僕の煮込んだ心臓を君は食べたいと言う。
神石水亞宮類
第1話 僕の煮込んだ心臓を君は食べたいと言う。
僕の彼女は少し変わっている。
ある日、僕と彼女が何気ない会話をしていると、、、?
彼女が僕にこう言ったんだ。
『貴方の煮込んだ心臓を食べてみたい!』
『僕の心臓を煮込んだら? 僕はどうなるの?』
『“私の一部になるわ!”』
『その前に死んじゃうじゃないか!』
『死なないわよ、私の一部としてずっと生き続けるのよ。』
『でも? 本当にそんな事しないでよね。』
『どうして?』
『・・・ど、どうしてって? まだ僕は君と一緒に居たいからさ。』
『だから、私の一部として、』
『そうじゃない! 僕は君の一部として生きたい訳じゃないんだ!
君と一緒に一日一日を過ごしていきたいだけなんだよ!』
『そうね、私もまだ貴方には生きててほしいわ!』
『やっと理解してくれたんだ、良かったよ!』
『“私は貴方が好きよ。”』
『僕も君が好きだよ。』
あの時の僕は、彼女が僕の話を理解してくれていたものだと
思っていたんだけど......。
実際は? “やっぱり彼女は僕の心臓を煮込んで食べたかったらしく。”
・・・三日後、どうしても彼女が我慢できなかった結果!
僕は彼女に“愛している”と後ろから囁かれ、包丁で一突きで死んだ!
その後彼女は僕の心臓を取り出して、本当に鍋に入れて煮込んで食べた
らしいんだよ。
彼女の言った通り僕は彼女の体の一部になった。
今も彼女の体の中で僕は生き続けている。
あんなに美味しそうに僕の心臓を食べてくれた彼女に感謝を言いたい!
僕の心臓は煮込めば煮込むほど、味が染みて美味しかったと彼女が言っていた。
僕の心臓以外の体は、彼女が業務用冷蔵庫をネットで買いそこにバラバラに
入れられて、今でも保管されている。
・・・ただ僕の家族は今でも僕が何処かで生きててほしいと必死になって
未だに僕を探し続けてくれているだ。
警察も協力して、駅前で僕の写真が入ったチラシを撒いくれているよ。
でも? “お父さんお母さん、僕はもう既に死んでるよ。”
いや? 正確には彼女の体の中で生き続けているんだ!
そんな僕をどうか許してほしい!
僕は彼女を愛している、これからもずっとこの“愛”は変わらない!
彼女の喜ぶ姿を見る事が僕の生きがいなんだ!
だから僕は彼女の為ならなんだってすると決めたんだ!
『今日、ウチに来ない?』
『えぇ!? 行ってもいいの?』
『いいよ!』
『じゃあ―行くよ!』
『うん!』
・・・また僕のように彼女が心臓を煮込んで食べる男を見つけたらしい!
僕の細胞が彼女に力を与える。
男の力を手に入れた彼女に、こんな痩せた男の力で勝てる訳がないよ。
“また同じ鍋で煮込まれる心臓。”
物凄く君は美味しそうに食べるよね!
僕と同じように煮込んだ心臓はさぞかし旨いだろうな。
いつでも僕は君の味方だ!
“君の体の一部になって、僕は永遠に君を愛し続けるよ!”
僕の煮込んだ心臓を君は食べたいと言う。 神石水亞宮類 @kamiisimizu-aguru
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