第2話

「……あ、勢いでくーちゃんって呼んじまったけど、クルミさん。どーもどーも。今ざまぁが終わったとこです」


『急に改まったwwwwww』

『草www』

『ちょっと遅かったかー【¥50000 お別れ記念 中筋クルミ】』

『ファッ!?』


「え、ちょっと!!赤スパありがとうございます……じゃなくて!そんな、申し訳ないですよ…」


『いーのいーの【¥3150 中筋クルミ】』

『いいって言ってるんだしぃ…?』

『ありがたく受け取っとけよ?【¥3150 お別れ記念】』

『【¥3150】』

『【¥3150】』


「ちょっ!俺こういうのの対処法わかんねぇんだってー!!なんせ初めてだし!?こんなにバズったの初めてだし!?同接10万人行きそうとか聞いてないし!?」


『マジじゃねぇか』

『ツエッターの全世界トレンド1位だぞ』

『スパチャのお礼にコラボとかどう?【中筋クルミ】』

『公開でコラボの誘いだと!?』

『すげぇぞセイト!』


「え!?あっ…俺で良ければですけど!」


『じゃあ今から行っくねー!【中筋クルミ】』

『!!』

『今からだと!?』

『さらなる伝説を作る男』

『あれ…?この二人って面識あるのか…?』


 ………えちょっと待って今から来んの?


 あのSSランク探索者のクルミさんが?こんな底辺の俺とコラボ!?


「一体なにが起こってるんだよー!!!」






 _______





 探索者、それはダンジョンを踏破するもののことで。最上位探索者はSSSランクと言われている。ただ、SSSランク探索者は日本に6人しかおらず。ちなみに、最下位はFランクだ。


 また、ダンジョンからモンスターが出てきてしまうこともあって。


 基本はそんなことがないのだが、あまりにも探索者が、モンスターを倒さないとそうなってしまうことがある。


 そして、探索者のランクは、一度決まったら上がることはない。まぁ隠れ性能が備わっていれば可能性がないことはないが、そんな人は俺は今までに一人しか知らない。


 SSSランク探索者は、現段階では四人の身元が判明しているものの、残り二人はまだわかっていないのだ。


 最も、俺はその残り二人のうちの一人のことを知っているのだが。


 さて、先程クルミさんはSSランクと言っていたな。SSランクも、日本に100人くらいしかいないわけで。


 その中で、配信をしている人となると5名ほど。


 つまり、クルミさんはダンジョン配信者の中ではトップレベルというわけだ。


 そんなクルミさんが俺とコラボとは、本当になにが起こっているんだ…。


 ちなみに、俺の登録者は一万人を超えたほどだが、クルミさんの登録者は30万人ほど。これは、探索者の中では一番多い。


 なんと、俺の約30倍。


 果たして良いのか…?俺なんかがコラボして…。なんて思っていると、


「あ、セイト君。お待たせー!」


『まじできた!!』

『ってかこのダンジョンってそんなに有名か?』

『【コラボ記念 ¥50000】』


「あ、私もここの近くのダンジョンよく行ってるでしょ?だからここも意外と近いんだよねー。」


 ……そうだったのか。近くのダンジョンに潜ってるなーとか思ったり、あれ?このダンジョン俺も行ったことあるな?とかは思ったりしたことあるが。


 そんなにすぐ来れるほど近くに住んでいたとは…。


「じゃあ行きましょうか。」


「セイト君、か弱い私のことを守ってね?」


「いや……。俺が守られる側だと思うんですけど…。頑張りますね…。」


『草www』

『草www』

『守ってねwww』

『SSランク探索者が何を言ってるんだwwwww』

『そう言えば、セイトってなにランクなんだ?』


「あーそれはだなぁ…。」


「まぁまぁ行こ?多分このダンジョンで本当の実力見せてくれるだろうし。」


 ちなみにこのダンジョンは、Bランクダンジョン。つまり、俺の実力はB以上はあるってことだ。


 まぁBって平均くらいだしな。それくらいは。探索者として配信している以上いるよな。


 中に入っていくが、まぁ序層だし。普段ソロ踏破してるくらいだからサクサク敵を倒していく。


 というか。クルミさん、全然戦ってくれないんですが。


「おー!セイト君強いねぇ…。」


「いやいや、クルミさんも戦ってくださいよ。」


「だって、セイト君の実力見たいし!?」


『セイトって強いよな?』

『それな!Bランクダンジョンソロ踏破できるくらいだし』

『クルミさん、もしかして守られる側だった…?』

『まだ序盤だしなぁ…。ボスではくーちゃんも大活躍してくれるっしょ!?』


「じゃあ、ボスではたのみま……」


“どぉん!!!”


『え!?なに?』

『今の音おかしくね!?』

『ちょっと待った!イレギュラーが起こってるって!!今ツエッターで』

『イレギュラー!?』


 イレギュラー。それは、普通ならばDランク以下のダンジョンで起こるもので。


 Bランクで起こることなんて今までにあったか記憶が確かではないが。


 いつものダンジョンランクよりも、5ランク上の魔物がでてくるということになる。


 だから、今このダンジョンにはSSSランクが出てくるというわけだ。


 ………は!?


『ここってBランクダンジョンだよな…?』

『じゃあ……』

『セイト!逃げろ!!』

『逃げろー!!!』

『逃げてくれ!』


「って言われてるんですけど…。クルミさん。逃げますか?」


「いいや。イレギュラーを食い止めて一般探索者を助けるのが私みたいな高ランク探索者の役目!私は戦うよ!!」


「けど…!危ないですって!」


「なら!!セイト君だけでも逃げればいい。」


『セイトもくーちゃんも!逃げてくれ!』

『無理だ!戦うなんて!SSSランクだぞ!?』

『くーちゃんに死んでほしくないんだ!』

『やめてくれー!!』


 なんて。クルミさんファンの方々からの悲痛な叫びもある中、クルミさんはイレギュラーを止めようと進んでいく。


「クルミさんが戦うんだ。俺が逃げるなんて、あり得ねぇよな!」


『やめてくれぇ…』

『セイトだけでもさぁ…。』

『頼むから…』


「ごめんな、けど、俺はここに入る前に言われたじゃねぇか。守ってね、って。その約束、果たしてくるよ。」


『……わかった』

『セイトが決めたんだもんな』

『信じるよ』 

『奇跡起これ!』


 さぁ…。命をかけて。皆を守るために。睦月星斗、戦うぜ!?






 _______





 星斗って名前かっこいいですよね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る