下記の作品は 綿帽子 @poemu_man 氏の写真からのイメージで小説を作成しています。
桜の下の目撃現場
ここ、目撃現場だよ。
その声は春の風だったのか、彼女の声なのか、僕の耳に心地よく届いた。
仕立てたばかりで、汚れのない硬い制服を着ていたことも忘れてしまう。
彼女は桜の木の下にあるベンチへ腰掛け、隣に座るのを躊躇して、横に立っている僕を下から覗き込む。清潔で無駄のないありきたりな制服姿の中にも、美しさが棘のように鋭く剝きだしていた。錐嚢を通す。まさに。
「げ、目撃現場? 何かの事件?」彼女に向ける僕の視線は緊張を消し、余裕を出そうと頑張った。
僕の返答がまるで耳に届かなかったように口は真一文字で、黒く底光りする瞳が上目遣いでじっと僕の顔を見つめる、その様子に耐えられず、僕は視線を揺れる桜の花びらに移した。
一つ暖かい風が通り過ぎた後「事件といえば、事件かな。わっかんないかなあ」と彼女はいう。
「わかんないよ……」
「あなたを、最初に見つけた場所
写真は下記
https://twitter.com/poemu_man/status/1772913989514678380
小説・詩 練習 猫又大統領 @arigatou
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