第7話 模擬戦2
爆発したと同時に目の前からこちらを狙ってくるイルの姿が見えた。私は銃を即座に構えイルさんのほうへと発砲する。発砲すると同時に肩にくる反動、音、全てが心地良かった。
イルさんは私の弾を避けると即座に移動し始める。私の弾は虚しくそのまま真っすぐ進み木に当たった。
「銃の反動と銃声......はぁ...はぁ...変な気分になってきた......」
シノアさんの血を吸った時に味わった感覚と似ている。体が熱くなり、脳が痺れてくる。欲しい、もっと欲しいと本能がそう言っている。求めてしまう、体が、脳が、本能が。
「えへへ......もっと撃たなきゃ......!」
私は相手に近づきながら射撃をする。弾が赤黒く禍々しく光りながらイルさんのほうへと飛んでいく。イルさんはそれを華麗に避けながらすかさず撃ってくる。
飛んできた弾は明らかに速く、ミサイルのような形状をしている。私はあえてその弾を受けてみることにした。
「威力はぁ...どのくらいかなぁ...♡」
イルさんの弾はあっという間に私の体へと当たり爆発した。演習弾ということもあり体に傷はないがそれなりと体に痛みが走る。痛い、だけどその痛みが気持ちいい。私の体はついビクついてしまった。
「......とりあえずアイの所に行かないと......」
爆発時による煙で私が見えていなかったのだろう。イルさんは私がやられたと思いそのままアイさんの所に向かおうとしていた。私はイルに照準を合わせトリガーを引く。その弾はイルさんに向かって真っすぐと音もなく飛んでいき、イルさんの右太ももに当たる。
「...ぐぅっ......!?う、動けない」
イルさんは弾が当たった衝撃で地面にうつ伏せで倒れてしまった。倒れたイルさんの体に纏わりつくように赤黒い棘が付いている蔓状のものが出ている。私は立ち上がりイルさんのほうへと近づく。
「ねぇ...イルさんの血はどんな味?」
私はイルさんに笑顔を向ける。イルさんはそんな私を見て顔を青ざめている。
「なんなのホントに...これでも食らっときなさい...!」
イルさんは私に向かって何かを投げてきた。スタングレネードだった。私は判断が遅れ耳を塞ぐことができなかった。
「うっ......み、耳がぁ...」
私が怯んだその隙にイルさんはその場から姿を消していた。周りを見てもいる気配がしない。きっとアイさんの所に合流しようとしているのだろう。
私はシノアさんのいるほうへと急いで向かった。
銃弾が私のほうへと飛んでくる。私はそれをかわしながら相手から逃げる。私は今現在交戦中だ。
「見つかるのは予想外ではないけど、アイちゃんのほうだとは思わなかったよ」
私は逃げつつ銃の引き金を引き発砲する。私の魔力がこもった弾は緑色に光りながらアイちゃんのほうへと飛んでいく。しかし、その弾はアイちゃんに当たることもなくそのまま地面に着弾した。
「私も以外なの。でも敵だということに違いはないの」
私のほうに向かって弾が弾幕のように飛んでくる。私は必死に回避行動に移るが何度も当たってしまう。このまま逃げたって意味がない。ジリ貧だ。なら普通に戦ったほうがまだ勝算がある。
私は地面に伏せ匍匐しながら少し前進し銃を構え発砲する。爆音とともに物凄い速さで飛んでいくその弾はアイちゃんの手前で着弾した。銃弾は着弾したと同時に炸裂し物凄い音をたてて爆発した。爆発したことにより爆煙が立ち上る。
「肩痛いなぁ......とりあえず移動しないと」
私は爆煙に向かって一回発砲し、今いる位置から別の所へと移動した。
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