陰な私はいつの間にか戦場に送られていました
宮乃なの
一章 闇と光
プロローグ
暗い暗闇の中、少女たちの断末魔、泣き叫ぶ声そして何かが爆発する音や銃声が聞こえてくる。外で今何が起きているのかわからない。
この暗闇には私という意識しかない。そのため自分自身の身体を動かすことも、声を発することもできない。ただただここは暗くて何もない、言わば無と言っても過言ではない空間である。この空間にいて思うことは一切ない。
だって感情がないのだから。
悲しみや怒り、そして喜びに楽しい。
それら喜怒哀楽を全てこの戦争に奪われた。大好きな親友の命、少女たちの命。全てが虚しくも戦場にて散っていった。大好きな親友の命が散っていくさまを目の当たりにした私の心はもう既に壊れていた。だけども必死に足掻きまくりここまで来たがもう意識以外何も残っていない。私にできることはただ一つ、終わりが来るのを待つことだけだ。
そんな中、誰かが近づいてくる気配を感じる、というより足音が聞こえる。やがて私に近づいてくる足音は止まり、言葉を発し始める。
『......ぅぅ......もう...いやだ......こころが、くるしい......たたかいだくっ...ない......つみのな
いひとをころじだぐない......こんな...せかい、もう......いやだ...!』
その声は泣いていた。この終わりなき戦いに、そしてこの残酷な世界に嘆いていた。
『ねぇ......あなたもそうおもうでしょ......?』
彼女に問をかけられるが、答えることができない。私にはもう喋れるほどの力が残っていない。
『......そっか......喋れないんだね...辛いよね、苦しいよね......』
『ごめんね、今楽にしてあげるから...本当にごめんね......さようなら......』
少女の絶望と悲しみに溢れた声、そして銃声とともに私の意識は亡くなった。
私は今日も今日とて重い足どりで学校へと向かう。通学路で会う人々の視線が私に突き刺さる。
"痛い" "怖い" "恐い"
私の中でそういった感情が渦巻く。辛い、苦しい。
「もう嫌だ。誰かこの暗闇から私を救って...」
悲しいはずなのに涙が出てこない。泣きたいのに涙がでない。
あぁ、どうしてこんなにも人生って辛いのかな。
校門をくぐり、クラス表が貼り出されている場所へと向かう。
今年はなん組だろ...そんなことを考えながら歩いているとクラス表の場所についた。私は後ろからどのクラスなのかを見ていく。全部で5クラスあるため探すのに少し時間が掛かる。それに加え、前には人混みができているので尚更だ。
「あっ、あった。2年2組30番...」
私は運良く最初に見た2組にあった。私は確認したためこの人で溢れている地獄のような場所から早々と去り、昇降口へと向かった。
向かっている際中、楽しげに会話をしている声が聞こえ心が苦しく、そして虚しくなった。
視点を地面から上げ、周りを見渡すと周りには私のように一人でいる者は誰一人としていない。そのため、私は他の人から見て浮いているように見える。
どうにかして浮いている状態を改善しようと試みようとしたが、それをどうにかすることなど到底私には出来ず今に至る。
悲しみ、そして虚しさに明けぐれながらも私は昇降口についたので、自分の番号の下駄箱に行き、靴を入れ上履きに履き替えた。上履きに履き替えた私は階段へと向かい、4階へと向かう。今年は教室が4階のため、向かうのに少々時間が掛かる。ただでさえ体力がゼロに等しい私には少々苦である。
「....つ、疲れる....」
私は自分の体力のなさに落ち込みながらも、階段を登りきる。登りきって少ししたところで私は数秒その場で立ち止まり、呼吸を整える。こんなことをしている人はきっと私以外いないだろう。
私はゆっくりながらも前に足を踏み出し教室へと向かった。
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