姫様はツンデレ属性なのですが。
霜花 桔梗
第1話 花嫁が目を覚ます。
小さい頃には、いろんな物を信じていた。例えばサンタクロース、平凡な家庭で育った俺は純粋に信じ、親もそれを楽しみにしていた。そして、ある種の霊的存在は信じている。それは現実問題、俺の生活では当たり前で、同じ場所に居続ける者や、フラフラとひたすら漂う者など色んな者がいる。
これは、経験から言えるのだが、彼らは無害な者が多い。しかし、見る事の出来ない人たちには理解できないかもしれない。それも個性の一つと考えと考えるには、少々ハードルが高い。時々、自分の『見える』という運命に怒りや苦しみを感じるのも事実である。それも、それも見えざる人たちへの言葉を覚えてからも、冷めた日常が続いていた。平和な毎日、いずれにせよ、いささか退屈ではあった。
一度、その筋では有名な神社で見てもらったが、レベル1……。
霊的存在を見る事だけが出来るらしい。参考に聞いたのだがレベル5になると、悟りを開くことが出来るらしい有名なところでは『空海』などらしい。
それから、一つ気になる事を言われた。
『私のレベルが低いので君の本質を見抜けないかもしれない』
しかし、あまり気にはしていない、日常が変わらないからだ。そして。風が教えてくれた、何か楽しいことが始まる予感が、具体的には分からない。感じられた、これから楽しい毎日が始まるのだろう。
***
俺は『西澤雄太』ごく普通の高校生だ。少し違うところがあるとすれば少々霊能力があることくらいで、ごく普通の生活をしている。今は日本史の授業中、少し退屈だが嫌いではない。初老日本史先生が黒板に書き終えると。
「今日の授業はこれで終わる。皆も知っての通り、この城北高校の周りは昔から城下町として栄えてきた。次からは江戸時代に入るので自分の家に資料がある人は何か持ってくるように」
うーん、今日の日本史の課題は厄介だった。
なぜなら、家には大きな蔵があるからだ、確実に江戸時代頃の資料がある。つまり資料を探すことになったからだ。
そして、家に帰ると早速、蔵の中に入るとホコリだらけだ。先生の話だと江戸時代にこだわらなくても良いそうだが。これはある意味、いかに江戸時代の資料かを見極めるかのテストであろう。
それから、色々探しているうちに、何かお札の貼ってある箱を見つける。
何だろう?
とりあえず、開けてみることに。すると。中から光が放たれる。
「うぅぅぅぅ!!!」
声が出るほどの衝撃を受けるが時間がたつと光は弱まり。俺は言葉を取り戻す。そして、中をのぞくと黒髪のロングで綺麗な着物を着た人形の様な物が入っていた。
「我は『宮姫』誰だ?我の眠りを覚ますのは?」
突然、その人形は目が開けて語りだす。
「人形がしゃべった!!!!!」
俺は驚きあまり、声をあげてしまう。女々しいがたぶんこの状況で驚かない人はいないと思う。しかし、霊的な存在が見える俺は直ぐに冷静さを取り戻す。
「我は『陰陽の髪飾り』陰陽師の秘術で作られた者なり。まったく、我を見て、その反応とは失礼な奴じゃ。まぁ良い、そなたの名前は何ともうす?」
「西澤―――西澤雄太です……」
人形に名前を聞かれるという異常事態にも関わらず、思わず普通に挨拶してしまう。やはり霊能力が有り、人には見えざる者たちが見えるからだろう。
「それで、我はどれほど眠っていたのだ?徳川の狸はどうなったのじゃ?」
「徳川の狸?徳川家康の事ですか?」
「そうじゃ豊臣に難癖つけていて我が主もどちらに着くか迷って……いや、止めよう」
徳川家康や豊臣の話を普通にするのだから。この人形の様な者は江戸幕府前から眠っていたのか?
明治維新があったことを教えてあげるか。
「徳川の世が続き、やがて明治維新が起き。今は、令和となりました」
「そうか、徳川も滅んだか」
何やら徳川家康にこだわりがあるようだが、江戸時代も終わってもいろんなことがあったが、今は令和の日本。平和な時代である。
「所で、そなたも我が主殿となったのじゃ。少し、散歩にでも連れて行かぬか?新な時代の様子を見たい」
「主?」
「何を言っておる封印を解いたのじゃ、そなたは我が主殿で間違えなかろう?もう一度我が名をいうぞ。宮姫、陰陽師に使える『陰陽の髪飾り』じゃ」
俺はどうやらとんでもない者を封印から解き放ってしまったようだ。俺のことを主と呼び陰陽師に使える?確かに俺は少し霊能力があるが、どうしたものかな。
すると、宮姫は何やら、怪しい事を始めようとする。
「それでは外行用に化けるとするか」
宮姫はくるりと前転すると和服の高校生位の少女の姿になる。
「それでは行くぞ」
「はい」
俺の事を主殿と呼ぶくせにかなり態度がでかい。話からして、江戸幕府より前から封印されていたらしい。何かすごいことに巻きもまれ気がする。五月新色の季節、木々は活き活きとしている。そんな、季節に新たな出会いが始まった。
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