第13話

「だぁっ!!ごめんなさい!間接キスなんてぇキモいですよね……」


「あっ、落ち着いて落ち着いて?また敬語に戻っちゃってるし。それにさ、いやじゃないから。ほら、気にしないで??」


 ――本当に?マジで嫌じゃないのか??ってか今敬語になっちゃってたし。


 ………あ、恋華さん俺のこと好きなんだったわ。そしたらご褒美みたいになるのか?


 それに気にしないでいいって言ってくれてるし。変に気にするほうが良くないよなぁ…。


「じゃあ俺のやつあげるってことで。そういえば。俺、聞きたいことがあったんだが。いい?」


「ん?何かな?」


「昨日気づいたんだけど。俺たち、まだ細かい自己紹介してなくない?」


 ……そう。普通ならコラボの前とかにいろいろ話すだろうし。


 こんなに二人で出かけるくらいだったらお互いのこと知ってないとおかしいはずなのに、俺達が知ってるの本名と身長くらいだもんなぁ……。


「確かに!!ってか冷静に考えて年齢も知らないのやばいね…。」


「んじゃあ。俺から聞くぞ?好きな食べ物は??」


「んー?私はやっぱりパスタかなぁ…?ジェノベーゼとかめちゃんこ美味しいよ!!星斗君は?」


 ―――わかる。めちゃめちゃわかる。ジェノベーゼって美味しいんだよ。


 ちゃんとパスタとソースが絡まっているのが最高なのである。


「俺はやっぱり餃子かなぁ…?中から肉汁が溢れてくるのがたまんねぇんだ…!!」


「わかるぅ!中華料理って美味しいよね!それで、?星斗君。年齢は??なんか20歳くらいに見えるけど、?」


「え?俺ってそんなに老けて見えてる?俺17なんだけど…?」


 いやぁ…。歳の割に大人びてるってこと…?あ、強すぎるってこと…?


 それにしても。俺ってそんなに老けて見えてたのか。ちょっと驚いた。


「嘘!?私より3歳も歳下じゃん…。私、おばさん…?」


「えー!?恋華二十歳…?」


「………うん。」


 えっ嘘信じられねぇ。まじで?てっきり現役の高校生なのかなぁ?とか思ってたんだけど。


「――やっぱり俺敬語じゃないとだめじゃね?」


「いいんだよ!私は星斗君と友達……いや、恋人になる予定だから!そんな敬語使われるとさぁ…?」


「わ、わかったけど…。マージで高校生にしか見えなかった。」


 ―――ってあれ?今恋人になる予定とか言ってた?嬉しいですけど。心の準備をさせてください。


「若く見えてるってことでしょ?ありがとありがと!星斗君も、ほんっとにイケメンだよねぇ…。」


「へへ。ありがとう。」


 ヤベ。照れる。顔赤くなってるだろ?俺今たぶん。バレなきゃいいけどぉ…?


 そんな俺の心配は杞憂に終わり、恋華は別の話題を振ってきてくれた。ありがとう。


「星斗君ってさ、?なんでダンジョン配信者になったの??」


 ―――これは。


 俺だって、なぜ恋華がこうなったのか、は知りたかったことだ。こんなに美人な人がなぜダンジョン配信者になったのか。


 確かに適正調査とかはあるけど。それでも適性があるかないかってだけでランクまではわからないはずなんだが。


 それに、女性の方は適性があってもダンジョンに行かない方が多いらしいし。


「俺は、適性検査で、良い数値が出たから。一回ダンジョンに潜ってみたら敵をバッシバッシ倒せて、まぁランクが高いとめんどくさいとも聞いたから隠してたんだけどな。」


 主に探索者協会からの協力依頼とか。遠いところに行けって言われるとめんどくせぇじゃん?


「それで、ダンジョン配信者が流行ってたから、俺も参入してみようかなって。で、いろいろあって今にいたるって感じかな?」


「ふむふむ。星斗君がバズったのは私のおかげってこと?」


「そうともいう??じゃあ、恋華はなんで配信者になったんだ?」


「ん?私はね…?暇だったから。」


 ―――へ?


「どういうことだ?暇だったから、って…?」


「うん?私の実家って金持ちだから。高校卒業して、親の脛かじってダラダラしてたんだけど、暇だったから。」


 え。恋華ってお金持ちのとこのお嬢様だったのか!?


 しかもダラダラしてただって…?そんなふうには全く見えないんだが…?


「そんな軽い理由で始めたのかぁ…?」


「そそ。バズったから全然いいし、今ではこの仕事、天職だと思ってるから。」


「そうだな。強いし、恋華。」


「私より何倍も強い人が言うんじゃありません!」


「「………ふふっ!」」


 ……あぁ。楽しい。楽しすぎる。こんなに楽しくていいのかな、俺。


 こんなに幸せでいいのかな。俺。


 ありがとう。この楽しさは、恋華が作ってくれたんだ。こんなこと直接言ったら恥ずかしさで悶え死ぬから言えないけど。


「あ!星斗君!料理きたよ!!」


 ―――どうしよ。俺。さっきあんなこと言ったけど、ダイジョブか?恥ずかしさで死にそうなんだが。


 うーん?なにか俺が恥ずかしくならない方法はないものか…。あ、これなら!


「なあ恋華。俺のハンバーグ、先に恋華の方に置いておくからな。」


 と、俺が最善であろう提案をすると、恋華は少しうつむいて。


「あーん、してくれないの??」


 と、か細い声でお願いしてきた。


 だめでしょ。それさ。俺、断れないじゃん。いや、そもそも断ろうとしてたわけじゃあないんだよ?けどさ、心の準備ってものがあるんですよ。


 だから急かすような目で見てこないでぇ!!!


「星斗君、まだ?」


 ―――オッケ。


「はい、じゃあちゃんと食べてな?」


 こういうのって普通はスプーンでするイメージがあるんだが、ハンバーグだからフォークで食べさせることになる。


 一欠片をフォークに刺して、恋華に食べさせようと持っていくと…。


「……やっぱり恥ずかしいんだけど。」


「けど、恋華がやってって言ったんだからな?ちゃーんと食べて。はい、あーん。」


 恋華は恥ずかしがりながらもちゃんと口を開けて、しっかりと噛んだ後に、


「うん!美味しい!じゃあ次、私の番!」


 えーっと?それは聞いてないですけども?






 _______





 もうまじで。気がついたら星斗を敬語にしててすっごく書きにくいです…。少ししたらなれるんですかね?


 次回はデート終わりあーんど掲示板回です!

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