愛は世界を救う!!!異世界のアイドルは賢者を探す旅に出る!!!

@HinokiKonnbu0707

死した魂を迎えるは異世界、出会うは賢者。

いたい、くるしい、きもちわるい。


ワタシのいのちはいま、おわろうとしている。


「急げ!!早く!!血……!………きて!!!」


おいしゃさんのこえも、だんだんとおくなってきた。

もう いきをすう のも くる しい


あーあけっきょくさいごもおかあさんとおとうさん


いなかったな。


しぬって どんなかんかくだろ。


てんごくは


ほんとにあるのかな………?


「………!!!……………!!!!!」


しずか……もうなにもきこえない。


いたくもない。











そんな感じでワタシの生涯は幕を閉じた。


死因は白血病、13歳で発症してからずっと、学校にも通わず闘病してきた。


しかし、闘病生活を始めて2年、ついに体力が闘病に耐えきれず、そのまま容態は急変し死亡。

そんな感じっぽい?自分でもよく分からない、だってそんなこと気にする余裕もなく死んだのだから。


けどいい事もある。もう体が苦しくないし痛くない。何だかフワフワ浮いているような感覚。 ずっと病気で寝たきりよりもずっと心地良い。


あぁ~この状態で、好きなアイドルのライブ映像とか見れたら最高なのに………。




その内ワタシの意識は深く深く、沈んでいった。その間はずっとワタシの大好きなアイドル、金色に光るアイドルユニットの星、『プラネット』のライブ映像を頭の中で再生していた。






あぁ、この時間がずっと続けば良いのになぁ……。





















………………?なんだか、体が冷たい…………息も、苦しい………………?


ウッ!


「プハアァァァ!!!」


び、び、びっくりしたぁ!なに?ここ!?池?すごく浅いけど。ワタシの脛くらいまでの高さだし……。


……ていうか寒い!!あれ?ワタシ裸!?!?全裸で池に居た!?どんな状況?


「おいそこの女!なにしとるんじゃ?」


「キャッ!!…………て女の子か、良かったぁ。」


後ろから声がして振り返ると、そこには綺麗な赤髪のツインテールの女の子が居た。


すごく小さい、小学一年生くらいかな?


「はぁ、全く随分罰当たりなことをしおって。そこは神々が身を清めるために使う池、聖水域じゃぞ。人間であるお前が気軽に水浴びなんかしていい場所じゃないんじゃぞ。」


「え、そ、そうなんだ。ごめんね。すぐ出るよ。…………えーーーと…。ごめん、あなた服持ってない?」


「な…………なんじゃと?」


























「全く、こんな郊外の森に服も着ずに来る露出魔がいるとは…………世も末じゃ。」


「ち、違うもん!ワタシもなんで服着てないのか分かんないんだもん!ていうかこんな森も初めて見たし!!」


何とか女の子が来ていた小さな外套を貸してもらい、ワタシは何とか上半身からお尻の辺りまでは隠せるくらいのワンピースを着たような姿になっていた。


しかし、怪しさ満点なのは変わらず、女の子は一向にワタシの話を聞こうとはしなかった。


「あー分かった分かった、詳しい話はワシの家で聞いてやる。ほれ、着いたぞ。」


ワタシが溺れてたあの池から数分で、木造のお家にたどり着いた。どうやらこの女の子の家らしい。


「おーい!ミケーー!!今戻ったぞーーー!少し早いがお風呂を沸かしてくれーー!!」


ミケ…………珍しい名前の人も居るんだな……。


奥から出てきたのは、まさに名前の通り三毛猫のように茶色と黒と白の3色混ざりあった体毛をした猫。


に、二足歩行してる!?


「はて?随分お早い入浴で………………誰ですか?その女性は?」


す……すごい、モフモフだ……モフモフが歩いてる!?


「森に居た変態じゃ。ひとまず獣の餌になる前に保護してやった。」


「だから変態じゃないってば~!!」


「…………は…はぁ……。まあ良いです。しばらくそこら辺で寛いどいて下さい。」


生暖かい目でこちらを見た二足歩行の喋る三毛猫は、奥の扉に消えていった。


絶対勘違いしてるよねあれ!?


「聞いた通りじゃ。少し時間が掛かるらしいからのぅ、その辺に座って少し話でもしようじゃないか。」


そう言うと、女の子は奥から丸テーブルとイスを二脚引き寄せ私を自分の目に前に座らせた。


「ウワァ!?何それ何それ!?どうやったの!?」


「んぁ?何を驚いておる、たったこれだけのことであまり驚くな。騒々しい。さて、何から話そうか。」


森を歩きながらずっと思ってた。


見覚えない動物、アニメみたいに綺麗な顔と綺麗な赤髪を持つ美少女、二足歩行する喋る猫、そして今の魔法…………間違いない! 「


ねぇ!ワタシから1つ質問良い!?」


「…………なんじゃ?」


「ここって!絶対!!異世界だよね!!!!!!!!!!」


























「つまりお主は、今まで魔法の無い世界で暮らしていたところ、寿命を迎え天寿を全う、まあ簡単に言うと死んだはずじゃった。ところがいつの間にか見知らぬ池で溺れていた…………と。」


「そう!!ワタシたしかに人生3分の1は病院だったけど、その病院でもそこそこネット使ってたし、外のことは多少知ってた!!けどそれでも、みんなマンガやアニメみたいな魔法使えた~!!なんてニュース無かったし、立って喋る猫だってワタシ映画でしか見た事ないもん!!」


自分で言ってて段々確信に変わっていく。間違いない、これはオタクなら誰しもが夢見る異世界転生ってやつよ!!!


「あーあー分かった!分かったからよく分からん言葉を混ぜてまくし立てるな騒々しい!!」


ハァ……とひとつため息を吐いた女の子は、いつの間にか用意していたお茶をすすって落ち着こうとしていた。


「フーーーー、ワシも随分長いこと生きてきたが転生者なんて見たことも聞いたこともないわい。転生した奴は見たことあるが…………。」


さっきまで偉そうにしていた女の子は態度が一変、ワタシの話を聞いた途端に頭を抱えていた。 アレ?転生者ってそんなにマズイ存在だった…………?


「あのーーー…………盛り上がっているところ失礼します、お風呂、沸きましたよ。」


「ちょうど良いタイミングじゃミケ!!おい変態、この話は少し落ち着いてから進めたい!!ひとまずお前は風呂に入れ!!」


「うぇ~、せっかくキラキラしたお話になってきたと思ったのに……。」


「良いから行けぃ!!追い出すぞ!!」


「は……はぁい…。」


何よぅ急にプンスカしちゃって…………これ以上粘ると本当に追い出されそうな勢いだったため、渋々お風呂に入ることにした。まあ異世界に来て早々風邪引いても嫌だしね。大人しく入っとこう。


「…………クレア様、申し訳ございません。今のお話、後ろで少し聞いていました。」


「……………そうか。」


「まさか、転生者が現れるとは………。それも、よりによってクレア様の前に。」


「…………良いかミケ。決して、あの女を逃がしてはならないぞ。なんとしてもだ。」


「…………承知しました。」





























「ふゥゥゥゥゥゥ、あったか~い。」


いやぁ異世界でもお風呂はそのまんまで良かったぁ。死ぬ直前までは自分で立ち上がることすらままならなかったから、全然お風呂入れてなかったんだよねぇ~。


「しかし、まぁ、異世界か。異世界ねぇ。………………まあワタシは病気のせいで日本の知識もそこまで知らなかったわけだし、もしかして知識量的にはあんまり大差無い?」


ワタシが知っている日本の知識で言えば、病院内で楽しめるもの。ネットの流行に流行ってるゲーム、マンガ、アニメ。そして何より、アイドル!! アイドルと言っても幅広い、最近はドームに立つのは何も生身のアイドルだけじゃない、ヴァーチャルなアイドルも立つからね!ドルオタにとってネット知識は教科書のようなもの!!! ………………たぶん……?


しかし異世界に来てしまったからには、何かやりたいこと決めなきゃなぁ!!ワタシもテレビの中の可愛い子達みたいにピカピカッ!!と魔法使ったり、カッコイイ剣をブンブン回して敵をやっつけちゃったりできちゃうかも!?


「てことは試しにここでもなにか撃てる!?えーとえーと、ファイアー!!!…………あれ?」


正面に手を突き出し大抵のマンガやアニメにある魔法を口に出す…………が、何も起こらず。


「さ、さすがにテキトー過ぎたかな?もう1回、えーとこういうのはなんか詠唱?みたいなのがあったよね?えーと、どんなだっけなぁ。えーと、我が魔力よ、目の前を燃やす…………ほのおに…。」



コンコンコン



「キャッ!!!!」


「お寛ぎのところ失礼します。着替え、置いときますので着てください。では、失礼します。」


お風呂場のドア越しから、先程の使用人さんっぽい猫が話しかける。 今の聞かれてた?恥ずかし…………。


「ア、ドーモー。」


………………ひとまずお風呂から上がるか……。































「あのぅ、これは一体どういうことでしょうか?」


ワタシはお風呂から上がると、ロープのようなものでグルグルに縛り付けられた。

それはもう、あっという間の出来事だった。


「悪いな、しばらくそのままじゃ。ミケ、ご苦労じゃった。」


三毛猫はロープを握りつつ、ペコリとお辞儀をした。


くっ…………固い。ロープで縛られる経験なんてしたことないから分からないけど、明らかに普通のロープじゃない。どんなに動いてもビクともしない。自力で抜け出すのは無理だなぁ。


「さて、突然じゃがお主はしばらくワシの下で暮らしてもらうぞ。」


いや突然過ぎる!!明らかに何かある!!


「あんなに変態変態言ってたのにどういう風の吹き回しぃ?ハ!!!!もしやそんな変態を自分の隣に置いて置きたいという、より上級のへんた……。」


「お主と一緒にするな殺すぞ!!!!……コホン、理由を説明したいんじゃが、転生者でお主は何も知らないじゃろうしなぁ。ということで、この世界に古くから伝わるある昔話をお前に聞かせてやろう。」


そう言うと彼女はゆっくりと目の前の椅子に腰掛け、すわったままどこからともなく、古そうな分厚い本をフワフワと自分の手元まで持ってきた。


そして、本を開くと、彼女はどこか寂しげな表情をしつつ、語り始めた。


「これは、この世界を管理する組織が生まれる前の大昔の話、世界の中心であるここ第一の大陸『始まりの大陸アインス』での出来事。」




































始まりの大陸アインス』には、その大陸に生きる人間達が唯一興した国があった。


それが、現在まで続いている大国『グラナディア王国』、この世界で最も大きな国である。


そこはグラナディアの名を持つ一族が王族となり統治している国家だった。 しかし、王族が君臨はすれども、この王国を真に支えているのはある一つの家族であった。


それが、『創造神』と呼ばれる男と『預言者』と呼ばれる女、そしてその二人が産んだ『四賢者』と呼ばれる四姉妹で構成された一家である。


創造神は名の通り、触れたことのあるものや構造を知っているものを自身の魔力で一から生み出すことはもちろん、壊れてしまった家屋、枯れてしまった草木、さらには病気に罹った人間の回復等、再生の能力も持っていた。まさに、救いの神である。



預言者は、自身の魔力を通して、水晶や鏡、反射した水溜まりなどの様々な景色が映るものを見ることで、未来を見ることが出来る。見える未来の内容や大きさは、決めることはできない。だが、彼女の魔力が残っていればいつでもどこでも見えること、そして無くしていた物が見つかったという小さな幸せの未来から、1ヶ月後に国に龍が襲いに来るという大きな危機も予知して見せた。



四賢者は、創造神と預言者の間に産まれた四姉妹である。それぞれが特殊な能力を持っている。


明るい赤髪を靡かせる小さな『長女』は、自身の魔力を纏わせたものの時間と空間を操れる。


青みがかった黒髪が特徴的な『次女』は、あらゆる魔法を操れる。存在している魔法だけでは飽き足らず、父である創造神の血を受け継いでることを彷彿とさせる、自身しか使えない創造した魔法を扱う。


少し暗く黄色い髪色をした『三女』は、魂を操る。物言わぬ物体に自身の魔力を込め、動かすことが出来るのだ。


他3人とは文字通り全く毛色の違う、真っ白な白髪の『四女』は、自身の魔力を通して意志を操る。意識を持つ生物はもちろん、無機物ですら彼女の魔力の思い通りなのだ。



そんな特殊な能力を持つ一家は、『神々の一族』と呼ばれ、能力を私利私欲には使わず、日々王国を発展させるために使った。




だがある日のことだった。




彼らの能力が反逆を起こせば、いつか王国は乗っ取られるのでは…………そんなありもしない恐怖に怯えたグラナディアの王族は、神々の一族が住む家を夜のうちに焼き払った。


強力な能力を持つ神々の一族はそれでも生き残る。 焼けた家屋から出てきた神々の一族は、弱ったところを王国の兵士に捕らえられ、その次の日の内に処刑となった。


王国民は、王国のために能力を使っていた神々の一族への恩を感じてはいなかったのか、それとも、王族と一緒で恐怖を感じていたのか、処刑への反対を訴える声は聞こえなかった。


磔にされた神々の一族の内、処刑の直前、創造神は怒りに満ち溢れていた。




滅ぼしてやる




必ず




王国のために尽くしてきた我々を 大恩忘れ




恐怖に負け




家族諸共処刑を行う貴様らを




私は許さない






処刑の執行が行われたその時であった。創造神の磔は、見る見るうちにボロボロになっていき、灰も残らず消えてしまった。 創造神はその時、怒りのあまり能力が覚醒してしまった。


覚醒した能力は………………『破壊』。 嘗て創造神と呼ばれた男はその瞬間、自身の魔力に触れたもの全てを灰も残さず滅ぼしてしまう破壊神となってしまったのだ。 破壊の力を手に入れた破壊神は、暴れ、壊し、殺し、嘗て自分が創り上げてきた王国を、その手で一つ一つ破壊していった。


途中、彼の破壊の力で磔から解き放たれた預言者と四賢者は、預言者の預言により、人類の存続のため、破壊神を五人の力で封印することになった。



預言者が破壊神を呼び寄せ注意を引き、長女がその動きを止め、次女が溶けない氷を魔法で創り破壊神を凍らせた。


三女は、姉達の魔力をその場に留め、散らぬようにと、破壊神の魂に姉2人の魔力を封じ込めた。


その後、長女が永久凍土に包まれた破壊神を、時間の進まない空間に閉じ込め、次女がその空間を封印の印として女神像を創り出し封じ込めた。


最後に、生き残った国民全員に、四女が、先祖代々、女神像を壊さぬよう守っていくための意志を植え付け、その意志と共に、神々の一族が残した知恵や魔法は記憶から失わず、神々の一族そのものの存在は忘れるという意志を国民に残した。


そうして、神々の一族はグラナディアから去って行き、今もグラナディアの王国は、世界一の大国として発展し続けているのである。




























「………………はい、おしまい。」


「………………泣いてるの?」


物語を読み終えた彼女は静かに泣いていた。


嗚咽等はなく、ただひたすらポロポロと涙を流していた。


「ハハ、いけないね、歳を取ると涙腺が緩んでしまって。悪かったのぅ。」


目尻から涙を拭うと、彼女は続けて私に話しかける。


「まあもう聞いて分かる通りじゃから、この話とワシの関係性はとやかく話したりしないわい。」


実はワタシはまだそんなに理解していないんだけど、それを言ったら話進まないよなぁ………ということで大人しく聞いておく。


「この後は、ワシだけが、いやワシともう4人しか知らない続きがあるのじゃが、まあこっちは知らんでもいいわい。それよりもじゃ。」


彼女は、またどこからともなく、今度はさっきとは違う薄っぺらな本を魔法で取ってきた。


「物語には預言者が居たじゃろう?その預言者から預かった、この世界で起こる出来事を予言した本があるんじゃが、それがこれなんじゃ。」


その予言書?なるもののページをペラペラとめくり、あるページをワタシに見せつけてきた。


「見てみろ、お主に見せたいのはこの予言じゃ。」


そこに書かれていたのは………………あ~、え~と、あのぅ……。


「読めないです…………。」


「………………あ?」


「私、この世界の文字、読めないんだけど。」


「………………あぁ……。」


いや私もあんまり考えてはいなかったけど、たしかにここは異世界だしね、そう簡単に日本語で書いてたり、いきなり頭の中で、あ!この文字はこう読めるんだ!てなったりもしない。


読ませて驚かせたかったんだろうけど、ごめんね。


事情を理解し、コホンと咳払いをして彼女は仕切り直した。


「この予言書にはこんな予言がある。『異世界人来訪の時、封印されし時空が動き出す』という予言じゃ。」


異世界人、つまり転生者のワタシを指している?


「ワタシがこの世界に来たら、なんかの封印が解けるってこと?」


「そうじゃ、そしてその封印というのが、おそらくさっき話した物語の破壊神の封印じゃ。」


…………なんか話が上手く進みすぎでは?


「ほんとにその予言信じられるの?随分と胡散臭いんだけど?」


「まあたしかに、聞いているだけじゃ疑うのも無理ないじゃろう。じゃが、この予言で鍵となるのは封印自体が解けるという予言ではなく、封印された時・空・が動き出す、というところじゃ。」


まだ疑問符を浮かべるワタシ、そんなワタシに対してもう少し分かりやすく説明しようと、彼女は先程の物語の本をめくる。


「もう一度読んでやろう、破壊神の封印のされ方じゃ。 『預言者が破壊神を呼び寄せ注意を引き、長女がその動きを止め、次女が溶けない氷を魔法で創り破壊神を凍らせた。 三女は、姉達の魔力をその場に留め、散らぬようにと、破壊神の魂に姉2人の魔力を封じ込めた。 その後、長女が永久凍土に包まれた破壊神を、に閉じ込め、次女がその空間を封印の印として女神像を創り出し封じ込めた。』という感じじゃ。」


「………つまり、予言の書に書かれてる時空っていうのが、そのってこと?」


「左様じゃ。」


うぅん……段々話が見えてきた………かも?


「この予言の書の予言は的中率がかなり高い。じゃからこそ、破壊神の封印を解くきっかけとなっておるお主は手元に置いておきたいのじゃ。じゃから、勝手にお主は外に出ずここでしばらく暮らせ。良いな?」


…………さっきから話だけ聞いてりゃ…ワタシそれただ巻き込まれてるだけじゃない?


ていうかそもそもワタシが協力する義理もない………けどまあワタシが異世界来たからって何をしたいかと聞かれても目的が無いのも事実………うぅん、ヨシ。


「………分かった、良いよ。ただし、条件が………ええと……いっぱいある!!!」


「………内容による。」


ええと、咄嗟に言っちゃったからどうしよう、何をお願いしよう………?


「ええっとぅ、その1!!!魔法教えて!!」


異世界に行ったらやってみたいこと、試してみることランキングがあったら上位に出るであろう魔法!!これはやってみたい!!あの子さっきから魔法使ってるしこれは大丈夫なはず。


「………………………まあ良いじゃろう。」


沈黙が長かったけどヨシ!次!!


「その2!!えっと、えっと、この世界のこと色々教えて!!!」


「それは元々教える予定じゃったわ。なんの知識も無しに森に出て魔物に食べられましたは話にならんからのぅ。」


ヨシ!!あとは、あとは………あぁ!!一番大事なのがあるじゃん!!!


「その3!!!ご飯いっぱい食べさせてください!!!!!!」


「……………お主、飯も食わずにここに置かれる予定じゃったのか?さすがにしばらく家に居る人間を飲まず食わずさせる程ワシは非常じゃないぞ………。」


………すごい冷ややかな目で見られている気がするけどヨシ!!ご飯確保ぉ!!


「じゃあ住んであげても良いよ!!!!」


「……………まあ居てくれるならなんでも良いわい、よろしく頼むぞ。」


快い返事をしてあげたワタシに向けて、彼女は手をかざした。すると、みるみるロープは解けていった。あー、ようやく楽になった。


「そう言えば、名乗ってないし名も聞いてなかったな。ワシはクレアと言う。お主はなんと言う名前じゃ。」


「ワタシはね、雨野 尊あめの みこと!これからよろしく!!クレアちゃん!!!」


「ちゃんを付けるな!!お前の何個上じゃと思っとるんじゃ!!」


「…………え?クレアちゃんって10歳くらいじゃ………。」


「…………少なくとも300年は生きてるぞ………。」


…………よく考えたら、あんな古い本の登場人物だしそりゃそうか。


こうして、病死したワタシはいつの間にか転生していて異世界に、そしてすぐロリバb………小さいお姉さんに拾われ、一緒に暮らすことになりました。 さて、これからワタシは何をしていこうかなぁ………。


「ひとまず、お腹空いた!!!早くご飯作って~!!」


「すまんミケ、ワシから言っておいてなんじゃがめんどくさくなって来たぞ、コイツと暮らすの。」


「………………ご飯、作りますね。」

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