第3話 雨じゃないでしょ

「見てよ…ほら…。あたしね、タンクトップとか、着ないんだ…」


「それに、スカート、超短いし…座ったら…ね?」


「…まだ…ある…よ? 濡れてる…シャツ……見えるでしょ?」


「は? って! ………そんな赤い顔して言い訳しても、全然説得力ないよ?」


「これ…、雨の日には…いつも着てたの…」


「着てるって…何をって?」


「………決まってるじゃん…ブラ……だよ」


(ゴホッ!! と先生がむせる)


「本当はね…マキちゃんに乗せてもらった事も…無いんだ…」


「あ、センセ、青青!!」


(パパーーー!!)


(クラクションの音)


「あはは!! クラクション鳴らされてる!! とろいんだー!! センセ!!」


「え? あたしが変なこと言ったから? …変な事ってなに?」


「…なんで、なんも言わないの? ズルーい…大人の男って、ズルいんだー!」





「センセ…さっきから、なんで、赤信号でもあたしの方…見ないの?」


「わざと? それとも…怒った?」


「怒っては無い? そっか…、なら良いけど…。でもさ…、あたし…ちゃんと…見て欲しいだけなの…」


「何を…って…」


「言って良いの? センセ…急ブレーキかけちゃうかもよ?」


「え? じゃあ、言わなくていい?」


「それ言われると…言いたくなるなぁ…」


「どっちなんだって? ………センセ次第だよ…そんなの…」


「どいう意味って…そういう…意味…?」


「…だって…センセ、最初の赤信号からずーっと赤続いてるのに、あたしを見ないじゃん…」


「あたしの…太もも…とかさ…」


(ぎゅっ!)


(先生が車のハンドルを握る音)


「こんなに…雨に…濡れちゃって…さ…」


「色っぽい…とか…さ…思わないの?」


「全然思わない? それ失礼すぎだよー!!」


「……でも、センセ…汗かいてるでしょ…雨じゃない事くらい…分かるよ…」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る