アイシテル

小悪魔はく

アイシテル

余命よめいヶ月かげつわれた。


おかげで学校がっこうにはかなくてよくなった。


これでもういじめられることはなくなった。

病室びょうしつというせま部屋へやで、

出来できかぎきなことをしてのこりをごしてほしいとわれた

ぼく支援しえんしてくれるひとおおく、おかねはいくらでもあるとわれた。

だったら、そのおかね使つかって『いじめ』をしてやりたいとおもった。


ネットで協力者きょうりょくしゃつのって『彼氏かれしをいじめでくしたおんな』とった。

そのとネットじょう組織そしきげた。

それは、いじめをけているひとのもとへ彼女かのじょ転校てんこうして、

わりにいじめをうというものだった。


そしてぼくが、彼女かのじょをおかねでサポートした。

上履うわばきをかくされれば、すぐに新品しんぴん用意よういし、怪我けがをすれば、

大金たいきん使つかって最適さいてき処置しょち医者いしゃたのんだ。

して、いじめられても、やりかえさない。とにかく、いじめられつづける


この作戦さくせんには、おおきな目的地もくてきちがあった。

最終的さいしゅうてきには、彼女かのじょをアイドルへとがらせること。

彼女かのじょはとにかく魅力的みりょくてきだった。


ひときつける性格せいかくっていたし、なによりもいじめをうという、

メンタルのつよさと正義感せいぎかんがあった。そこにあとは、ぼく大金たいきんそそんで、

彼女かのじょ宣伝せんでんしまくれば、彼女かのじょはすぐに有名ゆうめいにできた。

そして、一瞬いっしゅんにして彼女かのじょ世界せかい魅了みりょうした。

彼女かのじょ有名ゆうめいになればなるほど、彼女かのじょをいじめていたやつらは、

つみおもさとこわさにふるえていた。

もし彼女かのじょ暴露ばくろすれば、やつらは世界中せかいぢゅうから非難ひなんける。


それこそが、ぼくらのしん目的もくてきだった。


けれど、彼女かのじょはそれをこばんだ。かれらのこともあいしたいとった。

彼女かのじょは、いじめがあったからこそ、ここまでこれた、とった。

いじめていたあのらも、いまわたし形成けいせいするひとつ、あいしてあげないと。

った。

ぼく嫉妬しっとした。彼女かのじょ喧嘩けんかをした。連絡れんらくち、ぼく彼女かのじょえんった。


それでよかった


彼女かのじょはこれまでにも何度なんども「いたい」とった。

けれどそのたびぼくこばんだ。もし彼女かのじょぼくってしまったら、

彼女かのじょにまで、ぼくいのちおもさを背負せおわせないといけなくなるから。

それだけはいやだった。彼女かのじょなかから、このままぼくえるべきだった


そしてぼくは、人生じんせいのエンドロールをむかえた。


余命最後よめいさいごぼく映画えいがた。

その映画えいがなかには彼女かのじょがいて、とてもかがいていた。

それは彼女かのじょ初主演映画はつしゅえんえいが。エンドロールには、ぼく名前なまえながれた。

どうして彼女かのじょぼく本名ほんみょうっていたのかはからない。

けれど、たしかに彼女かのじょった。


「あなたを、あいく」

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アイシテル 小悪魔はく @kanzakiior

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