第19話

 おはようございます。

 昼です。


 おーい。


『昼休みになったぞ』


 と、いう訳でコアラ女を起こすアラームな俺氏。

 そして、俺のラインに反応して、ゆっくりと目を覚ますコアラ女。


 華奢な体を起こすと艶やかな黒髪が揺れる。

 そのまま細っそりとした腕を伸ばす。

 そして、珍しく普段は見せない、ぽやぽやとした表情をしながら指先で目を擦っていた。


 そんな風にコアラ女が無防備な姿を晒しているので、男共が色めき立つ。


 えっ?

 女子も頬をポッと染めて……。

 

 いや……。

 おまいら……。

 そいつは、ほぼ四時間ぶっ通しで寝てた女やで?


 ねーねー。

 目を覚まして?


 あと、いつも謎なのは――教師達がコアラ女をまるでぬいぐるみのように愛でていることだ。


 なに、注意とかしないん?

 

 まーいいけども。


 俺は頭を掻きながら、先に教室を出ることにした。

 そして、部室棟へと向かう。

 





 この時――。





 俺の人生は二つの道に分かれていたのだと思う。


 俺自身すら、気づかないうちに。


 どちらの道へ行くのか、なんて考える余裕もなく――。


 いや、正確には選択権がなく。

 

 ただ、それを運命と呼ぶのなら。






 あまりにも――。






 その運命の先へいる優しすぎて――。






 ◇



 ラストに向けてのお話が始まりました。

 皆様からの応援&評価に毎回励まされ、やっとここまできました。

 ラストまでは出来るだけまとめてアップさせていただきます。

 どうぞ宜しくお願いいたします。

 

 


 

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