファに座る。


クッションなどが前より多く配置されているのは体調に配慮されているのかも。


「勿論よ、とても良くて出来たら定期的に購入したいのだけれど可能かしら?」


「販売は我が寮の商会を通してさせていただこうかと思うのですがよろしいですか?」


「ええ、予め教えてくださっていたら門番に伝えておくわ。


出来たら侍女のものも一緒に購入したいのよ」


侍女の方も使ってくださったのね。


「勿論です、伝えておきますね」


「順番が後になってごめんなさい。


懐妊おめでとう、それにご息女の婚約も」


婚約式で気がついた人も多いようで、やはりゆったりめのドレスだと目立つらしい。


「ありがとう存じます。


良い縁が結べて嬉しい限りですわ」


「あの。わたしも夫人のローズウォーターのおかげで久しぶりに陛下が寝室にいらっしゃって、その」


ゴニョゴニョとだんだん小さくなる声。


側妃殿下の後ろの侍女さんはうんうん頷いている。


「ローズウォーターがなくても元々側妃殿下は魅力的な方ですもの」


そっと側妃殿下から手を取られる。


「いいえ、夫人のおかげだわ。


陛下の気まぐれかもしれないけれどもとても嬉しくて、本当にありがとう」


「もしかするとうちの子と同じ歳の子がお産まれるかもですね」


「そ、そそそ、そんな子供なんて、そんなまだ」


あわあわとし始めた側妃殿下はとても可愛い。


ほんわりしながら時間を過ごした。






側妃殿下の部屋を後にした私たちは長い廊下を歩いていた。


ふと前にあるシルエットに立ち止まってカテーシーをする。


「第一王子におかれましてはご機嫌麗しゅう」


第一王子のカイン様。


お供もつけず不用心な王子だなぁ。


「母を焚き付けて、貴女は何を狙っているんだ」


鋭く睨みつけられる。


側妃殿下にそっくりな色合いなので一瞬冷たく感じる。


「何のことでしょうか?」


「母に化粧品を献上して、陛下の目に留まるようにしたのだろう?」


「私は我が領地で新たに作ったものを王妃殿下、側妃殿下へそれぞれ献上しただけですわ」


「何?王妃にもか」


「ええ、使っていらっしゃるかは存じませんが」


多分使ってないだろうと思う。


ローズウォーターについて連絡くれたのは側妃殿下だけだった。


「それに私が何にもしなくで側妃殿下は元々可愛らしい人ではありませんか?」


陛下の見る目がないだけです。


「大体のものは母は冷たい感じがする美人というがな」


先程までのピリピリした雰囲気をすてククッと笑い始めた。


「陛下に母へ興味を持たせ、娘の婚約者を私の側近に鞍替えさせて一体マーガレット侯爵夫人は何を考えているのかと疑っていたが」


「え、オスカーが第一王子殿下の側近に?!」


そんなことありえる?


「なんだ、知らなかったのか。


よほど先日の婚姻式での愚弟の貴女への対応が気に入らなかったようだ。


おかげでこっちは王妃派や愚弟から睨まれて大変なんだがな」


「側近ってそう簡単に変えれるんでしょうか?」


「いや、普通は出来ぬ。


ただ今回はアロンソワ伯爵家の強い希望と、陛下もくだんの騒ぎを知っているので容認なさったようだ」


なるほど、しかしあの一件だけで家の派閥を変えてしまうとはロッテ大丈夫なんだろうか?


「アロンソワ伯爵家は特別だからな。


伯爵家の後ろには公爵家が居る。


多少の無理でどうこうなる家ではない。


だが私としては目立ってしょうがない」


そうか、この方は王位は望まれていらっしゃらないのね。


「私の行動が結果として殿下を煩わせた事はお詫び申し上げます。


ですが誓って何か目的があったではないのです」


「だろうな、結果としてそうなっただけだろう。


私としては歳は離れているが優秀な側近が増えたのは嬉しい話ではあるんだ。


母の件も本人はとても喜んではいるんだ。


すまない、失礼な事を申したな」


「いいえ、ですが私には他意はございません」


もしかするとヴィーあたりの手のひらで泳がされているかもしれないけどね。


「引き留めてすまないな、許せ」


そう言って殿下は去って行かれた。







「あ、あの!」


入り口に向かっていると後ろから声をかけられる。


振り返ると1人の侍女。


「たしか、王妃殿下のところの?」


「いきなりお声をかける無礼をお詫びいたします。


ですがどうしてもお伺いしたくて」


「どうされました?」


「王妃殿下に頂いたローズウォーターなのですがどこで販売されますでしょうか?」


王妃殿下に聞いてこいと言われた感じではない。


詰まるところ彼女は。


「貴女、使ってくださったのね?」


そういうと、彼女はこくんと頷いた。


「まぁ、ありがとう、良ければお名前を教えてくださるかしら?」





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