第2話 時の旅人
図書館の静寂が二人を迎え入れた。窓から射し込む陽光が、古びた本のページを黄金色に染めていた。ミトンは尻尾をふりふりと振りながら、膨大な書棚の一つを探っていた。その側には、眼鏡をかけたフクロウのフクリーが立っていて、ほとんど不動の姿勢で本を読んでいた。
「フクリー、見てみて!これすごくない?」
ミトンが目を輝かせながら大きな本を持って駆け寄った。
「『時の旅人―過去への道』っていう本だよ!」
フクリーは本のタイトルを眺め、興味津々な表情を浮かべた。
「ああ、それはかなり珍しい本だな。時間旅行に関する魔法が書かれているんだろう?」
ミトンはにっこりと笑い、うなずいた。
「そうなんだよ、想像しただけでわくわくするよね!中にはどんな魔法が書いてあるんだろう…」
フクリーは心配そうに眼鏡を直しながら言った。
「ミトン、それは大変な魔法かもしれないから、注意が必要だよ。いきなり開くのはどうかな…」
しかし、ミトンの好奇心はすでに彼を先へと駆り立てていた。
「大丈夫、フクリー!一緒にいれば何とかなるよ!」
彼は再びにっこりと笑い、その場を去った。フクリーは苦笑いしながら、ミトンの後を追いかけた。
ミトンが一心不乱にその大きな本を開いた瞬間、突如として現れた強い風が二人を取り巻いた。
「フクリー、何これ!?」
ミトンが驚きの声を上げる。
フクリーは風に煽られながらも、「ミトン、それが時間旅行の魔法だ!」と大声で叫んだ。その言葉が終わる前に、一瞬の閃光とともに、二人は未知の場所に飛ばされてしまった。
周囲を見渡すと、彼らは中世の魔法学校のような場所にいた。建物は石造りで、天井は高く、壁には魔法の図像が描かれていた。周囲には中世の衣装を身に纏った魔法使いたちが行き交い、魔法の実践の授業が行われていた。
「あっちこっちで魔法が使われているよ、フクリー。これって…中世の魔法学校?」ミトンが困惑しながら尋ねた。
フクリーは頷き、
「そう見えるね、ミトン。本に記された魔法が働いたようだ。でも、どうやって元の時代に戻るんだ?」
と眼鏡を直し、不安そうな顔を見せた。
「それは…うーん、何とかなるさ!」
とミトンはにっこり笑って、中世の魔法学校を探索し始めた。フクリーはまたもや苦笑いを浮かべながら、ミトンの後を追いかけて行った。
中世の魔法学校に適応するため、ミトンとフクリーはさまざまな試練に立ち向かわなければならなかった。まず、彼らは学校の中で一番賑やかな場所、魔法の授業に参加した。講師は中世の魔法使いで、その魔法は二人が知るものとはかなり異なっていた。
「うわ、これは難しい魔法だね、フクリー」
とミトンが顔をしかめた。
フクリーは眼鏡を調節しながら、
「それはそうだ。中世の魔法は我々が知っているものとは異なる。でも、学ぶことが必要だよ。元の時代に戻るヒントがここにあるかもしれないから」
と忠告した。
二人は難解な魔法に挑戦し、よく失敗した。しかし、それぞれの得意分野を活かして、慎重に学び進めた。フクリーは図書館で中世の魔法について学び、ミトンは実践の授業で独自の解釈を加えることで魔法を使いこなしていった。
中世の生活にも慣れてきた二人は、次に時代を戻す方法を探し始めた。
「フクリー、本に戻る方法が書いてあるかもしれないよ。」
とミトンが提案した。フクリーは頷いて、
「その可能性はあるね。でも、その本をここで開けばまた時間を移動するかもしれない。気をつけて、ミトン」
と注意深く言った。
日が暮れても二人は探し続け、試行錯誤しながら、この新しい環境で生き延びる方法と、時代を元に戻す方法を模索した。中世の魔法学校のルールや知識に適応しつつ、彼らの試練は続いた。
数日間の試行錯誤の後、ミトンとフクリーは中世の魔法学校で生活する術を身につけ、時代を戻す方法を見つけるためのヒントを手に入れた。
ある日、フクリーが古い文献を発見した。
「ミトン、見てごらん。これは過去から現代に戻るための儀式のようだ。」
とフクリーが興奮気味に説明した。ミトンは文献を見つめ、
「これって…魔法の授業で習った新しい魔法を使えば、できるかもしれないね!」
と喜んだ。
二人はその夜、文献に書かれていた儀式を試みた。フクリーが知識を元に儀式を導き、ミトンが新たに学んだ魔法を用いて、時空を超える魔法の陣を描き出した。
「これでうまく行けば、現代に戻れるはずだよ、ミトン!」
とフクリーが言い、ミトンは力強く頷いて、
「うん、信じてるよ、フクリー!」
と答えた。
そして、二人が儀式を完了した瞬間、再び強い風と閃光が現れ、彼らを現代の魔法学校に戻す魔法が発動した。目を開けると、彼らは元の図書館にいた。
「やったね、フクリー、帰れた!」
とミトンが笑い、フクリーも満足げに笑って、
「うん、帰れた。でも、次からは気をつけよう、ミトン」
と言った。
現代の図書館に戻ったミトンとフクリーは、その経験を通じて彼らの友情が深まったことを実感した。彼らは自分たちが一緒にいることで、困難な状況でも乗り越えられることを学んだ。
「フクリー、君がいなかったら、僕たちは帰ることができなかったかもしれないよ。ありがとう。」
とミトンは感謝の気持ちを表した。フクリーは眼鏡を調節しながら微笑んで、
「ミトン、君が新しいことに挑戦する勇気がなかったら、僕たちはそもそもその経験をすることもなかった。君に感謝するべきだよ。」
と答えた。
それから、二人は一緒に学んだことや見つけた新たな能力について話し合った。ミトンは新しい魔法を使う際の自分の直感を信じることが大切だと学び、フクリーは新しい知識を得ることでどれほど多くのことが解決できるかを理解した。最後に、ミトンはフクリーに向かって、
「次は何を探しに行こうかな?」
と問いかけ、フクリーは笑って、
「今度は少し控えめに行こう、ミトン。でも、また一緒に何か新しいことを学びに行こう!」
と言った。
そして彼らの友情と冒険は、今後も続くことになるのでした。
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