第17話

 夏休み明け――。


 コ、コアラ女のせいで足が棒だ。

 ヨロヨロしながら登校する。


 眠くなったと先に帰った日から、あの女、バイトをバックれやがった。


『羽美のやつ、一週間ほどバイトに入れなくなって……』

『はっ?』

『柏田君には、時間延長を含めたシフト変更の相談に乗ってもらいたいのだけど……。いや、ごめんよー、ぶっちゃっけて言うけど、柏田君……助けてくれないかい……』


 おおん……。

 日頃からお世話になっている為、『店長大変っすね、俺で良ければ……』と言うしかなかった。


 ラインで文句の一つでも言ってやろうかと思ったが、それよりもバイトが忙しくなりすぎた。


 コアラ女に代わって黒川さんが毎日のように……いらっしゃいませ客寄せパンダ、だった。

 客層も、ダンディーなおじさまや中年サラリーマンから、若い学生や青年サラリーマンへクラスチェンジして異様に増えた。

 

 清楚系美人もしゅごい認めたくはないがって思ったが、美人なギャルもしゅごい。


 それより、黒川さん……。

 ねーねー。

 コアラ女いないけどいいん?

 

 と、聞くと。


『柏田君に会いにきちゃダメ?』


 とか。


『バイト終わったら、一緒に帰ろうよ』


 とか。


『帰り、花さんに会っていくでしょ?』


 などの、きらきら花◯君ムーブまで。


 んん?

 なんか、おかしくない?


 あれから、キスはしていないが、二人きりになると(たまに花さんは『はっ』と鼻で笑って俺を置き去りにするので)ちょいちょい甘い雰囲気が流れて、本当に付き合っているんじゃないかと勘違いしそうになる。


 しかも。


『天童君とは……柏田君のおかげで別れられたからね。それから、あたし達のこと……羽美にも言ったら、まさかだったけど、羽美も……応援してくれるって……えへへ……』

 

 へっ?


 まー。

 天童とは別れられてよかったと思うが。

 

 んん?

 コアラ女?

 応援?


 天童や周囲を誤魔化すために、しばらく彼氏役をするだけでいいんだよな?


 えっ?


 なに、その顔?


 どうして拗ねて……?


 はっ?


 意味わからーん。


 そんなこんなで、黒川さんとも微妙なまま新学期初日を迎えたのだった。


 ヨロヨーロ。



 ◇



 いつもお読みいただきありがとうございます。

 リアル社畜でして、更新出来ずにすみません。

 皆様の応援や評価を糧に、コツコツ頑張れました。

 重ね重ねありがとうございます。

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