小説・詩 練習
猫又大統領
企画ではない作品
納豆がお礼にくる話
まだ、冬の寒さが彷徨う春先の真夜中、扉を開けた。真っ暗な世界から一人の女性が玄関前に立っていた。
何の警戒もなく対面したわけではない。こんな夜更けだ。しっかりと、いつもより、警戒はした。でも仕方がなかった。モニターに映ったのは、この世のものとは思えないほどの絶世の美女なのだから。
先夜はどうも、そう告げる。
何のことか見当もつかない。こんな美少女だ。忘れるのものか。どこかで? と僕がいう。
「夜食として召し上がった納豆……です……」と頬を赤らめいう。「そ、それはどうも。え? は?」僕は夜食でよく納豆を食べる。どうして彼女が……それを。
「え、冗談はやめてくださいよ」僕はニコッと大きく笑顔を作って記憶の中から彼女を捜索する。
「そうですよね……ばれてしまいますよね。やっぱり……本当は……納豆の……その……フィルムの部分についていた”あの”一粒です。あなたは、捨てずに……食べてくださいました……みなさん、捨てるのに……」
美女の容姿にもどうにかこうにか耐性が付き始め、ようやく話に疑問を持ち、少女の目を睨む。
「え? そ、そんなことを言われて誰が納得しろっ――」睨んだ先の瞳の中には豆粒のような可愛らしい黒い瞳が輝き、目を奪われ、言葉を失くした。
そして、僕は。
なっとう……。
した。
納得した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます