第43話 神襲来
「やぁやぁ、君が神族のリーダーだね、それにしても白い翼に輝く輪っか。古代遺跡の伝承そのまんまだね、いやー面白いねー」
殺戮王ラバンドラッドは腕組みしながら、少年の姿のまま話しかける。
背丈はほぼドワーフと同じくらいでありながら、実年齢は不明。
馬に翼ががあったとしたら、その2倍の大きさの翼を背中に持ち。
頭には黄色い輪っかがぷかぷかと浮いている。
目は閉じられており、ゆっくりとゆっくりと開かれる。
そこに映し出される光景。
既に神族のほぼ半数が殺害され、胡坐をかいて死体の上に座って笑っているのが殺戮王ラバンドラッドであった。
その四方で神族に止めを無慈悲に刺しているのが7人の英雄達であった。
「ぱんぱん」
殺戮王ラバンドラッドが手を叩く。
「皆さんもっと楽しくやりましょう、かつての古代魔王、いやダークキングドワーフに失礼ではありませんか」
古代魔王の正体、それはダークドワーフが魔王化した姿であった。
「我らはかつてのダークキングドワーフを呼び起こす為に頑張り、魔法族に滅ぼされました。ですが、そのような事はどうでもいい、見た前、目の前に広がる最強達を、楽しすぎてたまらんねー、我らはこほん、わしらは今神々を殺しているのだからなぁ」
「世界の理にてこの世界は不必要と判断した。神の鉄槌を」
「はいはい、神様のリーダーさん、名前はゼダリアンだっけ? なぁ、ゼダリアンおめーら危険だな」
「人間よそなたは異常だ」
「ああ?」
「3歳の時に母親と遊んで間違って踏みつぶして殺害。5歳の時に父親が気に食わないからと喧嘩して腹を刺して殺害。歯向かってくる家臣を一人残らず殺害。5歳の時に王になり、片端から殺害。人間を殺しすぎると生活に困るから異種族を殺害しまくる。奴隷にしてはまた殺害、飽きたら旅に出て殺害。神としてお前はもう見過ごす事は出来ない」
「はっはっは」
「神族がここに来たのは大方。お前の抹消だ殺戮王ラバンドラッド、そしてまだ10歳だという恐ろしい真実」
「はっはっは、意外と皆知らないんだよなー、見た目10歳だけど実は年齢食ってるんじゃないかって思う訳さ」
「だが、お主は10歳の時に魔法族のレインボーに滅ぼされている」
「ああ、そうだ」
「だが史実は違う、凄い年齢をとっているようになっている」
「人はありえないものを信じたくはないのさ」
殺戮王ラバンドラッドは口を開いて赤い舌を出す。
「だって10歳の子供に数えきれない人々が殺されてるんだからね」
「神としてそれは看過できない」
「ならどうする」
「お前を抹消、蘇りを防ぐため、魂の削除を」
「へぇ、やってくれよ、はっは、てめーらは周りの雑魚を相手しろ、わしはゼダリアン、いや神を殺す」
殺戮王ラバンドラッドの体が消滅すると、空中で浮遊しているゼダリアンの背後に飛来した瞬間、殺戮王の体が真下に吹き飛ばされる。殺戮王の体が地面に衝突する寸前で、ゼダリアンの真上に飛来し、右手と左手に握られた魔法ディアルダガーにて連続回転斬りを発動したがゼダリアンの巨大な魔法の杖から発せられる魔法により行く手を阻まれる。
殺戮王が高速で次から次へと魔法を弾き飛ばすと魔法はあちこちに飛び、1つの国が吹き飛ぶレベルの爆発があちこちで発生する。
多くの異世界異種族が神族が人間が普通の異種族が動物がモンスターが蒸発していく。
「こりゃー最高だねー面白いねー」
地面に着地した殺戮王は走り出す。
まるで父親と子供がじゃれているように。
「なぁ、父さん、いたらこれだけ強ければよかったのになああああ」
「あなたは強すぎたのです」
「なぁ、ゼダリアン、一生遊んでたいなー」
「それは無理です。神ですから」
「そうかいそうかい、俺を地獄じゃなくて消滅だったな」
「そうです」
「じゃあ神殺しにでもならせてもらいますかねー」
殺戮王がゼダリアンの真下に到着し、高速で回転しながら上空に飛び上る。
風が巻き込まれ竜巻上になっていくと、ゼダリアンを吹き飛ぶはず……。
ゼダリアンの体が透明になりそこから消滅し、遥か空に飛来。
そこは宇宙と呼ばれる場所。
「ずりーぞ、そこは、なーんてな」
殺戮王の瞳が真っ赤に輝く。
「美味だ美味だ。異種族を殺して食らっては美味だ。これがわしの力」
【スキル:キラーコレクション:《発動条件》対象を殺す。《効果》殺した対象の能力を全て得る】
「かつてのヴァンパイア王の無限の翼でなあああ」
殺戮王の背中から黒い巨大な翼が生える。
空を雲を切裂き、宇宙に飛来する。
「まじで、空気無いのか」
「なら、かつての岩族王の無呼吸でな」
かつて、殺戮王は名のある人物をわずか10歳で殺害しまくる。
周りからは結構な年齢だと思われていた。いや、そう史実は残っている。
殺戮王はあらゆる異種族を殺害しまわった。
その結果、ありとあらゆる場所に適応できる体になった。
キラーコレクションは種族スキルですら奪う事が出来る。
その中にはドワーフも含まれており、殺戮王はイベントリを使用できる。
「やぁ、ゼダリアン、殺しに来たよ、宇宙の果てまで」
「そうですか、奇遇です。ご一緒しませんか?」
「は?」
「神とは概念です。1人ではありません、あなたは私が命を失って殺す担当ですので」
「は、ははは、そうきたか、もう逃げられないな」
「そうですねー魂事削除しますね」
「こんな簡単な罠にかかるとは、殺戮王も落ちたな」
「奇遇ですね、あなたならこんな簡単な罠にかかると思いましたよ、なんてったって」
「なんてたって?」
「あなたも大事な神の子供だからです。あなたの苦しみに幸あれ」
「はははははははあは」
その時、ゼダリアンの体が爆発した。
「これはブラックホールです。まぁ知らないでしょうけど」
ゼダリアンの体と殺戮王ラバンドラッドの体はあっけなく消滅した。
「なぁ、ラバンドラッド様死んだのかな」
剣のツイフォンがなんとなく空を見上げて黒い渦に巻き込まれるラバンドラッドを見ていた。
「そうかもしれんなー」
斧のギルカスが次から次へと消滅していく神族を眺める。
「ラバンドラッド様は面白かった」
槍のリンカンが巨大な槍にしがみつきながら呟く。
「まぁ、死んでおらんが、たぶんこの世界にはいないかもしれないなー」
鈍器のギャウが腕組みしながら。
「自由になったのだろう、我らもな」
杖のジェイロバが空を見上げながら。
「さていくとしましょうか」
弓のティティスが呟き。
「ふ、あ、あれは」
ダガーのジョウが前の前の光景に驚く。
1人の青年が歩いていた。
ゆったりととぼとぼと目線をうつろにしながら。
世界が終わってしまったかのような眼差し。
目が虚ろで死んでいる。
にんまりと笑っている。
彼の後ろには5人の死体が引きずられている。
髪を引っ張られていたり肉片だったり。
彼等はそれらを記憶している。
皇帝陛下が教えてくれた奴等でもある。
そしてその青年は。
「勇者イルカス!」
「はへ、はへ、へは、へは、機械族ゴーダン、精霊族シャラク、破壊族ダルンダ、土竜族リュウグウ、虎人族トラジン、こ、ころちた。ころした」
「様子がおかしい、ジェイロバ回復してやれ」
「はい!」
杖のジェイロバは銀色の髪の毛をしている美形の女性。
とことこと歩き、勇者イルカスに回復魔法を展開しようとしたまさにその時。
ぐさりと、何かがジェイロバの頭を貫いた。
「な、にを」
「あぎゃぎゃがぎゃ」
勇者イルカスの小指が杖のジェイロバの頭を貫いていた。
「ジェイロバああああああ」
その場の6人の英雄が抜刀する。
「えーあなた達人間なのか、ふ、殺していいか、殺してはいけないか、うむ、困るな」
「お、お前はなんだ」
「ただの入島粕田だ。そうか、レベルが俺を救ってくれたか、記憶が失われていて、今殺してレベルが1兆になった。ああ、頭が鮮明だ。ふむ、一億スキルガチャを習得してるな。ちとやってみるか」
「お前、ジェイロバをおおお」
「さっきからうるさいぞ、ツイフォンとやら、鑑定で見たレベルは数千程度だろう」
ツイフォンが行動に移す前に他の5人が動き出した。
空中に浮かぶ無限のガチャポン。その数1億個。
「絶景、子供の頃ガチャガチャをしたかったんだよ」
勇者イルカスはこの世界を本当にゲームのようにプレイし始める。
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