閑話 庵野玲香と青田太賀の末路

『おーい、庵野玲香さん、青田太賀くん、そこで一体何してるんだい?』


 これが、俺の人生崩壊の始まりを告げる声だった。


 浮気なんて、バレないと思っていた。


 ただ、少し玲香の相談に乗っていただけだったが、気がついたら仲良くなり、そういう関係になっていた。


 あぁ。わかっているよ。俺が悪い。そうだよ。もう俺には就職も進学も無理だろう。


 背負ったデジタルタトゥーが大きすぎる。けど、それは、玲香も一緒なんじゃないか?


 幸い、玲香はまだ俺と連絡を取ってくれている。


 星斗がダンジョン配信者をしていたんだ。なら、俺達にだって、ダンジョン配信者、できるんじゃねぇか?


 適性検査がなんだ。俺はあいつよりも優れている。だから玲香も俺になびいてくれたんだろ?


 あいつにできて、俺にできない理由がないんじゃねぇか?




 _______






「え?太賀、まじでダンジョン行くの?」


「あぁ。」


「今禁止令出てるよ?というか私達探索者でもないじゃない。」


「分かってるよ!けど、お前だってこうして一発バズって金儲けするしかないって理解してるんじゃないか?」


 ―――こいつだって本名さらされてるんだ。この提案に乗らずにどうやって行きてくんだよ?


「……そうだね。行こう。」


「じゃあ配信始めるぞー!!」


 俺たちのチャンネル名は、あんあんチャンネル。

 玲香の名字からとった。


「「こんにちわー!!あんあんチャンネルでーす!」」


 ………同接者がいない。なんであいつにはチャットがどんどん流れてたのに俺にはゼロなんだよ?俺たちのほうが上のはずだろうが。


「ねぇ。太賀。全然人いないけど?」


「そのうちくるだろ…?ほら!」


『初見です。あんあんチャンネルって…wwwそうですね。おふたり、星斗にかくれてあんあんしてたんですもんね()』


 ………初見でいうコメントか?それ。お前何なんだよ?


「あ!コメントありがとうございま……違うっ!そんなことしてないからっ!!」


 と、玲香が必死の弁明をするが…?


『キモ』

『言い訳www』

『言い訳して、いいわけ?』

『風邪引いた』

『寒すぎませんか』


 だの。大喜利状態。


 だが。そんな中でも確実に同接者は増えていって。ついに40人くらいに。


「お!同接も増えてきたし。じゃあ早速ダンジョンに潜ってくぞー!」


『ネットでキモヲタが配信してると聞いて来ました。勝手にダンジョンもぐってくたばれ』

『死ぬぞ?お前ら』

『まぁいいか。好きにさせよう』


「ねえ!あいつにできて私達にできないわけ無いでしょ!?きっと適性検査が間違ってたのよ!だから死ぬはずない!」


『草www』

『頭お花畑』

『怖すぎる』


「お前ら?『本物』ってやつを見せてやるから。期待しとけよ?」


『本物(小並感)』

『本物(雑魚)』






 _______






「ってことで!あいつが行ってたダンジョンと同じとこに来ました!」


『死んだな』

『死んだわ』


「だーかーらー!死ぬわけ無いっての」


「太賀!早く中に入ろうよ!」


 ということで、中にはいってみるも…。


「おい。全然敵いないじゃねぇか。」


『そのまま帰れないとこまで行け』

『そのまま朽ちろ』


「あん…?なんか音が聞こえるなぁ、…??」


 と思ったときには。もうすでに俺の腕はおられていたのだった。


「あっ!!!いてぇ!!!」


 玲香は…?………だめだ。


「クソっ!どうにか脱出しないと……。」


 ……どぉおおおん!!


「グ、ハッ!……」


『終わったな』

『見れるものじゃねえや』

『救助隊呼んでおきました』


「クソっ…!お前…ら…。俺を助け、、ろ……」


 と言い残し。俺はすべての力を使い果たしてしまった…、。




 その後。視聴者が呼んだ救助隊が駆けつけたものの、すでに二人は息絶えてしまっていた。


 このことで、協会からの注意喚起がより一層高まったのはまた別のお話。






 _______





 はい。どこまで行っても馬鹿でした。


 ちなみに、次からは星斗と恋華のデート回です。ちゃんとてぇてえしてくれぇ…

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